川合孝知さんの器には、いつも遊び心があって見る人を楽しませてくれます。一般的な九谷焼は、生地師と絵師が分業していますが、川合さんは成形から絵付けまで一人でこなしているので、こんな可愛い亀さんを器の縁に乗せたりすることもできるのですね。鯛の絵に海老が乗っていたり、馬の絵に瓢箪が乗っていたりする酒器がたくさん届きました。きれいな色の白磁の器。またまた、お酒が進んでしまいそうです。
新里で穴窯焼成をしている斎藤さんの作品が届きました。私も一度参加させていただいたことがありますが、薪をくべて一週間焼成する穴窯は本当に大変な労力を必要とします。しかも、窯に納めた作品の半分近くは灰の被り方で失敗に終わってしまうのですから、ここに並べられた作品は貴重なものです。ざっくりとした男らしい作風はちょっと真似できません。お酒が進んでしまいそうな器です。
もう何年も前に、『婦人之友』に掲載していただいた「和菓子の旅」という記事を見てお便りをくださった宝塚市の伊東澄子さん。当時ご高齢だったこともあり、長年集めた箸袋や地方の銘菓などの栞を私に託したいとのお申し出がありました。ご愛用の帯などと共に送られてきたのはかなりの数のスクラップ帳。商工会議所の会頭夫人であっただけに、全国の味の栞や名店の箸袋がびっしりと貼られています。
昭和の時代を感じられるものだから、いろいろな人に見てもらいたいと思って、倶楽部の書架に置いてみました。歴史の第一級資料というものではないけれど、懐かしさを感じる方も多いと思います。物置に仕舞い込んでいたら、伊東さんも淋しがると思って。
昨日のコミュニティカフェ講座は、幸手市内の団地集会所で行われました。高度成長期に全国各地で建てられた団地の住民はどこも老齢化を迎え、4階や5階の高層には空きが目立つということでした。ここは敷地内に郵便局やスーパーもあり、かなり大きな規模の団地ですが、空き店舗も多くありました。こうした現象は、どこの地方でも見られることでしょう。
多くの人が避けて通れない老後の生活の不便や悩み。コミュニティカフェはその解決の糸口となれるのでしょうか。幸手団地内の空き店舗を使ってカフェと宅配弁当の店を開業したオーナーの取り組みを聞きました。行政が取り組まない部分を民間で補うことで後から行政が追いついてくるから前例を創っていくのだという話もされていました。
地域に根差した活動を進めていく上で、コミュニティカフェの要素も必要かもしれない。でも、私がしたいのはコミュニティカフェなのかしら。作家さんに、「INOJINさんで展示会をするから、自分も一流になった」と言われるような場を創ろうと、工芸倶楽部の開業を手伝ってくれた同級生と話し合ったことを思い出しました。