岡山にある瀬戸内市立美術館で5月27日まで「喜之助人形里帰り大展示会」が開かれています。竹田人形座の人形師、竹田喜之助さんは友人のお父様でした。小学生の頃、友人の家に遊びに行くと部屋にいろいろな人形の頭部が置いてあったのを覚えています。
先日、代表作の「雪ん子」の衣装の復元を手伝いました。制作から何十年かが経ち、着ている着物はぼろぼろになっていました。制作者が他界した今では、何の染料で染めたかもわからないというので、友人から相談を受けたのです。
送られてきた現物を見て、すぐに技法はわかったものの、多忙な毎日の中、引き受けようか躊躇しましたが、結局受けました。子供の頃、その友人の家から漫画を借りて読んでいた記憶がありました。手塚治虫の知人だったという喜之助さんの元には、手塚治虫の初期の頃の漫画本が数多くありました。そんな希少な本を毎日のように借りていたのだから、衣装の復元くらいしてくれと、喜之助さんが言っているような気がしたからです。
毎年8月に岡山で行われるという「喜之助フェスティバル」にも、いつか行って、雪ん子の上演を見てみたいと思います。
ファッションタウン桐生推進協議会から「わがまち風景賞」の審査依頼がきて、今年の候補物件を昨日まわって来ました。
9件の物件を1日で巡りました。黒保根から梅田まで体力的に多少きつかったけれど、いろいろな意味で有意義な時間でした。青葉の爽やかな季節に総勢28人で路地裏を散策したり、大正や昭和時代にタイムスリップしたような家屋の中に入ったりして、いろいろなことを考えました。
人為的な風景で魅力的なものは、結局、魅力的な人物が作ったものなのだと思います。その地に立つと、建造物や調度品、作庭などで過去に生きた人の個性が感じられました。
このノコギリ屋根の建物は最初に訪れた広沢の藤直織物の今も操業している工場です。