5巻は旅順総攻撃として203高地の攻撃から始まります。
勝者側の司令長官乃木希典は、その功績によって戦後神聖化された人物として、異常なまでの英雄として人気がありましたが、実は途方も無い戦さ下手で、児玉源太郎の手助けがなかったら日本を潰していたかもしれない、と鋭く作者は書いています。
その児玉源太郎は自分の手柄を黙し、あたかも乃木希典が全てこの攻撃を勝利に導いたかのようにしむけます。
僕の父は昭和一桁前半生まれでしたが小学校の頃、日露戦争のヒーローは乃木将軍と東郷平八郎(聯合艦隊司令長官)だと教わった、と聞いたことがあります。
事実、乃木将軍と東郷さんの唄まで歌ってましたわ。
でっち上げの英雄(乃木希典)と陰の英雄(児玉源太郎)、歴史の裏側を教えてもらった、興味深い話であります。
さてこの後は一進一退の陸軍の戦いが続きますが、作者は将棋を例えにしてストーリーを組み立てていきます。
手持ちの駒(兵力)が無いのに、戦さを続ける(続けざるを得ない)日本、かたやシベリア鉄道を利用し兵力の増強を企てるロシア。
まさに勝ち目の無い戦さに挑む日本帝国、イチかバチかの賭博のような戦さの行方は…
どうなるのでしょうか?
秋の夜長は明日へ続く…