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MIHO MUSIUM(ミホミュージアム)~「アメリカ古代文明」超自然へのまなざし~

2018-09-15 19:46:25 | アート・ライブ・読書
 MIHO MUSIUM(ミホミュージアム)は滋賀県甲賀市の陶芸の里・信楽から山間部に向かって走行していき、湖南アルプスの山中に建てられている博物館です。
向かう道筋の印象は、まるで山中にある古刹へ向かうが如くの感があり、周辺にある農場や宗教施設も相まって独特の雰囲気を醸し出していました。

ミュージアムの印象は「桃源郷」をモチーフとして建築されていることもあり、ある意味での「楽園(ユートピア)」というのが事後の感想でした。
美術品の多さも然ることながら、ミュージアム一帯からは「秘境にある会員制リゾートホテル」とでも呼びたくなるような奇妙な雰囲気を持つミュージアムだったと感じます。



開催されていた企画展「アメリカ古代文明」の展示物は、古い物だと紀元前1800年頃の遺物を筆頭に、紀元前~紀元数世紀の物が100点近く展示されていました。
今から3000年以上も前の時代に連綿と続いていた文明の遺物には興味深いものが多かったと思います。



何室にもわたって展示されている特別展は10章に分かれる膨大なものとなっていますので、章名のみ記載します。

「第一章 多彩なる文化-様々な人体表現」
 (紀元前1200年エクアドルの女性立像では頭部が映画:「エイリアン」のような変形がみられる)
「第二章 仮面-超自然の力を着る」
 (口の部分を縫い閉じられた仮面)(テオティワカン文明のピラミッド)
「第三章 翡翠-緑色に託された生命力
 (メソアメリカの翡翠像にも頭部の人工的な変形が見られる)



「第四章 神々-変身と超自然のかたち」
「第五章 儀礼の宴-宇宙の均衡を保つ」
 (宗教儀礼のチョコレート、後述)
「第六章 文字と歴-歴史をつなぐ儀礼」
「第七章 球戯-超自然との交信」
 (部族間の利権の争いに球戯の戦闘ゲームが行われていた。ただし負けた方は殺される)



「第八章 黄金-太陽エネルギーをまとう」

「第九章 動物-守護獣のかたち」
「第十章 染織-異界におくられた衣たち」

ミホミュージアムでは入口から入り受付を済ませると、桃源郷へのトンネルを通ることになります。
無料の電気自動車も走っていますが、やはりこのトンネルは歩いて通り抜けたいところ。 
桜の季節にはトンネルの向こうに見える桜の桜色がトンネルに映り込む人気の撮影スポットになっているようですね。





トンネルを抜けると、そこから先は吊り橋を渡ってミュージアム館内へ入ることになります。
館内の展覧会を観るまでにも見所の多いミュージアムです。





ミュージアム館内への入口の建物はまるで近代的な神社の本殿のように見えます。
ミホミュージアムの母体が宗教法人であることの影響が大きいとは思いますが、ここはミュージアムとして美術品を堪能する場所としての設計です。





広い館内を移動する途中に周囲の風景が見える場所が幾つかあります。
この風景が周囲を取り囲んでいるのですから、ここが如何に辺鄙な山中にあるのかが分かります。
山の中にも独創的な近代建築物が二棟見えていますね。



「アメリカ古代文明」への入口は格子の天井から採光する独特の造りとなっており、特殊な宮殿への入口のようにも見えます。
隅々にわたって近代建築の見事さが楽しめるという意味で興味深いミュージアムです。



ミュージアムは「アメリカ古代文明」が開催されている北館と、「永遠の至福を求めて」「MIHO MUSEUMM世界の古代美術」が展示されている南館とに分かれます。
南館では「中国・ペルシャ」「南アジア」「西アジア」「エジプト」のゾーンに分かれて古代美術の展示があります。

特に関心をひくのはやはり仏像で「仏三尊像(中国北部6世紀)」、平等院鳳凰堂にあるような「天人像(石像)」など。
ガンダーラの「仏立像(2世紀後半)」「仏頭(アフガニスタン4~5世紀)」「仏足石(パキスタン2~3世紀」も見応え充分。
現在はイスラム国家のパキスタンやアフガニスタンの仏教美術が観られるのには感動があります。


ポストカード・・・仏立像(パキスタン2世紀後半)、隼頭神像(エジプト紀元前1295~1213年頃)

ミホミュージアムはとても広い館内に膨大な美術品が展示されているものですから、観て回っている間に疲れてきてお腹も減ってきた。
ちょうど館内のカフェ「パインビュウ」がありましたのでここでランチとします。

注文したのは「サンドイッチ」と「夏野菜とエマー小麦のフジッリ冷製スープ仕立て」にドリンクです。
妻が食べた「サンドイッチ」はタマゴ・冬瓜・南瓜・茄子・トマト・紫蘇・シメジなどがはさまれていて、パンには古代米を漬けたものをトッピングして食べます。

初めての食材だったホオズキの実で、クリームチーズではさんだサンドイッチになっていて興味深かったですね。
ホオズキ(食用)は蒲萄のような食感は感じつつも、何に似ているかとなると例えようのない独特の甘さの実でした。



「夏野菜とエマー小麦のフジッリ冷製スープ仕立て」にも野菜がたっぷりはいっていましたが、これらは全て秀明自然農法で育てた食材のようです。
秀明自然農法は無化学肥料・無農薬栽培・自家採種や連作ということで、オーガニック食材の料理になりますね。

ドリンクには展示の中で紹介されていた宗教儀礼の飲み物を模した「古代アメリカ風・カカオドリンク“テオブロマ”を注文。
カカオをすりつぶして水を加え、唐辛子と胡椒で味付けした飲み物です。





味がよく分かるようにミルク・砂糖なしで飲みましたが、何とも奇妙な味です。
“古代アメリカの王や貴族や英雄が飲んだ高貴な飲み物”“儀式の聖なる飲み物”とされていますが、刺激的な味はいつまでも後味が残ります。

さて、帰り道は電気自動車に乗ろうと乗り場に行くと、そこはピラミッドの中にでもいるような神秘的な空間でした。
ミホミュージアムの建物全般に言えることですが、光の取り込み方が実に見事に工夫されたものとなっています。



車は10分間隔くらいで往復しており、やってきた車に乗ってみる。
ゆっくり歩いても数分程度なのであっという間に到着しますが、こういう乗り物って好きなんですよね。



館内には従業員の方が異常なくらい多かったのですが、どの方もとても丁寧な対応をされており、高級リゾートにきたような印象があります。
冒頭にも書きましたが、まさに「秘境にある会員制リゾートホテルのようなミュージアム」といった印象で、時間を忘れるユートピアのようにも感じられます。



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