令和5年7月27日(木)
照会先 労働基準局安全衛生部労働衛生課
令和5年度「全国労働衛生週間」を10月に実施
今年のスローガンは「目指そうよ二刀流 こころとからだの健康職場」
厚生労働省は、10月1日(日)から7日(土)まで、令和5年度「全国労働衛生週間」を実施します。今年のスローガンは、一般公募で募った322作品の中から、石井 彩音さん(茨城県)の作品「目指そうよ二刀流 こころとからだの健康職場」に決まりました。
全国労働衛生週間は、労働者の健康管理や職場環境の改善など、労働衛生に関する国民の意識を高め、職場での自主的な活動を促して労働者の健康を確保することなどを目的に、昭和25年から毎年実施しており、今年で74回目になります。毎年9月1日から30日までを準備期間、10月1日から7日までを本週間とし、この間、各職場で職場巡視やスローガン掲示、労働衛生に関する講習会・見学会の開催など、さまざまな取り組みを展開します。(別添中8・10参照)
労働衛生分野では、高年齢労働者をはじめとした労働者の健康管理、過労死等の防止を含めた長時間労働による健康障害の防止対策やメンタルヘルス対策、病気を抱えた労働者の治療と仕事の両立支援をサポートする仕組みを整備します。また、化学物質対策では、特定化学物質障害予防規則、石綿障害予防規則などの関係法令に基づく取り組みの徹底を図るとともに、各事業場におけるリスクアセスメントとその結果に基づくリスク低減対策の実施を促進していきます。
今年度のスローガンは、働く上で基本となる健康の確保について、「こころ」と「からだ」の両面から対策を進めることで、誰もが快適で健康に働くことができる職場づくりを目指していくことを表しています。
◎令和5年度全国労働衛生週間 実施要綱
1 趣旨
全国労働衛生週間は、昭和 25 年の第1回実施以来、今年で第 74 回を迎える。この間、全国労働衛生週間は、国民の労働衛生に関する意識を高揚させ、事業場における自主的労働衛生管理活動を通じた労働者の健康確保に大きな役割を果たしてきたところである。
労働者の健康をめぐる状況については、高齢化の進行により、一般健康診断の有所見率が上昇を続けているほか、何らかの疾病を抱えながら働いている労働者が増加するとともに、女性の就業率が上昇し、働く女性の健康問題への対応も課題となっている。また、中高年齢の女性を中心に、転倒などの労働者の作業行動に起因する労働災害が高い発生率となっている。人生 100 年時代に向けて高年齢労働者が安心して安全に働ける職場環境づくりを推進していくためにも、高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)に基づく対策の推進とともに、労働者の健康管理や治療と仕事の両立への支援をさらに推進していく必要がある。
また、過労死等事案の労災認定件数は、令和4年度には 904 件となっており、引き続き過労死等を防止するためには、働き方改革の推進と相まって、長時間労働による健康障害の防止対策の推進が必要である。このうち、特に精神障害による労災認定定件は令和4年度には 710 件と過去最多となっており、メンタルヘルス対策をさらに強化していく必要がある。
さらに、労働者の健康確保において、産業医の選任義務のない小規模事業場における体制確保や取組の推進が大きな課題となっている。これらの事業場は全体の 96%を占めており、小規模事業場における健康確保対策の推進が重要である。
化学物質による休業4日以上の労働災害は、450 件程度で推移し、特定化学物質障害予防規則等の特別規則の規制の対象となっていない物質を起因とするものが全体の8割を占めている。また、化学物質等による重大な遅発性の職業性疾病も後を絶たない。このため、厚生労働省では、従来、特別規則の対象となっていない全ての危険・有害な物質への対策を強化するため、事業者が自ら行ったリスクアセスメントの結果に基づき、ばく露防止のために講ずべき措置を適切に実施する制度を導入した。この仕組みを実効あるものとするため、ばく露の上限となる濃度基準値の設定、危険性・有害性に関する情報伝達の仕組みの整備・拡充を行うため、所要の法令改正を順次、行っているところである。
また、職業がんの労災補償の新規支給決定者は、石綿による中皮腫・肺がんを中心に年間約 1,000 人にも及ぶところ、石綿の製造・使用等が禁止される前に石綿含有建材を用いて建設された建築物が今なお多数現存している。その解体工事が 2030 年頃をピークとして、増加が見込まれる中、解体・改修前に義務付けられている石綿の有無に関する事前調査や石綿の発散防止措置が適切に講じられていない事例が散見されたことを踏まえ、一定の建築物や工作物などの解体・改修工事については、資格者による事前調査や、石綿事前調査結果報告システムを用いた報告の義務化など、石綿によるばく露防止対策の強化を進めている。
このような状況を踏まえ、第 14 次労働災害防止計画(以下、「14 次防」という。)において、令和5年度より「自発的に安全衛生対策に取り組むための意識啓発」や「労働者(中高年齢の女性を中心に)の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進」、「労働者の健康確保対策の推進」、「化学物質等による健康障害防止対策の推進」等合計8つの重点を定め、労働災害防止対策を進めている。
さらに、建設アスベスト訴訟の最高裁判決(令和3年5月 17 日)を踏まえ、有害物質による健康障害の防止措置を義務づける労働安全衛生法第 22 条の規定に関連する労働安全衛生規則等 11 の省令の規定について、請負人や同じ場所で作業を行う労働者以外に対しても、労働者と同等の保護措置を講ずることを事業者に義務づける改正が実施され、令和5年4月に施行されており、事業者に求められる労働衛生対策の実施対象の幅は広がっている。
このような背景を踏まえ、今年度は、「目指そうよ二刀流 こころとからだの健康職場」をスローガンとして全国労働衛生週間を展開し、事業場における労働衛生意識の高揚を図るとともに、自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図ることとする。
10 実施者の実施事項
- 全国労働衛生週間中に実施する事項
- 準備期間中に実施する事項
(イ)「労働者の心の健康の保持増進のための指針」等に基づくメンタルヘルス対策の推進に関する事項
a 事業者によるメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明
b 衛生委員会等における調査審議を踏まえた「心の健康づくり計画」の策定、実施状況の評価及び改善
c 4つのメンタルヘルスケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)の推進に関する教育研修・情報提供
d 労働者が産業医や産業保健スタッフに直接相談できる仕組みなど、労働者が安心して健康相談を受けられる環境整備
e ストレスチェック制度の適切な実施、ストレスチェック結果の集団分析及びこれを活用した職場環境改善の取組
f 職場環境等の評価と改善等を通じたメンタルヘルス不調の予防から早期発見・早期対応、職場復帰における支援までの総合的な取組の実施
g 「自殺予防週間」(9月 10 日~9月 16 日)等をとらえた職場におけるメンタルヘルス対策への積極的な取組の実施
h 産業保健総合支援センターにおけるメンタルヘルス対策に関する支援の活用