超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

開花

2011-04-10 21:52:18 | 出来事
桜の開花シーズンに合わせてだろうか、FM横浜で「私の開花」というタイトルで聴取者のメールを募集していた。
私は自分でいうのも何なのだが、筋金入りの「中途半端モノ」だ。子供の頃から大人になってからも何かひとつくらいは「1等賞」「入賞」などという冠があるのが普通だと思うが、学問やスポーツ、芸術その他あらゆる分野で見事なくらいに「何もない」。。。
友人の家に行くと必ず賞状とか、トロフィのようなものがいくつかは飾ってあるのをいつも羨ましく思っていた。

      

むかーしからスポーツにしろ勉学にしろ、何でも「そこそこは」できたが、「極め付け」にデキるものはひとつもない平凡な道を歩んできたのである。
人間、自分の才能が開花するのを感じるのが最も大きな「快感」だろなと思うのだが、残念ながらそんな経験が一度もない。。。
別にある分野の特殊な才能でなくてもよいのだ。社会人になって(特に管理職になって)他人が「開花」するのは何度か見た。歳を経てくるとこれはこれで自分の快感でもある。

結構大規模な社内の新しい基幹システムを6人チームで立ち上げたときのことだ。普通は仕事の流れに合わせて完全オーダーメイドで開発するのが常なのだが、とにかく時間が足りず「売っていたものを改造する」という方式を採用した。
今ではWeb機能が主流だが、当時はそれぞれのPC端末に専用ソフトをインストールして運用する。
入社5年目くらいだった若手男性社員(通称ペコちゃん)は設備を管理するサブシステムの担当だったが、悪戦苦闘の連続だった。できたてのホヤホヤで性能が安定しない中、1日おきにバージョンアップ(というと聞こえがよいが、バグ対処ともいう・・・)を繰り返し、その都度200台からの端末をインストールし直していた。

ある日、自宅のマンションで寝ていた彼は突然起き出してベランダに駆け寄り、「あと25台やんなきゃ!」とうろうろ歩き回ってまた寝ついたそうだ。
寝ても覚めてもインストール地獄で「夢遊病」になったようなのだ。
協力会社のスタッフがよく彼を支えてくれていたが、晩年5回表を投げた江川卓のようにいかにもヨレヨレで、いつ降板させるか私はベンチでタイミングを見計らっていた。

その彼がいつの日だったか突然ぱーっと「開花」したのである。スポーツのように「技」ができるようになったわけではない、数学のように突如閃いて難解な方程式が解けたわけでもない。
スピリチュアルに言うと、オーラが変わったのである。
交代寸前だった彼は見事に難局を切り抜け、ユーザーから絶大な信頼を得た。私はこのサブシステムについては全権を彼に委ねることにしたのだ。
その後も何人か同様な「開花」を見てきたが、実に気持ちのよいものだ。ある意味自分が「開花」するよりも快感かもしれないな。
特に「絶体絶命のピンチ」を辛くもしのいでモノにしたときに起こることが多い。

昨年末入院していたときに、友人から教えてもらった「スーザン・ボイルさんのオーディション」の映像、これを見たときには興奮でうち震えた。
彼女の年齢は我々とほぼ同じ、聴衆全員の冷ややかな視線をスタンディング拍手に変えたのはまさしく「開花」だった。
彼女は子供の頃からなりたかったプロの歌手に今そうでないのは「機会がなかったから」と言った。
強く念じることがあれば、この先も何かが開花する可能性はないとは言えないよな。

ある先生の言葉がヒントになったのだが、「特定の分野で世界的なレベルになるのは極めて難しいが、合わせ技なら簡単に『世界有数』になれる」
その先生はフランス文学史か何かが専門だったが、合気道の先生でもあり、能楽を演じる。
つまりそれぞれ一分野では何万分の一だが、組み合わせると世界でも数人しかいない、というのである。
私も子供の頃、ほぼ似たような考えで「オレは茅ヶ崎で最強だ」と思っていた。

