医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

強迫性障害の対策とイノシトール、タウリンの評価について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 

2018-09-25 16:48:07 | 健康・病気

以前は神経症と呼ばれていた強迫性障害(OCD)は、その治療は、大変難しいと言われています。薬物療法のSSRIは、イライラ、暴力、自殺などの副作用が報告され、そのため、米国の自然医などによって、副作用のない栄養補完療法が実施され、効果を報告しています。

一連の論文では、OCD、うつ症状、それに苦悶症状、不安症状などへの治療におけるイノシトール(ビタミン様栄養素)の使用が述べられています。たいていの人は、食事で約1g/日のイノシトールを摂取しています。これらの論文では、イノシトールは、OCDの症状に著しい効果があることがわかりました。ある人では、2g/日のイノシトール(果物、豆類、穀類、ナッツ類に含まれる)で症状が改善しました。しかし、遺伝的体質や長期のストレス、それに食生活の違いで効果は、いろいろ違うようです。

報告によると、OCDからの完全な回復の可能性は、20%を超えず、再発は、一般的のようです。この原因として伝統的医学が、OCD患者の隠された栄養素欠乏、若しくは根源的原因に焦点を絞っていないことが、高い再発率の一因の可能性が高いのです。生命に必須な栄養素の枯渇に焦点を当てることは、ある種のビタミン類、必須ミネラル、それにアミノ酸、プロバイオティクスなどは、セロトニン系神経伝達機構に著しく影響を与えます。特に、5-HTP(5-ヒロドキシトリプトファン)、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンB6、葉酸、ビタミンC、亜鉛、Mg、イノシトール、タウリンなどは、セロトニン合成に重要です。また、セロトニンは、そのまま脳に届かず、まず腸でセロトニンの前駆体が作られ、それが脳に届き、脳で酵素などにより合成されてセロトニンになると考えられます。上記、栄養素は、腸で善玉菌の助けでできたセロトニン前駆体の合成に関わるだけでなく、脳でもセロトニン前駆体がセロトニンに合成されるのに関与していると、筆者は考えています。したがって、上記、栄養素群の摂取だけでなく、腸内環境を善玉菌優位の環境にするのも重要と、考えてます。

Kong博士らの研究によると、天然タウリンは、直接的にセロトニン産生をターゲットしていませんが、その作用には、OCDのような苦悶症状を伴った強迫観念を軽減する可能性があります。ある患者の報告では、10年以上強迫症状に悩まされたが、1g/回のイノシトール、600mg/回のタウリンを摂取し続け、寛解が認められました。他の症例では、タウリンとギャバの摂取が有効でした。更なる症例での研究が必要と、考えられます。また、岡山大学医学部の研究によると、ロイヤルゼリーを300mg~1,ooomg/kg(体重)を長期にわたり摂取することにより、強迫性障害・不安症状の軽減が認められたとの報告が有り、他の研究機関でも、効果を研究していると、報告されています。なお、純度100%のタウリン粉末のサプリメントが米国で販売されているので、通販で入手できます。純度100%(pure powder)の粉末タウリンは、探してもなかなか見つからないようです。

References

Can nutrition help OCD? Nutr Advanced News. 12th Oct 2016

Probiotics help with both OCD and depression. treato.com/OCD taurine/?

Fux M. Inositol treatment of obsessive-compulsive disorder. Am J Psychiatry. 1996 Sep;153(9):1219-21

Shaheen E Lakhan, et al. Nutritional therapies for mental disorders. Nutrition Journal. 2008;7:2