3月号のナショナル ジオグラフィックの地球の悲鳴特集は「滅び行くゾウの王国」である。
餌を探しに保護区である公園の外に出て行く800頭のゾウを先導するのは年老いた雌。家族の安全を守るためにけもの道や渡河地点、人間の住居や道路など危険が潜む所や、食料となる草や水のありかなどを知り尽くしている、賢くなければ生き延びれない。
それでも、毎年、膨大な数のゾウが密猟者に殺されて、絶滅の危機に瀕している。
1970年代前半からゾウの数は急速に減っていて、今では、大規模な生息地はアフリカ全土で2箇所だけで、それでも夫々4000頭に足らないのだというのである。
サバンナを突き進むそんなゾウの大群、顔を切り刻まれた無残なゾウの死体、水場に殺到するゾウ、牙をささげるレンジャー隊員、流石にナショナルジオグラフィック誌で、そんな生々しいドキュメンタル写真が、ゾウの悲劇を生々しく伝えている。
サハラ砂漠の南方、中央アフリカのチャドにザクーマ国立公園が出来てゾウが保護されているが、狭くて食料がなくなるので、ゾウたちは春から秋にかけて公園外に出るので、この管轄外の公園外で、アラブ人遊牧民の密猟者たちの餌食になるのだと言う。
この3月号には、密猟者とレンジャーの銃撃戦、死体となって残されたゾウの象牙解体状況等レポートされているが、実に悲惨で悲しい。
1979年から1990年にかけて50万頭のアフリカゾウが殺されており、1989年にワシントン条約によって象牙取引が国際的に禁止されたにも拘わらず、いまだに象牙に対する需要が高いのだと言う。
巨大なゾウを殺して2本の象牙を得たとしても、密猟者の手に入るのは、精々2~3袋の雑穀と少しばかりの砂糖とお茶くらいで、何百頭のゾウを殺しても貧しいだけだと言う。
意図的かどうかは知らないが、「中国では象牙の利用が急増し、インターネットで世界中に向けて販売されている。」書いているが、中国人は金になるなら何でもやると言うことなのであろうか。
アニーと言う雌ゾウにGBS発信機を付けたら、86日間で1634キロメートルの旅をしたのだが、公園の北側で密猟者に殺されてしまったと言う。
地図上に描かれたアニーの縦横無尽に動き回った旅の軌跡が実に切ない。
話は変わるが、
アメリカには、National Wildlife Federationと言う環境保護団体がある。
このホームページを見ると、北極熊の救済キャンペーンを行っている。
地球温暖化の影響を受けて、北極海の海氷が年々解けて後退し始めており、年間2万3千平方マイル、言い換えれば、10年で9%減少している。
北極熊は、海氷の上からアザラシを取って生活しているが、この地球の温暖化の進行による海氷の後退によって、住んでいる陸地から海氷が遠くなって泳げ着けなくなり、それに、より晩秋になって氷が張りより早く初春に氷が解けるので海氷期間が短くなって生活圏が急速に狭まって来ており、生存の危機を迎えている。
劇的な変化は、この生活圏の縮小によって、小熊の出生一年目の生存率が、1980年代及び1990年初には65%だったのが現在では43%になってしまったと言う。
随分、前のことだが、アラスカで地元優先プロジェクトでエスキモー人グループと仕事をする機会があった。
記憶に間違いがなければ、確かローカルのハンターに年間2頭の白熊のハントが認められているのだと言っていた。この権利を、白人ハンターが買うようであった。
アラスカ鉄道で、雪原を走ったことがあるが、カリブーやヘラジカなどが車窓から見えた。
イエローストーンやフロリダなどの国立公園で自然に生活しているバイソンやコヨーテ、ワニなどを見たが徹底して自然環境が守られている。
アフリカと違って、このようにアメリカではレンジャーがしっかりしておりワイルドライフ保護が徹底されている。
しかし、悲しいかな、いくら国立公園や保護区での監視が徹底していても、地球規模の温暖化や環境破壊による野生動物たちの生存圏縮小の脅威には勝てないのである。
イギリスにも、The Wildlife Trustsと言う野生動物保護団体がある。確か、フィリップ殿下が総裁をされていた筈だが、イギリスのあっちこっちにパンダの献金箱が置かれていた。
ナショナルトラストの国であり、伝統や自然環境を高く評価する国民性なので活発な活動をしているのだろうが、在英時には、接触する機会はなかった。
イギリス人が、日本の鯨について文句を言ったので、狐狩りは野蛮ではないのかと応酬したことがある。
あれは、スポーツだと言い逃れていたが、結局、動物愛護協会の圧力によって、その後、禁止された。
私は、欧米人が自然を人間の対極の存在と看做して克服すべき対象としているものの考え方より、森羅万象ことごとく神だと考える東洋の思想の方が、自然との共生を重んじており殺生を嫌うので高級だと思っている、と言ったのを覚えている。
先日、佐渡のトキセンターが野生に放ったトキの兄妹が恋をして、遺伝子的に劣勢の雛が生まれると困るので引き離したと言うニュースが出ていたが、ほほえましい話で、保護もここまで来たのである。
人類は、これまでに、気の遠くなるような過去から生きてきた数え切れない動物や植物、或いは、人種までも、絶滅に追い込んできた。
無限の年月を経て生まれ進化を遂げてきた動植物は、一度、絶滅してしまうと、永遠に地球上から消えてしまって再生は不可能である。
人類の自然に対する罪はあまりにも重い。
戦後の混乱で疲弊していた日本に、インドのネルー首相が愛娘インディラの名をつけたゾウを贈ってくれて日本中が沸いた。
あのゾウが地球上から消えてしまうとは思えないが、知らない間に、危機はそこまで近づいて来ているのである。
