熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

60年ぶりの大学ゼミの同窓会

2023年06月01日 | 生活随想・趣味
   1964年卒であるから、切り上げて60年ぶりの同窓会である。
   他のメンバーは、何らかの同窓会に出ているとかで、それほどあいてはいないようだが、私の場合は、海外勤務も長かったし、殆ど同窓会には縁がなかったので、卒業前後には経済学部の同窓会の司会をするなどしていたのだが、それらの初期の記憶も欠落してしまっていて、正に60年ぶりの印象であった。
   京都大学経済学部 岸本誠二郎教授のゼミナールで、同期生12名、物故者が4名、行方不明1名、存命で連絡がつくのが7名で,今回集まったのは残りの5名である。
   同窓会が順調に継続するかどうか、成功するかどうかは、有能な世話役がいてキチンと面倒を見てくれるかどうかに、すべてが掛かっており、学生時代にも律儀に世話を焼いてくれていた元銀行員で今でもアクティブに活躍しているI君が当たってくれた。

   一寸遠いのは、ひたちなか市と愛知県新城、ほかは、都内とさいたまと鎌倉なので、再会場所は東京、
   新丸ビルの京大東京事務所で、小一時間雑談にして、同ビル内のレストラン街の四川料理で会食し、三々五々家路につくと言うスケジュール。
 
   60年の歳月を越えて、彷彿とする学生の頃の懐かしい面影を見つけて、嬉しさがこみ上げてくる。
   あっちこっち、それぞれに、持病を抱えているとかで病歴を語るのだが、話し始めると一気にテンションが上がって、元気溌剌、
   懐かしい思い出話が弾んで、時を忘れるくらい楽しい一時であったことは言うまでもない。
   
   些細なことだが、
   懐かしかったのは、友が大切に保存して持ってきてくれた学生時代の写真、
   3回生の夏に,秋の東京での全国学生経済学大会での発表の準備のために出かけた、長野県湯田中での合宿の時に撮った写真の数々、
   話になると、思い出の記憶が不鮮明なので、途切れたり霞んでいるのだが、写真は、一目瞭然、一気に、懐かしい当時の思い出をビビッドに再現してくれる。
   私など、写真は随分ある筈なのだが、海外は勿論、国内でも頻繁に宿替えをしていたので、殆ど残っていなし、海外で撮った膨大な数の写真は、100冊をはるかに超えるアルバムには、私の写真などなく娘たち中心の家族写真ばかり、

   保存の良さでもビックリしたのは、ゼミ当時のテキストの経済学書を今でも持っている友がいると言うことである。
   ゼミで使った第1年目のテキストは、R・C・マシューズ著「景気循環 (1961年)」
   残念ながら、2年目は分からない
   東京大会で発表した経済論の種本は、ジョーゼフ・シュタインドル著「アメリカ資本主義の成熟と停滞―寡占と成長の理論」
   今古書で買えるのは、1988/11/1版だが、原書のMaturity and Stagnation in American Capitalismは、 (1952)刊なので、我々が使ったのは旧版である。
   この本は、今問題になっているスタグフレーション(Stagnation )を論じているであろうから、非常に興味深い。
   1960年代末から1970年代末にかけて英米を中心に起こったオイルショックに起因するコストプッシュ型の二桁台のインフレに、深刻な経済不況が重なったスタグフレーションが、一番記憶に残っているのだが、その前の時期であり、結構貴重な勉強をしていたようで、嬉しくなってきた。

   余談ながら、気になったのは、日米の大学の勉強量の差である。
   私自身の経験で、この京大経済学部と全米屈指のビジネス・スクールのウォートン・スクールと比べてであり、学士と修士との差はあるのだが、
   京大の場合には、岸本教授が経済原論の教授であり、ゼミでは、幅広い経済学分野をカバーした学説や知識の開陳で大いに勉強できたと思っているが、関連する経済学書や副読本を積極的に読んで勉強するという言った雰囲気はなかった。
   ウォートンでは、ゼミはなくて、ゼミに似たコースはあったが、どのコースも定まったテキストなどはなくて、授業は、それぞれのコースに沿った経営学・経済学関連書を網羅して進行して、コース終了時には最新の知識まで持ってくると言う感じであった。従って、毎回、膨大な専門書や資料のリーディング・アサインメントがあって、毎夜、100㌻200㌻などは少ない方で、時には何百㌻を読み通して授業に臨むのは当たり前であって、これが、2年間続く。
   サミュエルソンのエコノミクスなど、最初の授業の2~3回くらいで終了して、最後には最新の経済学論文を読み説くのであるから、正直なところ、
   ミクロとマクロの2コースの経済学の受講だけで、京大の4年間の勉強に匹敵すると思っていて、まさに、驚異的な差であった。
   後20コースくらいの経営学分野の単位取得が必要だったが、勿論、経営学においては日米の落差ははるかに大きくて、質量共に、当時の京大の比ではなかった。
   京大とウォートンとでは、10年の時間差はあるのだが、アメリカなら、岸本ゼミの勉強では、少なくとも10冊以上の専門書や副読本を駆使しなければならなったのであろうと思うと、勉強不足を痛切に感じる。
   
   しかし、当時は、日本は戦後復興期で、まだまだ貧しかったし、テキストを買うのがやっとであった。
   いずれにしろ、全国から古都京都に集まって、肩を寄せ合って切磋琢磨した友がいて、必死に頑張って、青春を謳歌した、あの懐かしい岸本ゼミ時代を過ごせた宝物のような経験があったからこそ、フィラデルフィアの大学を卒業して、ロンドンパリを股に掛けて、欧米人と切った張ったの熾烈なビジネス競争に明け暮れて来れたのだと思って感謝に堪えない。
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