中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

長時間残業の解消法

2012年10月09日 | 情報
今日のようにメンタルヘルス問題が脚光を浴びるきっかけとなった、
電通事件最高裁判決(最高裁第2小法廷平成12年3月24日判決)には、 
「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、
業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する
義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、
使用者の右注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである。」として、
使用者は、労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うとしました。

その注意する義務として、最も「分りやすい」義務が、長時間残業の削減です。
そこで、以下に長時間残業の解消法の一端を紹介します。

1.業務内容の見直し
これは、当たり前のことで、すでに取り組んでいることでしょう。ところが企業独自の伝統と文化という隠れ蓑のもとに、
意外とできていないのです。見直しが進んでいません。
原因は、セクショナリズムです。企業は歴史を積み重ねて、伝統と風格が社会に認知されてきますが、
同時に組織の端々に、いわゆる「垢」が溜まってきます。これを各部門の責任者は既得権益として守ろうとします。
そこで、営業も生産も物流も人事も経理も総務も、いったん全部解体して、各業務を順位づけしましょう。
そんなことできないよ、という声が聞こえますが、無理を承知で敢えて実施してみてください。
そうすると、必ず下位に位置づけられるような業務、すでに役割を終えている業務、外部に委託しても差し支えない業務が
見つかるはずです。
そうして、御社の贅肉や「垢」をきれいに洗い流しましょう。

2.業務量の見直し
業務内容の見直しが終わったら、各部門に対する業務量を再配分します。
これもセクショナリズムが頭をもたげます。業務量が増加する部門は、それに伴う人員増を期待しますので、
大歓迎でしょう。一方、業務量が削減させる部門は、その反対です。
しかし、業務量の再配分で終わってはいけません。必要によって、部門の分割または統合も検討します。

3.人員の見直し
1.と2.とにより、当然に人員配置の見直しを実施しなければなりません。
忙しい部門には、増員しなければなりません。そのために減員となる部門もでることでしょう。
さらに、「こいつは、要らない。あいつが、欲しい」というような争いも起こるでしょう。
人事部門は、社内の大局的見地に立って、どのような批判を浴びようとも、怯むことなく
人員配置の見直しをトップに対して提案しなければなりません。

4.管理職は、率先垂範
管理職は、プレーイングMでなくても、常に部門の先頭に立って率先垂範しなければなりません。
管理職は、常に1歩前を見据えて、意思決定をしていかなければなりません。
自分の椅子を、いつも暖めておくことが仕事ではないことを自覚させなければなりません。
このような考えの管理職は、さっさと配置転換しましょう。
部下は上司に逆らえません。部下は上司を選ぶことができません。部下にとって上司は最大のストレス要因です。

5.管理職の評価項目に
例えば、営業部門の管理職であれば、与えられた販売目標の達成率が、第一評価項目でしょう。
そこに、長時間残業の抑制についても、5%か10%のウェートで評価項目に追加します。
そうすれば、部下に対して「契約できるまで帰ってくるな」と指示するような管理職はいなくなるでしょう。
管理職は、常に上を見て仕事をする傾向にありますから、こうした細やかな変更でも効果が期待できます。
















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