中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

うつ病で孤立の友人が心配(続編)

2016年06月13日 | 情報

相談者の文面に「産業医も適切な治療を勧めていないようです。」とありました。
相談者は、本人ではなく、第三者としての伝聞情報ですから、
いろいろな誤解や曲解も混じっているものと推測できます。
しかし、一般論として、企業の産業保健活動において、ストレスチェック制度の施行もあり、
産業医の役割は、とても重要になっています。
これまでも、繰り返し産業医の役割や重要性、実務上のポイントなどを紹介してきましたが、
「産業医とは何か」を、東京都医師会のHPより、ポイントとなる項目のみ転載します。
なお、本文の最後に重要な記述がありますので、重複しますが、確認しましょう。
産業医の能力や権限で完結できる業務と産業保健スタッフの協力無くしては遂行出来ない業務や、
事業者の了解や協力を得なければ一歩も進まない業務があります。

〇産業医とは
産業医とは、事業場において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、
専門的立場から指導・助言を行う医師を云います。
産業医学の実践者として産業保健の理念や労働衛生に関する専門的知識に精通し
労働者の健康障害を予防するのみならず、心身の健康を保持増進することを目指した活動を遂行する任務があります。

〇産業医の要件
1996(平成8)年の労働安全衛生法の改正により「産業医は労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に
ついて厚生労働省令で定める一定の要件を備えた者でなければならない」と規定されました(安衛法第13条第2項)。
ここで定められている一定の要件とは以下の通りに定められています。
(安衛則第14条第2項)
(1) 厚生労動大臣が定める産業医研修の修了者。
これに該当する研修会は日本医師会認定の産業医学基礎研修と産業医科大学の産業医学基本講座があります。 
(2) 労働衛生コンサルタント試験(試験区分保健衛生)に合格した者。
(3) 大学において労働衛生を担当する教授、助教授、常勤講師の職にあり、又はあった者。
(4) 厚生労働大臣が定める者。

社会情勢の変化とともに目まぐるしく変わっていく職場環境で産業保健サービスも最新で高い水準が要求されます。
生涯研修の受講など資質の継続的な向上に努め、産業保健スタッフの中心となって活躍してもらうことが期待されます。

〇産業医の職務
産業医の職務の内容は健康障害の予防と労働者の心身の健康保持、増進に資することを目的とした
広い範囲にわたるものです。
産業構造の変革、労働者の高齢化、IT技術の進展にともなう作業態様の変化、
メンタルヘルス・過重労働問題等社会情勢の変遷に対応して業務の重点項目も変動します。
また、健康情報管理の問題や事業者の健康配慮義務は新しい法律の施行や裁判所の判例によって
対策の在り方が変わってきます。

産業医の業務を実務分野別に整理しますと「1.総括管理」、「2.健康管理」、「3.作業管理」、
「4.作業環境管理」、「5.労働衛生教育」の「5管理」に分類することが出来ます。
産業医は作業現場、関係法規、行政制度に精通して職務の遂行にあたることは当然ですが、
産業医の能力や権限で完結できる業務と産業保健スタッフの協力無くしては遂行出来ない業務や、
事業者の了解や協力を得なければ一歩も進まない業務があります。
業種や事業場の諸事情等も勘案しながら適切に業務を遂行していきたいものです。


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