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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 804 週間リポート クラウンライターライオンズ

2023年08月09日 | 1977 年 



高くない2300万の契約金
「アイツ、やっぱりただのルーキーじゃなかった。俺の目に狂いはなかったよ」と青木一三球団重役(スカウト・渉外担当)は得意満面。それというのも松下電器に内定していたのを大逆転で入団させた立花選手が刈谷市営球場で行われたウエスタンリーグのトーナメント大会で最優秀選手の栄冠を勝ち得たからだ。「高校生のそれも外野手に契約金2300万円は高すぎるという声が多かったが、俺が2年越で惚れ込んだ逸材だからな。決して法外な金額じゃなかっただろ。この分ならレギュラー獲得が予想より早まるかもね(青木)」と球団側の宣伝の分を割り引いても立花選手の実力は確かなモノである。

トーナメント大会では二番打者として11打数6安打。吉沢選手(阪急)の打率 .625 に劣るものの、決勝の阪急戦一死満塁の場面で平山投手から放った中越え三塁打が決め手となり最優秀選手に選ばれた。「外野フライでいいと気楽に打てました。和田さん(二軍監督)に好きに打っていいと言われたので " 初球から打っていいですか? " と聞いたらOKだったので思いっきり振りました。インコース高めのストレートでした(立花)」とのこと。和田二軍監督は「何といっても思い切りがいい。口で教えてもなかなか出来ない選手が多い中で1年生で大したもんだ」と手放しで褒めちぎった。


いっちょうやったるバイ!
前期シーズンのチーム打率・本塁打・打点がいずれもリーグ最低のライオンズ打線。盗塁や失策数がやや改善されつつあるのが救いだが「こんなに打てないと後期も苦しい」と鬼頭監督の表情は厳しいままだ。特に一発で試合を決めてしまう本塁打数の減少傾向は気がかりだ。負けてもいいから派手な一発を観たいというライオンズファンは多い。そんな声に後期に向けて「一丁やらせてもらおうか」と腕をぶしているのが一昨年の本塁打王の土井選手。前期シーズンの土井選手は4月下旬の南海戦で左足アキレス腱を痛めてしまい、思った以上の重症で足首の腫れが引くまで結局前期いっぱいかかった。

土井選手の打法といえば左足を思い切り踏み込んで球をバットに乗せてスイングし遠くに飛ばすもの。それが痛みの為に踏み込めず「ええ角度で上がったと思ってもフェンスの手前でス~と失速しよるんですわ。そりゃもう悔しゅうて、情けなくて…(土井)」という毎日が続いた。開幕当初は順調だった。20日間で4本塁打を放ったが、足を痛めた後は2ヶ月過ぎても4本増えただけ。アキレス腱痛がバッティングの調子を狂わせたのは間違いない。それが後期シーズン開幕を前にしてようやく明るい兆しが。「もう八分以上良くなっている。ベストの状態になるのはもう間もなくですわ」とようやく土井選手の表情に明るさが戻ってきた。


バッテン、やっぱ強かぁ
後期シーズンが始まり二度目の遠征で阪急の稲葉投手に翻弄され快進撃は小休止してしまったものの、第3節を前に前期最下位がウソのような勝ちっぷり。後期開幕のロッテ戦で連敗した後は日ハム戦を勝ち越し。気を良くして平和台に帰ってから南海相手に7対4、2対1、3対0と3タテ。更に近鉄には5対2、7対0、5対1、3対2と何と4タテ。遂に昭和47年8月以来の7連勝を記録した。観客動員も3、4連勝までは6千~7千人だったが5連勝した試合で1万人台に乗せ、6連勝した試合は2万人を超え今季最高人数を動員した。この日は平日でしかも戻り梅雨で小雨が降るという悪条件だったが多くのファンが平和台球場に押し寄せた。

大田選手のサヨナラ5号本塁打で勝利し昭和33年の西鉄黄金時代以来19年ぶりの地元7連勝が実現した夜の博多の街は大騒ぎとなった。これまで期待を裏切られ続けただけに連勝中も半信半疑だった博多っ子も7連勝が決まるとスタンドで花火を上げて「勝った、勝った。ライオンズは強かぁ」と歓声を上げると歓楽街中洲に繰り込んだ。博多の街を流しているタクシー運転手は「乗車してくる皆さんがライオンズはどうなった?と聞いてきます。ライオンズの勝利を知ったお客さんがお釣りをチップにして頂いています」と商売繁盛でウハウハだ。

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