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比叡山 坂本からの本坂ルートで山頂の大比叡へ登頂する!

2022-11-23 14:00:00 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 比叡山延暦寺への参拝ルートは、ドライブウェイ・ロープウェイ・ケーブル・シャトルバスと至れり尽くせりですが、徒歩で山頂の大比叡まで登ってみたいとかねがね思っていました。
ルートを調べてみると、日吉大社から「本坂ルート(表参道)」で東塔エリアまで登り、東塔の阿弥陀堂の裏から山頂「大比叡(標高848m)」まで登れるようです。

比叡山延暦寺の千日回峰行では、無動寺・東塔・西塔・横川・日吉大社を周回する約30キロを回峰しますので、「本坂ルート(表参道)」はかつては日吉大社から比叡山延暦寺へ参拝する人が歩いた道。
日吉大社の表鳥居と比叡山高校の間にある六角堂前の石段からスタートすることになりますが、石標に根本中堂まで二十五丁となっている。
東塔までの約2.7㌔の道のりと、東塔から「大比叡」までの登山で約2時間ちょっとくらいかと想定する。



最初は穴太積の石垣に挟まれた石段の参道を登っていきますが、横幅の広い石段のため特に周辺に注意を払うこともなく、神社仏閣参拝の感覚で登っていく。
石段は数分で登り終えることが出来る段数ですが、朝一で体がまだ目覚めておらず息が切れる。



石段を登りきると分岐に出て、正面にはまた次の石段が始まります。
段の部分の傾斜が下方に斜めになっていて登りにくいこの石段は、実はこの石段は「南善坊」への道で登山道は左の道だったようです。
石段を登りきると行き止まりになっていましたが、化学繊維のネットが張ってある向こう側に登山道が見えたので、ネットをくぐって登山道へ出る。



さぁいよいよこれからが山登りの道になります。
道はやや荒れている場所もあるとはいえ、基本1本道なので迷うことはなく、史跡がある場所への横道には案内板があるので立ち寄ることが可能です。



登山道の横には日吉大社の「猿の霊石」を小ぶりにしたような形の岩が祀られています。
日吉大社と比叡山の境界を示すために祀ってあるようにも思えます。



道中には朽ちそうになっている切り株があり、鮮度のある花と水の入ったペットボトルが置いてある。
何らかの曰くのある神木だったのかと思われますが、この後の道中でも石仏に供えられている花が新しく、誰かが日々登ってきて花を交換されているようです。



道は登るにつれて細くなり、表参道の名称とは随分と印象が異なる道になり、山登り感が高まってきます。
ただ「本坂ルート」は両側の森の間を進むルートですので、景色は全く見えずどのくらいの高さまで登ってきているのか実感できず、丁石もほとんど見当たらず目安になるものがない。



参拝道の横に「石仏公園広場」の書かれた場所への分岐がありましたので立ち寄ってみる。
石仏庭園というくらいですので道沿いにはたくさんの石仏が連なっています。
後方の横の丘には苗木が植林されていましたので、いずれは季節の花の咲く広場になるのかと思います。



登り始めて唯一発見した丁石は「十四丁」で、東塔まで二十五丁になるので約半分まで登ってきたことになります。
ただ道は増々歩きにくい道になってきて、場所によっては大雨の時には雨水が流れて川のようになるのではと思うような道もある。



比叡山には石仏や墓石が各所にありますが、本坂・表参道にも石仏が祀られている場所が何ヶ所かありました。
斜面に祀られた石仏にはたくさんの石が積まれ、石が落ちないように倒木を利用して囲いのようにしてあります。
この石仏にも花が供えられており、石仏にかける水と思われるペットボトルが置いてあります。



さらに登って行くと、参道脇に広場があり、石碑と石仏2躰が祀られてあります。
石仏は劣化が激しくなっていますが、下に2躰の仏が彫られているのが確認出来ます。
ここまで日吉大社の参道入口から約1時間くらいの位置ですが、花には鮮度がありますので誰かがここまで登ってきて花を供えられているのでしょう。



参道の横に段の幅が狭く足を踏み外しそうになる登りにくい石段があり、上に古びた御堂があったので登ってみます。
御堂の前には壊れてしまったのか火袋の部分がない石灯籠があり、御堂は「聖尊院堂」または「亀堂」と呼ばれ、かつて五智院(廃寺)があった場所だそうです。



