超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

東京駅のワンダーランド

2016-04-21 19:23:37 | 出来事
期待と興奮冷めやらぬ、「ウルトラマンスタンプラリー」全駅制覇C賞「ウルトラ6兄弟と写真撮影会」だったが、「ウルトラ」とは別の意味で主催地となるJRならではの裏話があったのである。何せ撮影会場が東京駅駅長室というのだから、ウルトラ戦士との撮影以外にも数々の香ばしい話題が満載なのが想像いただけるだろう。これがまた長い話になるので、前回の話題とは分離したのである。まず丸の内口中央の「駅長室」という扉から中に入ると「内勤事務室」という部屋の横を通過し左へ曲がって入った部屋が待合室となっており、スタンプラリーで使われたスタンプボードのうち、ウルトラ6兄弟の駅がずらりと並んでいたことは前回に書いた。その部屋には代々の東京駅長と見られる額縁写真が壁に整列していた。

      

まず撮影会の前に現東京駅長が白い制服をまとい6つ並んだボードの前にたっていきなり敬礼した。「皆さん、本日はお休みのところ、『帰ってきたウルトラマンスタンプラリー」のウルトラ戦士との撮影会に東京駅にお越しくださいましてありがとうございます。また平素よりJR東日本をご愛顧いただきましてありがとうございます。・・・・・・・・・私もウルトラ戦士に夢中になった同世代として本日、撮影会に加われることをまことに光栄に存じます。・・・・・・・・・これからも皆さまに愛される東京駅であるとともに、JR東日本は安心安全に皆さまのために尽しますのでどうぞよろしくお願いいたします。では撮影会場の駅長室でお待ちしています」「(最近ほとんど毎日のように遅れを生じる「湘南新宿ライン」を何とかしろーい)」と思ったが、おくびにも出さず拍手を贈った。

さて当選者の撮影が一段落済んで待合室に皆が再び集まると、「撮影会は以上なんですが、皆さん普段は入れない場所に来て頂いているので、小さなお子様もいらっしゃいますが、せっかくですから少し東京駅について色々知っていただこうと思います。」JR係員の紹介で「東京駅勤務22年の生字引」という方が登場するのである。
ご存知の通り東京駅がリニューアルオープンしたのは数年前で開業100周年が2014年である。駅舎は開業時の姿を復元しており、グランドオープンの時は東京駅にまつわる様々な興味深い話を聞いて駅内を歩き回り、このサイトでも取り上げた記憶がある。しかし彼の話はそれら付け焼刃の知識を簡単に凌駕するほど面白いものだった。

まず私たちのいる待合室は実は貴賓をお迎えして過ごしていただくところで、「梅の間」という。壁に整列している制服写真は予想通り先ほどの現役駅長さんで第24代となる東京駅長ということだった。東京駅では総理大臣の暗殺事件が2回あった。一人は割と有名な「平民宰相」と言われた原敬でもう一人が浜口雄幸だそうだ。原首相を暗殺したのは何と当時鉄道省の大塚駅の職員で上司との政治談議の中で首相暗殺を思い立ったという物騒な話である。原首相が即死したという暗殺現場は我々が集合した丸の内南口改札に事件を語るプレートと現場を示す小さなマークがあるという。浜口首相の襲撃されたのは新幹線に向かう中央通路ということだった。奇妙なことに両者が遭難したのはともに「4のつく日」であったので、その後歴代の総理大臣は4のつく日に東京駅を利用することは避けるようになったという。昨年末、安倍首相が新幹線で移動したのは12月5日だったそうだ・・・

「皆さんのおられるこの部屋は『梅の間』の他に『竹の間』は皇太子、皇太子妃、海外VIPをお連れする部屋、『松の間」は天皇皇后両陛下のお使いになる特別ルームです。ちょっと見てみますか・・・・?」
生字引はいきなり一つの扉を開けるとそこはホールのような広場となっていて正面が「竹の間」、左側の方角でいうと皇居側が「松の間」ということだ。このホールを通過して一旦地下の専用通路をご案内し、新幹線ホームまで直接通じているのだという。なるほど、丸の内側は中央口というのがないが、皇室専用の駅舎入口になっているということか。昔は「お召し列車」という車両のどてっぱらに菊の御紋がどかーんとある渋い色の専用列車があり、原宿と代々木の間にある専用ホームから乗車されると聞いていたが今はホームは使用されていないらしい。

  

「さて、せっかくですから駅長室ものぞいてみますか」さっきウルトラ兄弟と撮影した部屋だが、まさかまだウルトラ戦士が駅長と和んでるわけじゃないよね・・・来客用ソファや大統領室にあるような国旗がたち、すごく天井の高いゴージャスな部屋だった。小さな子供は退屈していきなりソファで転がり遊びだし親は慌てて取り押さえようとしたが、ウルトラ戦士と間近で触れあって興奮しっ放しの子供が言うことを聞くはずがない。Kさんは苦笑いしながらも「大丈夫ですよー。もう20年くらい使ってる古いやつでね・・・結構汚れてるんですよ」我々が6兄弟と共に撮影した後ろの壁にかかっていた富士山はかの「横山大観」の力作で「富士に雲」、そして天皇陛下のために描いたという「松の間」にある「富士に桜」という作品は価格がつけられないほどだそうだ。東京駅は世界の4つの駅と姉妹駅になっている。アムステルダム、フランクフルト、新竹(台湾)、そしてニューヨークのグランドセントラル駅である。それぞれの提携文書と相手駅の帽子が飾ってあった。

