医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

ガンのビタミンC 療法での炎症マーカーの改善について 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2018-09-03 14:15:02 | 健康・病気

ガンのビタミンC療法は、数十年前にCameron博士、Newbold博士、それにHoffer博士、その他の医師などが実施し、効果を報告しています。そして、彼らに続いて、カンザスのリオルダンクリニックのリオルダン博士が、その効果を研究しました。博士は、ビタミンCをガン患者に大量点滴し、ビタミンCの血中濃度を高めることにより、がん細胞が生存しにくい環境にすることにより、その効果が発揮されたと、報告しています。そして、ガン患者のquality of life、延命率の改善、それに炎症指数の改善が報告されています。博士の臨床研究では、炎症マーカーとしてC-反応性たんぱく質(CRP)値を調べ、45名のガン患者のうち35名は、ビタミンC点滴前にCRP値が10mg/Lより高く、炎症が、ガン患者に広く見られる問題点であることが示唆されます。

CRP値の上昇は、ガンの悲惨な予後を暗示させるマーカーであることが、研究により示されています。リオルダンクリニックのガン患者の76±13%において、点滴前に比べてCRP値が下がり、ガンの改善が認められました。また、急激なCRP値の上昇が見られたガン患者は、ビタミンC点滴により28名から14名に減少しました。

さらに、ビタミンC点滴治療の間、ガン患者のCRP値の低下は、その他の腫瘍マーカーの低下と相互関係があることがわかりました。このことは、血漿CRP値が、膀胱がん患者の血清PSA値と強い相互関係があり、他の研究でも同様でした。リオルダン博士の研究では、前立腺の感染と炎症は、前立腺に特異的な血清抗体値を高める可能性が有ります。さらに、血清CRP値を測定することは、血清PSA値の上昇を伴う前立腺がん患者のガンが、良性か悪性か区別するのに役立つ可能性が有ります。

炎症は前立腺ガンの原因で、慢性の炎症は、前立腺ガンの化学的予防と治療への治療指針を与えるものです。炎症のプロセスは、組織学的には良性の前立腺増殖の進行に関係しています。急性と慢性の炎症性浸潤は、前立腺ガンの男性患者の前立腺組織で見られ、より高い炎症値は、ガンで大きくなった前立腺で見られます。これらの研究から、ガンの診断と炎症マーカーは深い関係にあり、ビタミンCの点滴の効果を判定する際の参考になります。したがって、ガン全般に言えることですが、炎症を抑制する栄養成分を常日頃摂取することは、予防のみならず、治療の補助的因子になるので、炎症を抑えるビタミンCやその他の抗炎症性栄養素は、ガン予備軍やガン患者にとって必須の栄養成分になると、考えます。

References

Nina Mikirova, et al. Effect of high-dose intravenous vitaminC on inflammation in cancer patients. Journal of Translational Medicine.2012, 10:189

McSoriey MA, et al. C-reactive protein concentration and subsequent ovarian cancer risk. Obstel Gynecol. 2007, 109:933-945