熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

応用力不足の小中学生・・・全国学力テスト

2007年10月26日 | 政治・経済・社会
   全国学力テストの結果が発表されて話題を投げかけている。
   テストの性格が曖昧だと日経は報じているが、どんなテストでもテストであって、日本全国同じ問題を同じ条件でテストをすれば結果が出てきて、現在の小中学教育の現状が垣間見える。少なくとも重要な問題点が把握できるので、十分に値打ちがある。
   日本の教育については、これまでも警告が鳴らされて来ていたが、特に問題点は、基礎と応用との正答率が10ポイントも開いた点で、如何に、日本の教育が子供たちの思考能力と創造性の涵養に不向きであったかと言うことを物語っている。

   ゆとり教育の弱点が鮮明に出たと言われているが、ゆとり教育は、日本の教育の弱体化、すなわち、日本の小中学生の知的水準を下げただけであって、何のプラスにもなっていない。根本的に教育体制を変えずに、勉強時間だけを削減しただけでは、知力の低下を招くだけであった。

   人間の創造性は、無から生まれ出ることは絶対になく、色々な異質な知識がぶつかり合って、その総合と融合の中から生まれれ出るのだと言うことは常識となっており、まず、根本に、深くて幅の広い豊かな知識・教養がありきなのである。
   個人の豊かな知識や教養のみならず、異質な芸術や科学、学問、或いは、多岐多様な異文化の遭遇が、人類の創造性を爆発させ、素晴らしい文化・文明を築き上げてきたのことは、自明の理である。

   受験勉強が悪いと言って目の仇にされてきたが、私は、制度が悪いのであって、子供はもっともっと勉強すべきであると思っている。
   生活における格差や学業の結果によるよる差別は、あってはならないと思っているが、学問上の格差はどんどんつけるべきである。これまでの教育制度のように、エリート教育をないがしろにしたような教育はおかしいのであって、昔の日比谷高校の様な学校を潰してしまったことに問題がある。

   悪平等の1億総愚民化教育を進めて行く事にこそ問題がある。
   勉強したい子供はどんどん勉強させ、立派な芸術家になりたい子供は芸に励み、職人になりたい子供は一生懸命に技術と技の習得に励む、そんなことが嬉々として出来る自由で多様性のある学問環境が必要なのである。
   徹底的に知識と教養を叩き込んで、その後で、自由に自分の目指す道へ向かって学べる環境をつくる。
   日本の経営者には、リベラル・アーツが不足していると言われているが、試験に通る為の勉強をしているからで、まず、豊かな人間性と教養ありきであろう。
   
   敗戦の苦難から立ち上がった頃の日本人は一生懸命勉強に励み、子供たちの学力は世界有数であったし、アメリカやブラジルの日系移民の子供たちは抜群の成績であった。
   しかし、今は太平天国で、戦後のバカな教育制度のお陰で子供たちの学力はがた落ちちなり、想像力や応用力を削ぐ様なていたらくになってしまった。
   我々大人は、子供たちの未来をダメにしてきているのである。

   中国やインドの子供たちの目の輝きは尋常ではないし、欧米の子供たちは好きなことを自由に伸び伸びと勉強している。
   私自身も、子供たちも、日本と欧米の教育を両方受けてきたので、その良し悪しが少しは分かっているつもりだが、教育の方向さえ間違いさえしなければ、日本が一番良いと思っている。
   しかし、何故日本では、未来の日本を背負う子供たちに、新しいこと、美しいこと、素晴らしいことどもを知ることの喜びとその楽しさを、教えられるような夢のある教育の世界を創り出せないのであろうか。
   このブログで、日本の教育については随分書いてきたが、何時もそう思っている。
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