医科栄養学・栄養医学ブログ

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統合失調症とオメガ3脂肪酸(EPA)の関係について 日本ビタミンC研究会 栄養医学ブログ 藤井毅彦

2018-09-13 09:45:22 | 健康・病気

統合失調症(SC)は、栄養が深く関係し、同じ栄養素を同量摂取しても、統合失調症を発症する人としない人がおり、例えば、体質的にビタミンB3(ナイアシン)やビタミンB群が多く必要な人は、その摂取が少ない場合、統合失調症を発症するという、研究報告が発表されています。したがって、栄養対策により、この疾患を予防できたり、治療できると言われています。

この疾患の栄養学的予防・治療の研究報告では、血糖値のアンバランスを改善し、低GI食など血糖値を安定化さす食物を多く摂取し、砂糖や精製炭水化物を多く含む食品を避け、ビタミン類の豊富な全粒穀物など精製度の低い食品を頻回に摂取し、魚介類・豆類など良質のたんぱく質を含む食品を食事に取り入れ、規則正しい時間に食事をし、アルコール類やタバコなどを控える必要があると、報告されています。

Patrick Holford博士らによると、脳の機能に重要な役割を果たすオメガー3不飽和脂肪酸(亜麻仁油、EPA、DHAなど)は、統合失調症患者では特に必要です。このためにも、少なくとも週に2回の魚、毎日のナッツ類、それにオメガ-3不飽和脂肪酸の補給が必要と、報告されています。なお、脳の機能がうまくいくためのEPA補給に適した魚は、サバ、ニシン、イワシ、サケ、マスなど青魚ですが、最近の日本人はその摂取量が、戦前の日本人に比べて少ないと、警告されています。また、統合失調症患者に必要な種子食品は、かぼちゃの種、亜麻の種などで、これらに含まれているオメガ-3不飽和脂肪酸は、体内でEPAに転換されます。さらに加えて、EPAサプリメントでの1000mg/日の摂取は、気分安定効果があります。なお、魚油カプセル(500mg)を1~2回/日、補給し、魚類は3回/日の摂取が必要です。

統合失調症の治療のためには、抗酸化栄養素の摂取が重要で、新鮮な、彩り豊かな生の果物や新鮮な野菜料理が必要です。それらに加えて、2000mg/日のビタミンC、300mg/日の天然型ビタミンE、補酵素Q10、N-アセチルシステイン、それにグルタチオンなどの栄養サプリメントの摂取も必要と、報告されています。

統合失調症患者は、ビタミンB3(ナイアシン)が多く必要な体質をしているので、1g/日、もしくは、それ以上の大量のナイアシンの補給が、より有効と感じている患者も多くいます。持続性遊離型(タイムリリーズ)ナイアシンは、特に、肝臓への毒性が有ることが報告されています。ビタミンB3(ニコチン酸アミド)は1000mg/日の摂取量では、副作用はないようですが、摂取量を増やす場合、同時に肝機能のチェックも必要と、考えられます。なお、イノシトール(ビタミン様栄養素)とナイアシンを化学的に結合させたイノシトール・ヘキサニコチネ―ト(商品名ヘキサニシット)の統合失調症への効果が報告されています。紅潮などの副作用は認められないようです。以上、米国やカナダの自然療法医が実施している治療法をまとめたものです。体に優しい療法として、これらの国々では、注目されています。更なる研究が待たれます。

References

Patrick Holford. Optimum nutrition for the mind

Action plan for managing schizophrenia. FOOD FOR THE BRAIN