中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

行政当局の動きを無視してはいけない

2012年03月16日 | 情報
前項どおり行政当局は、「普及・啓発から個別指導へ」と動き出しているのです。

発端は、厚労省労働基準局長通達(基発第 0 3 2 6 0 0 2 号
平成21 年3 月26 日・当面のメンタルヘルス対策の具体的推進について)です。

この通達を受けて、厚労省では、労働局単位に監督官等を対象にした
MH問題の集中教育を実施しています。
その結果、行政当局は、「普及・啓発から個別指導へ」と動き出しているのです。

重要なことは、労基署が事業所に立ち入り検査した際に最初に聞くことが、
「衛生委員会を実施していますか?」
「実施しているなら、記録を見せてください」です。
「衛生委員会」の位置づけ、重要性が、以前と比べて格段に高まっていることです。
「衛生委員会」は、いまや「役員会」「経営会議」と同等です。
中小企業であれば、「経営会議」で「衛生委員会」を実施してもよいくらいです。

特に、人事労務担当は以下の通達を確認する必要があります。

厚労省労働基準局長通達(基発第 0 3 2 6 0 0 2 号平成21 年3 月26 日)
第1 基本方針
厚生労働省実施の平成19 年労働者健康状況調査によると、職業生活等において
強い不安、ストレス等を感じる労働者は約6 割に上っており、また、メンタルヘ
ルス上の理由により連続1 か月以上休業し、又は退職した労働者がいる事業場は
7.6%であるという結果となっている。このような状況を背景に、精神障害等によ
る労災支給決定件数は増加傾向にあり、平成19 年度は268 件と3 年前に比べ倍増
している。
さらに、警察庁調べによると、我が国における自殺者数は10 年連続で3 万人を
超えており、そのうちの約3 割が被雇用者・勤め人(会社役員等管理的職業を含
む。)である。
このような状況に加え、経済情勢の悪化等の影響により、仕事の質・量、職場
の人間関係を始めとした職場環境等の悪化、これに伴う心の健康問題を抱える労
働者の増加が正規・非正規を問わず危惧されるところであり、特に、自殺者数の
増加が憂慮される。このため、心の健康問題の未然防止に向けた事業場の取組を
促進させる必要がある。
一方、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業場の割合は、平成19 年労働者
健康状況調査によると33.6%と、5 年前と比較していずれの事業場規模でも向上
しているものの、労働災害防止計画に掲げる目標達成に向けてより一層の取組が
必要である。
以上を踏まえ、メンタルヘルス対策の一層の推進を図ることとし、とりわけ事
業者の強いリーダーシップはもとより労働者も積極的に協力し組織的な取組を行
わせること、具体的な取組に当たっては指針に基づき個々の事業場の実態に即し
た取組を着実に実施させることを基本とする。
また、メンタルヘルスに取り組んでいない事業場のその主な理由として「専門
スタッフがいない」及び「取り組み方が分からない」が挙げられていることを踏
まえ、事業者の取組に当たっては、メンタルヘルス対策支援センター事業を始め
とする各種支援事業の積極的な活用を図ることとする。
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