中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

カスハラを甘く見てはいけません。

2023年12月13日 | 情報
経営層にとっては、重要な経営課題です。
なぜ人事労務レベルではなく、経営課題なのか? 
それは、この問題を放置しておくと、優秀な人材の離職、売上・利益の低下という、企業の屋台骨を揺るがしかねない問題だからです。

〇「お客様は神様です」は、昭和の時代の残滓です。
カスハラを甘く見てはいけません。お客さまでから、従業員は我慢しなさいは、もう通用しません。

〇精神障害の労災認定基準の改正の改正については、当ブログでも紹介済みですが、
いわゆる「カスハラ」について、弁護士 中野 公義氏は、専門誌(ビジネスガイド誌 2023.11 NO.939)において、以下のように述べています。

「企業においては、法令上義務付けられている措置をとることは当然として、
メンタルヘルスについてのケアやその予防等の措置を講じることが、
これまで以上に強く求められることとなります。
特に、カスハラが出来事の累計に追加されたことが象徴的です。
カスハラは、企業からすれば、取引先等の第三者の行為が原因であり、
企業自身に不法行為等の責任が一次的に生じるものではありません。
しかし、そうでないとしても、労働者から相談を受ける、事案を把握するなどした場合には、
企業自身の問題としての対応を求められることが明確になったといえます。
さらに、働き方改革以降、労働時間規制が強まる中、努力義務であるとしても、
休息期間確保の重要性が一層認識され、労災認定における重要な要素として位置づけられたものといえます。
そのためハラスメントおよび労働時間について、法令の遵守は当然のこととして、
企業内での現状を把握するとともに、対処すべき事案、改善すべき状況が認められれば、早急に対応がとられるべきです。」

〇「死ね」「バカ」 551蓬莱社員死亡、カスハラとして遺族提訴
毎日新聞 2023/11/22  

豚まんで有名な「551蓬萊」(大阪市)の社員だった男性(当時26歳)が自殺したのは、
客から理不尽なクレームを受けるカスタマーハラスメント(カスハラ)や長時間労働が原因だとして、
男性の母親が、労災と認めなかった国の決定の取り消しを求めて提訴した。
22日に大阪地裁で第1回口頭弁論があり、国側は請求棄却を求めた。

訴状によると、男性は2015年3月に入社後、通信販売の電話受付業務を担当。
チルド商品の注文やクレームの電話に対応し、客から「死ね」「バカ」などと罵声を浴びせられることもあった。
17年10月にうつ病と診断されて休職し、18年6月に自殺した。
遺族は労災申請したが、大阪中央労働基準監督署は21年3月、「心理的負荷は強くなかった」として労災と認めなかった。
会社の業務日報には、男性が受けたとされるクレームの内容が記されていた。
それによると、注文者から「届け先の電話番号が分からない」と電話があり、「何かあったら注文者に連絡する」と伝えたところ、
「昼間は電話なんて出られない」と怒られ、「回りくどい説明しやがってボケ。上の者出せ」とまくし立てられる
▽配送先が決まっていないが購入したいという客から問い合わせがあり、システム上は対応できないと答えると、
「もう購入するなって言いたいんですか」と激怒され、一方的に電話を切られる――といった出来事があったという。
遺族側は、人格を否定するようなカスハラに加え、
多い時で月100時間程度の残業によってうつ病を発症して自殺に至ったと主張している。
また遺族側によると、職場の電話機は当時、通話内容を録音できず、
かかってきた電話の番号を表示する「ナンバーディスプレー機能」もなかったという。
男性は母親に「(客から電話の)録音を聞き直せって言われても『録音がない』と説明するとまた怒られるからしんどい」と話していたといい、
遺族側は「迷惑行為から従業員を守る設備がなかった」と会社の対応を批判する。

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