餌を探しに保護区である公園の外に出て行く800頭のゾウを先導するのは年老いた雌。家族の安全を守るためにけもの道や渡河地点、人間の住居や道路など危険が潜む所や、食料となる草や水のありかなどを知り尽くしている、賢くなければ生き延びれない。
それでも、毎年、膨大な数のゾウが密猟者に殺されて、絶滅の危機に瀕している。
1970年代前半からゾウの数は急速に減っていて、今では、大規模な生息地はアフリカ全土で2箇所だけで、それでも夫々4000頭に足らないのだというのである。
サバンナを突き進むそんなゾウの大群、顔を切り刻まれた無残なゾウの死体、水場に殺到するゾウ、牙をささげるレンジャー隊員、流石にナショナルジオグラフィック誌で、そんな生々しいドキュメンタル写真が、ゾウの悲劇を生々しく伝えている。
サハラ砂漠の南方、中央アフリカのチャドにザクーマ国立公園が出来てゾウが保護されているが、狭くて食料がなくなるので、ゾウたちは春から秋にかけて公園外に出るので、この管轄外の公園外で、アラブ人遊牧民の密猟者たちの餌食になるのだと言う。
この3月号には、密猟者とレンジャーの銃撃戦、死体となって残されたゾウの象牙解体状況等レポートされているが、実に悲惨で悲しい。
1979年から1990年にかけて50万頭のアフリカゾウが殺されており、1989年にワシントン条約によって象牙取引が国際的に禁止されたにも拘わらず、いまだに象牙に対する需要が高いのだと言う。
巨大なゾウを殺して2本の象牙を得たとしても、密猟者の手に入るのは、精々2~3袋の雑穀と少しばかりの砂糖とお茶くらいで、何百頭のゾウを殺しても貧しいだけだと言う。
意図的かどうかは知らないが、「中国では象牙の利用が急増し、インターネットで世界中に向けて販売されている。」書いているが、中国人は金になるなら何でもやると言うことなのであろうか。
アニーと言う雌ゾウにGBS発信機を付けたら、86日間で1634キロメートルの旅をしたのだが、公園の北側で密猟者に殺されてしまったと言う。
地図上に描かれたアニーの縦横無尽に動き回った旅の軌跡が実に切ない。
話は変わるが、
アメリカには、National Wildlife Federationと言う環境保護団体がある。
このホームページを見ると、北極熊の救済キャンペーンを行っている。
地球温暖化の影響を受けて、北極海の海氷が年々解けて後退し始めており、年間2万3千平方マイル、言い換えれば、10年で9%減少している。
北極熊は、海氷の上からアザラシを取って生活しているが、この地球の温暖化の進行による海氷の後退によって、住んでいる陸地から海氷が遠くなって泳げ着けなくなり、それに、より晩秋になって氷が張りより早く初春に氷が解けるので海氷期間が短くなって生活圏が急速に狭まって来ており、生存の危機を迎えている。
劇的な変化は、この生活圏の縮小によって、小熊の出生一年目の生存率が、1980年代及び1990年初には65%だったのが現在では43%になってしまったと言う。
随分、前のことだが、アラスカで地元優先プロジェクトでエスキモー人グループと仕事をする機会があった。
記憶に間違いがなければ、確かローカルのハンターに年間2頭の白熊のハントが認められているのだと言っていた。この権利を、白人ハンターが買うようであった。
アラスカ鉄道で、雪原を走ったことがあるが、カリブーやヘラジカなどが車窓から見えた。
イエローストーンやフロリダなどの国立公園で自然に生活しているバイソンやコヨーテ、ワニなどを見たが徹底して自然環境が守られている。
アフリカと違って、このようにアメリカではレンジャーがしっかりしておりワイルドライフ保護が徹底されている。
しかし、悲しいかな、いくら国立公園や保護区での監視が徹底していても、地球規模の温暖化や環境破壊による野生動物たちの生存圏縮小の脅威には勝てないのである。
イギリスにも、The Wildlife Trustsと言う野生動物保護団体がある。確か、フィリップ殿下が総裁をされていた筈だが、イギリスのあっちこっちにパンダの献金箱が置かれていた。
ナショナルトラストの国であり、伝統や自然環境を高く評価する国民性なので活発な活動をしているのだろうが、在英時には、接触する機会はなかった。
イギリス人が、日本の鯨について文句を言ったので、狐狩りは野蛮ではないのかと応酬したことがある。
あれは、スポーツだと言い逃れていたが、結局、動物愛護協会の圧力によって、その後、禁止された。
私は、欧米人が自然を人間の対極の存在と看做して克服すべき対象としているものの考え方より、森羅万象ことごとく神だと考える東洋の思想の方が、自然との共生を重んじており殺生を嫌うので高級だと思っている、と言ったのを覚えている。
先日、佐渡のトキセンターが野生に放ったトキの兄妹が恋をして、遺伝子的に劣勢の雛が生まれると困るので引き離したと言うニュースが出ていたが、ほほえましい話で、保護もここまで来たのである。
人類は、これまでに、気の遠くなるような過去から生きてきた数え切れない動物や植物、或いは、人種までも、絶滅に追い込んできた。
無限の年月を経て生まれ進化を遂げてきた動植物は、一度、絶滅してしまうと、永遠に地球上から消えてしまって再生は不可能である。
人類の自然に対する罪はあまりにも重い。
戦後の混乱で疲弊していた日本に、インドのネルー首相が愛娘インディラの名をつけたゾウを贈ってくれて日本中が沸いた。
あのゾウが地球上から消えてしまうとは思えないが、知らない間に、危機はそこまで近づいて来ているのである。