滅多なことで人に負けないモノが3つあったのだ。ブロック崩し、ジェットコウモリの連続回転、ザリガニ採り、である。
まだ「インベーダーゲーム」が流行る遥かに前、近所の駄菓子屋に100円で遊ぶ元祖「ブロック崩し」ゲームがあった。
画面下部にある水平なスティックをダイヤルを回して左右に動かし、電子の玉をはじき返して画面上部にあるブロックに当て、ひとつづつ消していく単純なゲームであった。
社会現象になるほど流行ったものでもなかったが、1機しかないゲームによく列を作っていたものだ。

電子玉をスティックから外して落としてしまうと代わりは2つだけある。またある一定のブロック層を消すとスティックの長さは半分になり、電子玉の動く速度が倍になってしまう。さらに天井に反射すると4分の一になる。
画面は全部で5面、終わりまで行くと秘密の画面が現れるのだが、なかなかそこまでクリア出来る者は少なかった。
少年太郎は野球の帰りとかに通い詰め、ある日その才能を「開花」させて、ついに「最初の1玉で全面クリア」できるまでに至ったのである。私の知る限りこれができるのは、先日ギンさん家に一緒にお邪魔した「ガンさん」しかいない。。。

次の「ジェットこうもり」は「飛行機飛び」のような鉄棒技である。その名のとおり、膝を折り曲げて内側に鉄棒を挟み込み、逆さにぶら下がって反動をつけ、大きくのけ反って膝を離して着地するのを「こうもり降り」と言った。
これを鉄棒の上に座った状態で手放しで一回転し着地するのが「ジェットこうもり」である。これができるのは小学校で10人はいなかった。。。
私は数少ないマスターとして日夜、技を磨いていた。ひねりを加えたり、前回りを入れたり。。。そしてある日突然開花し、「連続して回転する」技を身に付けたのである。
最大30回転くらいだったろうか、器械体操の技としては何ら評価されなかったが、とにかく出来る者がいなかった。

最後が「ザリガニ採り」である。鬼ヤンマ捕りもかなりの熟練技だったが、そもそも鬼ヤンマ自体が滅多にいなかった。(今のほうが自然が戻ったのである)
ずばり言って私はザリガニの動きが「予測」できた。逃げる時は猛スピードで後方に吹っ飛ぶのだが、その先に網で待ち構えてキャッチするのだ。バケツの中には大抵他の悪友の倍近い獲物がわさわさ入っていたものだ。
そして普段は中々みられない巨大なアメリカザリガニがたまにいる。これを我々は「マッカチン」と呼んで、これを捕獲したものは仲間から畏敬されていた。
マッカチンは本流であるドブ川から抜け穴を持ち普段はそこにいるので上からは滅多に見つけられない。
しかし横穴があるのだ。ここにズボっと手を突っ込んで一気に引っ張りだす。
下手をすると挟まれるし、強く握り過ぎるとカラダが引きちぎれたり、つぶれたりしてしいまう、実に勇気のいる繊細な技だったのである。

この3つの総合得点を競わせたら、茅ヶ崎どころか神奈川でも相当上位にいたはずだ。
(世の中には似たような多彩な得意技を持つ人が驚くほどいるから、せいぜい県大会だな)
先生の談はこれとはだいぶ意図が異なるだろうが、ようするに人より優れていると結構自信を持って言える技を複数組み合わせれば、「世界でも3本の指に入る」のは可能だと思う。
しかし大事なところは、組み合わせるモノが社会システム上そこそこ認められる分野でなければならないということだ。ここが子供と違ってつらいところだな。。。
自分にはどんな組み合わせができるだろうかなー。    

  

昨日、スピリチュアルヒーリングの先生に再会した。「長い筋肉を鍛えるために何かやってますか?」結構前のことなのにちゃんと覚えてるんだな。
私は正直に答えた。「フィットネスジムで腹筋・背筋を100回、ジョーバで上半身捻り運動を15分、地面がブルブル震えるダイエットマシンを10分、スタジオプログラムはダンベル&チューブ、ボクササイズ、スローヨガ、JPOPダンス、エアロビクスなどです。やりだすと止まらなくなって、今や週3回ペースでヘトヘト・・・」
私があの後、「気」の関連書物と「江原啓之さん」の著書を借りて読んだことをずばり予見したという先生は「太極拳がよい」とおっしゃる。
早速土日、自宅付近で体験できる教室がないか調べてみた。。。これから「開花」する可能性は少ないと思うが、久々に「未知の世界へ突入」する予感が走ったのである。