駄楽器駄日記(ドラム、パーカッション)

ロッキンローラーの打楽器日記

リンゴの気持ちはよくわかる?

2008年03月23日 | ドラム&パーカッション
つい先日のニュースでは、ポール・マッカートニーの離婚訴訟が決着し、日本円にして47億円を妻ヘザーさんが受け取ることになったということでメディアを賑わしていた。
内容的にはあまりにも自分には縁がない金額だから「ふ~ん」で終わってしまうニュースだった。
TVや新聞で「ポール・マッカートニー」の名前を見聞きすると、おや?と思って反応してしまうんだけど、オレ達音楽ファンからするとイマイチ気分悪い。
なんたってポールは神格化されているのだ。
結局メディアってやつは、ポールという神を巨額の慰謝料の金額だけで測ってしまっているようで、気分がイマイチなわけだ。
「もっとポジティブな音楽的なニュースで賑わしてくれよ」ってな感じだ。

ところが同じビートルズでも、リンゴ・スターのいい記事があった。
最新号(4月号)の“リズム&ドラムマガジン誌”には、リンゴの若々しい写真とともに、新作アルバム「想い出のリヴァプール」のインタビュー記事が載っていた。
写真を見る限り、リンゴはとても若々しく、体調も良さそうだ。
自身のラディックのドラムセットも、リンゴらしく派手な星の絵柄が入ったカラーリングのセットだ。
こういう記事はオレ達ロートル・ドラマーをワクワクさせてくれる力があり、オレは夢中になって読んでしまった。
まだ買っていないけど、アルバムも早く手に入れたいなあ。
やはりアイドルであるドラマーには、いつまでも音楽的に最前線で頑張っていてほしいものなのだ。

リンゴのドラミングは、世界中の人々に一番たくさん聞かれているだろうと思う。
オレもリンゴのドラミングは大好きで、初期から後期のビートルズでのプレイはいまだにしょっちゅう聞き直しては、自分なりに新しい発見をしたりしている。
初期のビートルズでは、ロックン・ロールの名曲をたくさんカバーしているが、原曲ではドラムパターンがあまり聞き取れない曲でも、ビートルズではドラムがはっきり分離されて録音されているため、3点ドラムキットで叩いているのを想像しながら聞くことができる。
当時では最も優れた録音技術といえるのであろう。我々ドラマーにとってはコピーしやすくてとても参考になるのである。
そのため、原曲よりもビートルズバージョンで演奏される名曲が多いのだ。
ついでに、オレの大好きなビートルズの珠玉のドラムプレイを紹介しようと思う。ま、この世界では語りつくされたドラムプレイ解説だが、自分なりの見かたがあると思うし、とりあえず少しだけ書いてみる。

○ロール・オーバー・ベートーベン
この曲では8ビートの最もカッコイイリズムパターンが聞ける。
前奏・歌中・サビ・コーダと“ドンパパ・ドンパ”と“ドンパド・ドンパ”とのリズムパターンを自在に切り替え、最もオイシイ8ビートを味わえる。
イントロのピックアップでは変則3連符に驚く。このイントロはコピーしようにも何度かチャレンジしてでないと成功できない難易さがある。
また、サビではシンバル抜きの“ドンパパ・ドンパ”に緊張感がぐぐっと凝縮された後、間奏で一気に緊張から開放されて、きらびやかなシンバル音とともにエンディングに向けて突っ走るという、ロックン・ロールのエンターテイメント最高峰だ。
ちなみに以前「王様」と競演させてもらったが、その頃王様は「カブトムシ外伝」というアルバムを発表した直後だったので、そのアルバム中心に演奏した。
その収録曲中の1曲が「踊るベートーベン」というわけで、ロールオーバーベートーベンの直訳バージョンだ。
この曲を名手三浦晃嗣氏が叩いており、さらに見事なノリで再現されている。皆さんにも是非聞いていただきたい1曲だ。

○マネー
これはコピーしやすい曲なので、ドラマーならば叩いたことがある曲かもしれないが、最初からずうっとシンバルを叩かずにフロアタムを叩くという、重厚感のあるカッコいいリズムである。
歌中には、ギターのガガガガーンというリフに続いて“パドドド・パドドド”という緊張感溢れるフレーズのあと、“ドンパパ・ドンパ”で締めるといった、何ともしびれる構成だ。そしてエンディングになって、禁断の一手「トップ・シンバル大鳴らし」で聞くものをノックアウトさせる。
こんなずるい手を使っちゃいやん。ってナヨナヨしちゃいそうなカッチョよさである。

○チケット・トゥー・ライド
まず、この曲でのスネア・サウンドが素晴らしい。スッコーンと突き抜けるサウンドは、ラディックのメタルなのだろうか。当時はウッドのオイスター柄のスネアなのかもしれないが、そうとういい感じに裏表ともに締め付けなければこのサウンドは出ないであろう。スネア・サウンドだけでいえば「ヘルプ!」のほうが音が突き抜けているが、この曲を推奨するのにはわけがある。
ドラムフレーズが、しょっぱなからイカしている。
ピックアップがタムの高速6連符。素晴らしい。
リンゴさん、たぶんノリノリでレコーディングに向かっていたのだろうと想像できる。そしてフレーズが“ドンパド・ドパッド”と両手でのスネアからタムへのフラム打ちである。ものすごくタメの効いたリンゴさん得意の3連符中抜きの跳ねたフレーズだ。
斬新で画期的なアイデアだ。そして合間のフィルイン(おかず)は高速6連符の嵐。
ところが、である。
歌中のサビのあたりで様相が一変してしまう。
サビに入る寸前で、“ドンパド・ドパッド”のフレーズを間違えたかわざとなのかは分からないが、2回ほど“ドンパド・ドドパド”と跳ねなくなってしまうのだ。それからサビに行くと今度は2度と跳ねるフレーズが出なくなってしまう。さらに6連符の華麗なフィルインも姿を消してしまうのである。
若いリンゴは、演奏しながら迷っていたのか、気が変わったのか。
もしくは予め構成されていた譜面を完璧に演奏したのか?いやそんなはずはないだろうなあ。
誰か、ここんとこの気持ちをどこかで見聞きした方がおられたら教えていただきたいものだ。
永遠の謎にならぬ前に。
とりあえず、今日はここまで。
コメント
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