カスハラの特異性
〇カスハラは、パワハラ等同じハラスメントの中でも、異質ですので慎重に対処しなければなりません。
まず、カスタマーハラスメント(カスハラ)については、公式の定義づけがありません。
カスタマーハラスメント(カスハラ)は、一般的には小売店や飲食店で客から店員に対して行われるBtoC型ですが、
取引先から自社の従業員に対するBtoB型もカスハラになります。
取引先から自社の従業員に対するBtoB型もカスハラになります。
当原稿からは、離れますが、東京都は都条例で「カスハラ」を定義づけし、防止条例を制定する(24.4.21NHK報道)見込みです。
〇さて、カスハラと、カスハラ以外(パワハラ、セクハラ、マタハラ等)とは、何が違うのか?
カスハラ以外は、各法令によって「防止措置」が義務づけられています。
措置の内容は、いわゆる「パワハラ指針」(令2、厚労省告示5号)に示されている通り、
措置の内容は、いわゆる「パワハラ指針」(令2、厚労省告示5号)に示されている通り、
・方針の明確と周知・啓発
・相談体制の整備
・発生時の調査、被害者・加害者への対応
です。
一方で、カスハラ対策では、体制整備が望ましいとされているものの、義務化はされていません。
(参照)
「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して
雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)【令和2年6月1日適用】
雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)【令和2年6月1日適用】
〇しかし、カスハラ対策では、上述の防止措置義務はないものの、労契法第5条に基づく「安全配慮義務」が求められています。
労契法第5条では、
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、
必要な配慮をするものとする。」とされています。
必要な配慮をするものとする。」とされています。
つまり、従業員がカスハラを受けているのが明白であるのに、これを見逃す経営層、管理職層は労契法第5条に違反することになります。
ただし、会社側が然るべき処置を施している場合には、例えトラブルがあったとしても、
会社側には、安全配慮義務違反が否定された判例もありますので、会社側は対策を怠らないように注意が必要です。
結果的に、内容的にはカスハラ以外と同様になります。
〇続いて、労災保険関係です。今回(23.9.1施行)、「心理的負荷による精神障害の認定基準」の別表に、
「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」とあるように、カスハラが具体的な出来事として追加されました。
「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」とあるように、カスハラが具体的な出来事として追加されました。
〇従業員がカスハラを受けているのが明白であるのに、これを見逃す経営層、管理職層は処罰の対象になりますので、
細心の注意・配慮が必要であることを強調します。
細心の注意・配慮が必要であることを強調します。
〇参考になるサイト
「あかるい職場応援団」厚労省
カスタマーハラスメントを知っていますか?
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