医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

野菜・果物のカリウムと寿命の延長について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-10-24 11:50:26 | 健康・病気

日本人の野菜・果物の摂取の減少が生活習慣病の蔓延と少なからず関係があります。野菜、果物、豆、イモなどにはカリウムが多く含めれており、健康に貢献しています。しかし、近年、加工食品の摂取が増えるに従って、その摂取量が減少しています。加工の段階で、ビタミンや必須ミネラルなどが捨てられるのが原因です。ここでは、そのカリウムの効果について考えていきたいと、思います。

ハーバード大学のQanhe Yanng博士らの研究によると、摂取食物のナトリウム対カリウム比を低くすることは(カリウムを多くして、ナトリウムを少なくする)、いかなる理由によらず、14.8年(中央値)、死亡のリスクが減少することと関係しています。

博士の研究によると、登録した12,267名の成人から、あらゆる原因と心臓血管系・虚血性心疾患による死亡率のコホ―ト研究のデータを調べました。2,270名が死亡し、そのうち825名が心臓血管系疾患で死亡し、433名が虚血性心臓病で死亡しました。

ナトリウム(塩分)の高摂取グループでは、追跡調査を実施して、調整した死亡リスクが20%ほど高いが、カリウムの高摂取グループでは、調整した死亡リスクが20%ほど低い値でした。ナトリウム対カリウム比が最高の、被験者の上位25%の人々は、その比が最低の人々と比較して、いろんな理由や心臓血管系の疾患による死亡リスクが、もっと高く46%であり、虚血性心臓病による死亡リスクが2倍より高い値でした。

重要な問題点は、食物由来のカリウム、もしくはカリウムのサプリメントが、伝統的食事源からの摂取と同じ効果があるかどうか、です。カリウムのサプリメントは多くの人に有益であることが証明されているけれども、野菜や果物からの摂取に比べて、摂取量を多くすれば、腎障害や心臓障害などを有する人は危険を伴います。よって、サプリメントで摂取する場合、専門家に相談して下さい。また、健康な人では、塩分を減らし、野菜や果物の摂取を増やすことが重要です。
一般の人々は、カリウムのサプリメントより野菜・いも・豆・果物などからのカリウムの摂取が安全で、他の栄養素などとの協働作用により、より効果を高められると、考えられます。なお、腎障害の人は、カリウムのサプリメントは禁忌ですが、野菜などからの摂取は安全と、報告されています。

References

Quanhe Yang, et al: Archives of Internal Medicine. July 11,2011

More potassium , less sodium linked with fewer deaths over more than a decade: lifeExtension.Juiy 13,2011