中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

IT業界は

2012年10月18日 | 情報
メンタルヘルス問題を抱えている従業員数は、全従業員の0.4%(労務行政研究所 2008年調査)
というデータがあります。これを仮に従業員数1万人の大企業に当てはめてみると、
少なくとも常時40人のメンタルヘルス不調者が社内に存在する計算になります。
これだけのメンタルヘルス不調者がいたのでは、企業の活力が低下するのは目に見えています。

これを、業界別にみると、IT業界は、2.0%と他業界の比べて圧倒的に高くなっています。
1000人規模のIT企業であれば、常時20人のメンタルヘルス不調者が社内に存在する計算になります。
そんな中で、またまた、長時間労働が原因で自殺したのは、過労死であると、会社側敗訴の裁判報道がありました。
労災であると認められているのですから、会社側がこれを覆すのは難しいでしょう。
ですから、会社側にとって、訴訟費用や関係者の労力がまったく無駄になってしまいます。
特に、時間外労働の管理には、細心の注意が必要です。

自殺者の生前の残業時間が長時間労働
福岡の女性SE過労死、6800万円賠償命じる判決
 情報処理システム会社の福岡事業所に勤務していた福岡市のシステムエンジニアの女性(当時31歳)が
急死したのは過酷な労働が原因として、両親が同社合併後にできた「アドバンストラフィックシステムズ」(本社・東京)に対し、
慰謝料など計約8200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、福岡地裁であった。
 府内覚裁判官は「死亡と会社の業務との間には因果関係がある」として、同社に計約6800万円の支払いを命じた。
 判決によると、女性はシステム移行などを担当。2007年2月の時間外労働が約127時間に上った。
3月に仕事上のミスなどが原因で自殺未遂をした。約1か月間休養を取った後に復職したが、
深夜残業など過酷な勤務が続き、5日後、東京出張中に致死性不整脈で死亡した。福岡中央労基署は09年に労災認定した。
(2012年10月12日 読売新聞)

SE過労死認め、会社に6800万円賠償命令 福岡地裁
システムエンジニア(SE)の女性(当時31)が不整脈で死亡したのは過労が原因だとして、
勤務先だったシステム開発会社「アドバンストラフィックシステムズ」(東京・新宿)に
両親が約8200万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡地裁(府内覚裁判官)は12日までに、
過重労働と死亡の因果関係を認め、約6800万円の支払いを命じた。
判決理由で府内裁判官は、女性がシステム開発を担当していた2007年2月の時間外労働は100時間を上回り、
納期のため日常的に精神的緊張があったと指摘。「脳・心臓疾患の発症をもたらす過重なものだった」と認めた。
同社は「判決文を見ていないのでコメントを控える」としている。(2012/10/12 日経)

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