御堂は解放されているので、中に祀られた石仏を拝観することができます。
この場所には「比叡山の七不思議」のひとつの「おとめの水垢離」という不思議な伝説が伝わるとされます。

賢秀という僧が仏間に入ると、位牌のひとつが小刻みに動き始め水音が聞こえてきたという。
水音の正体を確かめようとして霊泉に行くと、美しい女が水浴びをしていて、賢秀は意識を失って倒れてしまい不思議な夢を見たという。
女は夢の中で“極楽に行けるよう比叡山に魂を預けて修行していた”と告げ、仏間にあった位牌が消えていたという不思議。



そろそろ東塔エリアが書かくなってきたかと思い始めた時に分岐があり、石段の下に「金勝院 法然堂」がありました。
「法然堂」は、法然上人が15歳の時に剃髪得度をされた場所だとされ、法然上人得度の霊蹟」「剃髪の故地」「浄土門発祥の地」とされている。
比叡山が現在も信仰される鎌倉仏教の開祖(道元・法然・親鸞・栄西・日蓮・一遍など)を輩出した日本仏教の母山であることが分かる比叡山ならではの寺院だと思います。



法然堂を過ぎると山道から舗装されたコンクリートの道になりますが、これがまた急坂で何とか登りきるといよいよ東塔エリアに入り、延暦寺会館の横に出ます。
目指すは大比叡の山頂ですし、東塔には何度も参拝していますので、そのまま根本中堂前を通り過ぎて阿弥陀堂へ向かいます。
根本中堂は改修工事中のままで、完成予定は改修に必要なサワラ材の確保のため2027年3月まで延長されたようです。



そのまま阿弥陀堂まで進むと、御堂の裏側に大比叡への登山口があり、そこから約30分の山登りが始まります。
東塔エリアには観光客の方が多く、山登りの方も少数おられ、山登りスタイルの方と観光を兼ねて参拝されている方の服装があまりにも違うのでおかしな違和感を感じてしまいます。



山頂への登山道は、表参道よりも登山の道らしい細い九十九折の道となっており、道中に見えてきたのは千日回峰道の途中にある「玉体杉」をややこぶりにしたようなスギ。
合体樹のように見えるこの杉は、雪の重みで枝は曲がっていて、曲がった所から力強く空に向かって垂直に伸びていて霊木感を感じます。



山頂への道は登り始めた時から上部の杉の上に空が広がっているのが分かり、登るにつれて山頂が近づいてきているのが実感出来ます。
山に登った時に山頂が近くなってきたのを感じると、ここまでシンドイ道もあったけど、あと少しの時間を出来るだけ楽しもうと思うようになります。



そして山頂「大比叡」へ到着。
山頂近くは工事をしている場所があったので迂回路を通って辿り着き、山頂は眺望は全くないもののやっと比叡山のピークに登れた満足感にひたります。



山頂で一緒になった方と少しお話をしてみると、かなり遠方から旅行で来られていて、旅行中は毎日近畿の山登りをされていたとのこと。
他にも平日にも関わらず登って来られる何人と方と会いましたが、京都の修学院方面から下山する人、無動寺道から下山する人などコースは様々なようです。
おそらく登ってきたコースもみなさん様々だったのかと思います。



比叡山の麓に祀られる日吉大社は、西本宮に「大比叡大明神(比叡山)」、東本宮には「小比叡大明神(八王子山)」を祀りますが、これで大比叡(比叡山)と小比叡(八王子山)の両方に登ることが出来ました。
山頂のエリアはそれほど広いスペースではありませんが、中央部に一等三角点があり、石がたくさん積まれてあります。



日吉大社から大比叡までの本坂ルートでは、眺望が望める場所はありませんでしたが、無動寺谷への分岐地点にある坂本ケーブル延暦寺駅まで来ると琵琶湖の眺望を眺められる場所がありました。
見おろす風景は手前に坂本の町並みと琵琶湖の南湖。北側には琵琶湖大橋と沖島や長命寺山、観音寺山や奥の方には鈴鹿山系も見えます。



比叡山本坂ルート(表参道)や大比叡への登山道は、登りにくい場所もありますが、危険個所はあまりなく猿や鹿(糞)は見かけるものの、熊や猪の出没はほとんどないようです。
登山ルートは複数のコースがあり、コースタイムに大きな違いはないようですので、次は別のコースから登ってみるのも面白いかと思います。



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