熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

アメリカ最高裁:トランプ陣営の無法を拒否

2020年12月12日 | 政治・経済・社会
   ニューヨークタイムズの電子版が、トップで、次のように報じた。

Supreme Court Rejects Texas Suit Seeking to Subvert Election
(最高裁は、選挙を破壊しようとするミシガンの訴えを拒否した)
The suit, filed directly in the Supreme Court, sought to bar Georgia, Michigan, Pennsylvania and Wisconsin from casting their electoral votes for Joseph R. Biden Jr.

ワシントンポストも、
Supreme Court dismisses Texas bid to overturn election results
(最高裁は、選挙結果を覆すテキサスの勧告を拒否した)
President Trump had long considered the Supreme Court as his ace-in-the-hold in any post-election litigation.

先に時事通信が報じていた、下記訴えを最高裁が退けたのである。
トランプ陣営、最後の抵抗 結果確定阻止へ最高裁提訴 米大統領選
【ワシントン時事】米大統領選をめぐり共和党地盤の南部テキサス州が、バイデン次期大統領の勝利確定阻止を目指し、連邦最高裁に訴訟を起こした。
テキサス州の司法長官は8日の提訴で、いずれもバイデン氏が勝利した南部ジョージア、東部ペンシルベニアなど4激戦州で「選挙プロセスが不適切に変更され、非合法な票が大量に投じられた」と主張。投票結果に基づくのではなく、いずれも共和党が多数派の各州議会に選挙人を指名させるよう求めた。

トランプが、最高裁に、Amy Coney Barrettほか保守派の裁判官を3名も送り込んで、意のままに操縦して、次期政権を維持しようとした試みが、これで、悉く潰えたと言えよう。
三権分立の徹底したアメリカでありながら、自分が任命した裁判官が、どんな違法な横車でも容認してくれると、民主主義の最高の砦である最高裁を、an ace in the hole(最後の切り札)と考えていたトランプの浅はかさがここに極まれりと言うことであろうか。
Amy Coney Barrettさえ、同意しなかった茶番劇の悲しさ、
Trump, who has appointed three of the court’s nine members, has long viewed the Supreme Court as something of an ace in the hole,

任期ギリギリまで、自分の恩赦も含めて何をするか分らない往生際の悪いトランプのアクションが、ただただ、民主主義の危機を招かないことを祈りたい。
as a practical matter the Supreme Court’s action puts an end to any prospect that Mr. Trump will win in court what he lost at the polls.
(最高裁のこの判決で、トランプが敗北に関する件で法廷争いで勝ついかなる見込みもなくなる)

   しかし、驚愕すべきは、 
   Legal experts almost universally dismissed Texas’ suit as an unbecoming stunt.
   (法の権威者たちが、殆ど例外なしに、テキサスの訴えは認定不可能と退けた)
   にもかかわらず、
   ”トランプ氏は9日、自身も原告に加わると最高裁に申し立てた。10日にはツイッターで「米史上最大の不正選挙から国を救うチャンスが、最高裁にはある」と投稿。米メディアによると、共和党知事のいる少なくとも17州が訴えを支持したほか、同党下院議員100人以上もテキサス州の主張に賛同する意見書を最高裁に提出した。”と言う保守党の無法ぶりである。
   WPが、嘘二万回と報じたトランプの嘘と欺瞞塗れの所業はともかくとして、確たる根拠もない、法的バックアップもない訴訟に、17の共和党支配州の法務長官、かつ、保守党の下院議員106名までもが尻馬に便乗して、営々と築き挙げてきた民主主義システムを否定してぶち壊そうとするアメリカの途轍もない「法と秩序」の無視というこの悲劇をどう考えれば良いのか。
   The court, in a brief unsigned order, said Texas lacked standing to pursue the case, saying it “has not demonstrated a judicially cognizable interest in the manner in which another state conducts its elections.”(テキサスには、他の州の選挙にとやかく言う原告資格はない)と最高裁は突っぱねたと、NYTは報じる。

   1月のジョージアの2名の上院議員の選挙で、ねじれ議会となるかどうかの帰趨が決まるのだが、上院は各州2名という定員なので、人口の少ない地方の保守党地盤の州が多いので、どうしても、人口割りの下院と違って、上院は保守党優位になるのだが、これだけ、保守党がトランプ党になって劣化してしまうと、両党和解の可能性など殆ど望み薄で、アメリカの分断分裂の修復は至難の業であり、バイデンの船出も波瀾万丈となろう。

   いずれにしろ、朝起きて、NYTとWPの電子版を観て、ホッとしている。
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