医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

野菜と生の果物の摂取と脳卒中発作リスクの軽減について 栄養医学ブログ 藤井毅彦

2014-07-04 15:23:39 | 健康・病気

年齢を重ねると、ガンや心筋梗塞、それに脳卒中(脳梗塞、脳出血)になる確率が、ぐんと増えますが、主たる原因は食生活にある、と世界のいろんな研究から示唆されます。予防には、魚や生の果物の摂取を増やせば、このような疾患の予防につながる、という研究も有りますが、今回は、野菜と生の果物の摂取と脳卒中発作のリスクについて考えていきたい、と思います。

"American Heart Association's Stroke"誌によると、Yan Qu博士ら研究者グループは、全世界的で脳卒中発作のリスクに及ぼす野菜と生の果物の作用を評価するため、最近、19年以上にわたり研究・発表された、20件の研究のメタ分析を実施しました。これらの研究を組み合わせ、分析すると、16,981名の脳卒中発作を起こした女性と760,629の男性が含まれていました。

メタ分析すると、脳卒中発作のリスクは、毎日200gの生の果物を摂取すると、32%だけ減少し、毎日200gの野菜の摂取では11%だけ減少していました。

食事とライフスタイルの改善は、一般の人口群では、心臓発作と脳卒中発作にのリスクと深く関係し、管理栄養士が栄養指導や給食献立において、いつも心を配っている重要事項です。
栄養のバランスが最重要ですが、野菜や生の果物が豊富な食事は、よく病院給食に出ます。その理由は、野菜や生の果物を豊富に摂取すると、加工度の高い食品に比べて、全体的エネルギー要求量がオーバーせず、ビタミン、ミネラル、食物繊維、食物酵素、それに抗酸化栄養素(カロチノイド、フラボノイドなど)が必要量摂取できる利点があります。

彼らのメタ分析によると、野菜と生の果物を多く摂取すると、血圧を下げ、微小血管機能を改善するようです。このことは、ボデイマス指数、腹囲、コレステロール値、それに炎症と酸化ストレスに望ましい作用をもたらします。そして、男性でも女性でも、脳卒中発作のリスクに対しても有望な作用をもたらします。また、年齢による効果の著しい違いは見出せませんでした。研究者らは、喫煙、アルコール、血圧、コレステロール値、運動、ボデイマス指数、それに、その他の食事の変化などの因子に対する発見を、調整しました。

野菜と生の果物の低摂取は、世界中で広く認められ、特に低所得の国々では、その傾向が強いようです。生の果物や野菜は、意外と高価なようです。しかし、どうにかして毎日600gまで野菜と生の果物の摂取を増やすことは、全世界で19%だけ虚血性脳梗塞発作のリスクを減らせます。

米国では、脳卒中発作は死因の4番目で、身体障害の主たる原因疾患です。日本国でも米国に近づきつつあります。米国心臓協会は、毎日、野菜と生の果物を、それぞれ4品から5品、平均的成人が摂取することを勧めています。バラエテイーな色に富んだ食事といろんな種類の野菜と生の果物は、人が十分摂取していない重要な栄養素を摂取できる方法です、今からでも遅くないので、自家菜園、農産市、それにエコファ―マ―などから入手でき、健康増進に役立てます。なお、これらには、現在問題になっている飽和脂肪が少ないです。

References

D. Hu et al: Fruits and vegetables consumption and risk of stroke. Stroke,2014; DOI

 

Eating more fruits, vegetables may cut stroke risk worldwide: ScienceDaily. May 8,2014