熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

大失業時代の到来か?

2009年05月06日 | 政治・経済・社会
   今夜NHK番組「大失業時代”中間層”の崩壊を食い止めろ」を見た後、9時のニュースで、また、職業訓練学校さえ応募者多数で入れないと言った深刻な情報を流しており、今回の世界的大恐慌(?)が、実体経済に大きなダメッジを与えていることを改めて身に沁みて感じた。
   しかし、今回の就職地獄は、これまでの不況による循環的な失業や就職難とは違って、その背後に、世界的経済社会の大々的な構造転換、パラダイム・シフトの結果起こっていることを理解しないと大きな蹉跌を招くこととなる。

   大前研一氏の表現を借りれば、
   「ITと英語のスキルを完全装備して、世界中の人とコミュニケーションが可能で、どの国の人に対してもリーダーシップを発揮することが出来、なおかつ余人を持って変え難いスキルと能力を持った人でなければ、世界に伍して行けないし、現在の職と給与水準を維持出来ると思っていたら大間違いである。」ことを肝に銘じなければならないと言うことである。
   尤も、デジタル化とインターネットのお陰で、最近では、弁護士や会計士など専門的サービスでさえ、かなり高度なことでもコンピュータを叩けば間に合うし、最高の学問に対しても世界のトップ大学や専門機関に繋げばアクセス出来るので、とおり一遍の能力だけではキャッチアップさえ難しい。
   勉強に勉強、日々これ精進に努め、自分の人間力を必死になって高めて行かない限り、人に伍しては生きて行けない、そんな時代になってしまったと言うことである。

   これまでも、このブログで何度も触れたが、経済のグローバリゼーションとICT革命によって、正に、世界全体の経済社会がフラット化してしまい、コンピュータや機械で出来る仕事、或いは、中国やインドなど新興国などにアウトソーシング出来るような仕事は、悉く駆逐されてしまう筈で、たとえ摩擦的に残っていても、報酬や給与は最貧国労働者並みに落ちてしまうと言うことである。

   大前氏は、ニートやフリーターに、いくら職業訓練を施して、仕事に就かせても、それが、現在の工業化社会に適した人材に置き換わるだけなら意味がないし、その程度の人材は、お隣の中国には何億人もおり、日本の経済の活性化には殆ど役に立たないと言う。

   手に職を付けて不測の事態に対処したいと言う思いで職業訓練学校に行ったり、ゴールデンウィークを返上して資格取得試験対策講習会に通った人が多くいたとTVで報じていたが、日本国内だけで需要されたり実施されている技術・職なり資格ならまだしも、世界共通の通り一遍のものであれば、果たして、いざと言う時に、役に立つのであろうか。
   先のNHKの番組で、15~6の資格を持っている35歳の人が、不況で適当な職に就けず給料が低すぎて結婚も出来ないと嘆いていたし、取得した技術と資格の仕事が、将来、安い中国やインドの会社と競合して駆逐されてしまうようなものであれば、どうなるのであろうか。

   これからの職業の要点は、グローバルな市場を相手にした仕事なら、大前氏が言うように、最低限度ITと英語のスキルを身につけて、世界人と同等に戦える地盤を築き上げ、更に上を行くためには、リーダーシップを発揮出来ると同時に、余人を持って変え難い能力なりスキルを持つことである。
   他の追随を許さないとか、競合相手がいないと言うこと、すなわち、差別化戦略が、企業の経営戦略の一つの要諦だが、個人の仕事において、全く同じように当てはまる。
   もう少し理想を言えば、ブルーオーシャン的な人材の育成を目指すと言うことであろうか。

   今回の経済不況の影響は、特に、グローバリゼーションとICTデジタル革命によって完全に変わってしまった経済社会のパラダイム・シフトに完全に遅れをとった日本が、最も落ち込みが激しく、大きなダメッジを受けているが、日本の職業構造にも、その影響は、今後更に大きく影響して来る筈で、日本の産業構造のみならず、日本人の職業や職が、大きく変わらざるを得なくなるのではないかと思っている。

   この構造的な大変革を伴ったグローバリゼーションの大波を乗り切るためにも、日本政府は、本腰を入れて、学校教育の変革をも含めて、日本人の職業訓練のあり方など労働問題トータルを真剣に考えなければならないと思う。
   
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