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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 754 巨人の内情 ①

2022年08月24日 | 1977 年 



今季の長嶋ジャイアンツの快進撃。それにケチをつける気は毛頭ないのですが、この強さは本当に圧倒的な文句ないものなのか、巨人ファンとしては枕を高くして眠っていいのか…といわれるとハテ?と首を傾げたくなるのです。強いのだけれど、どこか不安な影もチラチラするのです。

折り返し点前で有り余る資産
確かに今の巨人は独走態勢といってよいだろう。6月18日現在、貯金は「15」で2位のヤクルトの貯金「5」に差をつけている。ここ最近の優勝チームの貯金数は昭和49年の中日「21」、50年の広島「25」、昨年の巨人「31」と比べると少々物足りないがシーズン半ばの段階では及第点であろう。シーズン前の予想では阪神、広島、中日を推す声が多く巨人の評価は低かった。ところが阪神、広島、中日は揃って下位に低迷し、Bクラス間違いなしと言われていたヤクルトと大洋が善戦しペナントレースの様相は変わってきた。だがヤクルトは打線、大洋は投手陣に不安がありペナント争いは巨人優勢で固いと思われている。

ヤクルトと大洋の勢いが衰え一度勝率五割ラインを割って、両チームとも後はズルズルと下降線を描く一方だと言われたが、予想に反して再び貯金生活に盛り返してきた。今は低迷している阪神や広島もやがて自力を発揮していずれは上位に上がって来るだろうが、ヤクルト・大洋を含めた各球団が互いに潰し合って巨人との差は縮まらないだろうと予想される。いずれにしても客観情勢から判断して巨人がこのままセ・リーグ連覇を達成する可能性は高いだろう。それでは巨人ファンは安心して枕を高くしてノンビリしていて大丈夫なのか?不安は無いのか?残念ながら不安材料が存在するのである。


ストッパー浅野倒れ中継ぎ高橋の疲れ
6月12日の川崎球場での大洋戦の試合前、杉下投手コーチが「監督、実は浅野が…」と浅野投手の右肩違和感を伝えた時の長嶋監督の困惑しきった表情が忘れられない。努めて冷静さを装ってはいたが長嶋監督は眉間に皺を寄せて苦悩の色をありありと浮かばせていた。ここにきてのストッパーの戦線離脱は計り知れないマイナス要因だ。開幕前に弱体と評されていた投手陣が曲がりなりにもリーグ1,2を争う好防御率を残している強力布陣に変身したのは、浅野投手の存在抜きには有り得ないこと。その浅野がヘタをすれば前半戦残りを棒に振るかもしれないのだ。ヤクルト時代にも肩とヒジを故障した前科があるだけに楽観視は出来ない。

更にもう一人、中継ぎ陣を支えていた高橋良投手が右太ももの肉離れを発症した。幸い怪我の程度は軽症で2~3日の休養で済みそうだが、開幕以来 " あがりの日 " は4~5日だけと常にブルペンで待機していた疲れが原因であることに間違いはない。たとえ短いイニングの中継ぎ登板でも得点圏に走者を置いた難しい場面での出番が多いだけに精神的な疲労度は計り知れない。33歳の年齢からみてもこれから暑さが厳しくなる夏場に向けて体力的にも負担は増すだろう。「現代野球は中継ぎ、特に二番手投手が勝敗のカギを握っている」と長嶋監督が言うように高橋投手が今までのように使えなくなると投手起用のプラン変更を迫られるようになる。

エース・堀内投手にも疲れが腰に来て開幕当初の勢いが無くなり調子を落としている。これから梅雨、真夏と季節が進み疲労も取れにくくなると、ベテランの堀内投手に多くを望むのは酷だ。期待していた新浦投手は相変わらず投げてみなければ調子が分からない不安定さを露呈し、現在のところ計算できるのは小林投手とライト投手の2人くらいと心細い状況にある。6月28日の阪神戦(後楽園)から肋膜炎の後遺症で出遅れていた加藤初投手がベンチ入りするという明るいニュースもあるが、昨季終了後に病に倒れ長期入院生活をしていた加藤投手に昨年のような先発・中継ぎ・抑えといった大車輪の活躍は望めない。

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