宮崎教授(千葉大学 名誉教授)のはなしを小耳にはさみました。
「2,300年では、ひとは変われない。
文明の急速な進歩に、ヒトは追いついていけない
ヒトは、ストレス状態になる。」
そこで、家具新聞のHPより、先生のお話の一部を紹介します。
https://kagunews.co.jp/page/detail/4693
人の起源は700万年前になります。産業革命が2、300年前に起きて急速に人の体が自然から乖離(かいり)していきました。
人の体は、実は自然に対応してできています。快適性とは、人と環境との間のリズムの同調であり、環境と自分のリズムがシンクロして一体化している時に持つ感覚だという考えを持っています。
例えば、自分にとって一番快適な物や人を思い浮かべてみてください。その思い浮かべたものは、自分の相手だったり環境だったりいろいろあるのですが、それが一体化した状態だろうと思います。
人の体は勝手に自然と一体化してしまうのです。その特異性を上手に使ったらいいのではないかというのが自然セラピー、あるいは木材セラピーの基本的な考え方になります。
ただ注意しなければいけないのは、快適性の種類です。昔の快適性研究は、ほとんど「暑い」「寒い」に関するものでした。私は五感に関わる快適性の研究をやりたいと思っていました。「暑い」「寒い」は、受動的快適性で個人差が少なく、皆同じ感覚になります。例えば、2、3日前にものすごく寒い日がありましたが、そんな日に暖かいところに行くとみんな気持ちいいと感じて個人差がありません。
それに対して木材セラピーあるいは自然セラピーは、個人差が大きいのが特徴であり、それが問題点でもあると言っていいのかもしれません。だからこそ研究者が少ないのです。しかし今後は、それが必要になってくることは明らかです。
木材セラピーの概念について少しお話します。現代人はストレス状態にあるというのが、われわれの基本的な研究仮説です。後で池井先生が説明しますが、木材に触れると生理的にリラックスするのは分かっています。脳活動を毎秒計測できるようになったことも最近の非常に大きな進歩です。
ストレス状態では気付かないのですが、実は免疫機能が下がっています。リラックスするとそれが改善されます。例えば風邪やがんを木材や自然で治すことはできませんが、病気になりにくくすることはできます。これが予防医学で、木材セラピーの狙いはそこにあります。ただ、免疫機能の改善効果の研究は、ホテルで3泊4日、ヒノキの香りをかいだという例しかなく、まだまだデータがありません。ここのところを東京原木協同組合さん、東京木材問屋協同組合さんと一緒に研究してみましょうとお誘いいただいて、原木協同組合さんとは4年やって、さらにまた4年。結果として8年間にわたる共同研究はほとんどありません。問屋協同組合さんとは、この木材会館の快適性を測ろうと計画しています。
次に自然セラピー研究の問題点についてお話しします。なぜ世界中で関心が持たれているのに自然セラピーの研究が少ないのか。
自然セラピーというのは、自然と人の間の相互作用の解明です。われわれの実験でも、森林や花、木材によって基本的にはほぼ例外なくリラックスすることが分かっています。それを上手に使ってストレス解消まで持っていこうというのが広義の定義です。自然と人との相互作用については、医学による共同研究によって解明しないといけないのですが、全くできていない。これは日本だけでなく世界でもそうです。
木材、森林、園芸…。何のための研究かというと人のための研究なのです。もう一つの大きな問題が、木材が人にどう役立つのかという研究が、大学の教育・研究システムになく、素材に特化していることです。これも日本だけではなく、世界でも同じです。人の存在が忘却されているのです。やはり医学研究者との共同研究が必須です。これをどうやっていくか。
(感想)
1.「農福連携」の原点ですね。
農水省HPより
https://www.maff.go.jp/j/nousin/kouryu/noufuku/index.html
農福連携とは、障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組です。
農福連携に取り組むことで、障害者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、
担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性もあります。
近年、全国各地において、様々な形での取組が行われており、農福連携は確実に広がりを見せています。
皆さんも、私たちと一緒に、農福連携に取り組んでみませんか。
2.新型コロナ、酷暑、集中豪雨、それに線状降水帯。聞きなれない言葉が、並んでいます。
古事記の中で、倭建命(やまとたけるのみこと、第12代景行天皇の皇子)が、
「倭(大和・やまと)は国の真秀(まほ)ろば 畳(たたな)づく青垣 山籠れる大和うるわし」と国をしのんで歌われています。
「まほろば」には「素晴らしいところ」という意味があります。
「まほろば」の国「にほん」は、どうしちゃったのでしょうか。
3.繰り返しますが、ある先達が、「20世紀は、物質の世紀、21世紀は、精神の世紀であり、人類の歴史はこれを繰り返す。」と
世紀末に仰っていました。
俗人の小生は「そんな馬鹿な、21世紀も当然に物質の世紀でしょ」と考えました。
しかし、事ここに至っては、「21世紀は、精神の世紀」であると改めて認識しています。
1000年前では、人間一生の出来事であったことが、今日では、わずか1日で消費してしまうとのことです。
デジタル情報は、幾何級数的に発展していきます。
一方で、算術級数的なアナログ情報は、永遠にデジタル情報の進歩には追いつけません。
しかし、「アナログ」にも良いところがたくさんあります。
「精神文化」の良さを、改めて認識しています。
スマホを脇に置いて、活字を読みませんか。
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