姉妹駅の提携文書と帽子の陳列棚の上に大きな掛軸がかけてある。漢字二文字でちょっと見何て読むのかは分からない。「(まさか「笑点」じゃないよね・・・)」と眺めていたのだが、私も泊まったことのある永平寺の偉い禅師が書いた「無事」という書だそうだ。「(まあ、鉄道会社だからなー)」と思っていたら「『何もなくて良かった』という意味ではなく、(無事を願って)みんなで額に汗して働く過程が大切だ」という意味なんだそうだ。また東京駅の2階は開業時、テレビでも紹介されたが「東京ステーションホテル」となっている。駅舎の復元には500億円もかかっており、建物が重要文化財になっている日本でただ一つのゴージャスホテルということだ。Kさんによると前のホテルではこの駅長室の真上は205号室で、最も人気が高かったそうだ。「日本一の駅の駅長室の真上で眠りたい、という人が多かったんでしょう」と語った。今は駅長室の2階は二つの部屋になっているらしい。ウルトラ戦士との撮影を終え興奮しまくりの子供たちが、モノを壊さないか駅員はヒヤヒヤものだったと思うが、お礼を言って深みのある駅長室を後にした。

撮影会も無事終了し、会場を出た我々は早速丸の内南口にあるという「原首相遭難現場」を見に行った。切符売り場の近くに当時の様子を綴ったプレートがあり、場所はすぐに分かったが事件現場とされるところは白いタイルに小さな小さなマークがポチっとあるだけで、「こりゃー、案内版があっても聞かなきゃわからないわなー」と苦笑しあった。また私は数日後、仕事で東京駅を訪れる機会があったので、中央通路にあると言われた「浜口首相遭難現場」も探したのだがどうしても見つからない・・・(何せやたらに広い通路だし)。会合時間に間に合わなくなるので、已む無くインフォーメーションのお姉さんに「あのーぅ、その昔、浜口首相が襲われた現場があると聞いたんですが・・・」と恐る恐る尋ねると、さすがJR、そんな間抜けな質問にも対応が行き届いていて「あーぁ、すぐ近くです。向こうの丸い柱の左側、階段の手前に茶色い菱形になっているタイルがあるの見えますか?あれが現場です。また奥の柱にプレートがありますよ。」なるほど、原首相と違って、近くに壁がなく案内板から離れているから、聞かないと絶対に分からないな。。。しかも原首相のとはマークの形も違う。。。
新駅が開業した時も珍しくて、色々と駅の中を歩き回ったが、さすがに日本一の東京駅、まだまだ知られざるスポットがたくさんありそうだ。ネット上に東京駅の噂や隠れ名所、都市伝説みたいな話もたくさんある。中々探検のためだけに足を運ぶことはないだろうが、通るごとに一つずつでも探っていこうと思う。

        


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2 コメント

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Unknown (小夏)
2016-04-24 11:18:47
こんにちは!
なんとなんと、夢のウルトラ写真会の後も夢の様なつづきを体験されたのですねー!
駅長室(よく見ると上のボードに書いてある?)の入り口からだなんて、わくわくもマックス!中央口が無いとは、、一つ一つがなんと興味深いんでしょう!
京都御所でも面会の待合所が三クラス、もしやと思ったらやっぱり!
皆の心にドラマが多々ある駅、血なまぐさい歴史もあるのですねぇ。多くの人が忙しく行き過ぎる駅もふと足を停めてみると気づかされるものですねぇ。
東京駅が新しくなるや否や、友人のお土産がステーションホテルの虎屋さんの東京駅限定パッケージ一口羊羹、これ心に残っています♪それに別の友人ご夫妻は東京駅でやはりなにか特別なものを見学に行ったとか聞きましたが、師匠のは一気に一生分以上のものをご覧になり、これは本当に嬉しいご経験でしたね~。ご一緒だったのは甘辛君だったのですよね。彼にとっても良い春の門出になりましたね。
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Unknown (磯辺太郎)
2016-04-24 12:31:44
小夏さま

そーなんです。ウルトラだけでも夢気分でしたが、さすがコラボったのがJRなので色々美味しいことをやってくれました。扉の上に「駅長室」とプレートがありますが、隣の「開かずの中央口」が凄すぎて誰も気が付かないのですよ。ちょうどその入口の向こう側が「松の間」のようです。
京都御所でも松竹梅の間があったのですか?!さすが師匠も中々見られない名所をおさえておられますね。

血なまぐさい歴史・・・そうですね。「ここがそーなんです!」と明るく紹介できるポイントじゃないですからねえ。ホント、小さなマークなんですよ。いらした時にはぜひご覧になってください。
新駅を開業してしばらくは限定アイテムや駅ツアーも結構あったらしんですが、今は落ち着いているようですね。ツアーは今度企画されたら必ず参加したいと思います。師匠に教えてもらったJAL工場見学のように楽しみです。
小さなお子さんは退屈そうでしたが、大学生くらいになると駅の歴史も興味深そうに聞いておりました。
息子にとっては中々できない門出の1日になったようです。
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