現在のオールスター戦は冠スポンサーが付いてCMを流せないNHKは勿論、テレビ朝日以外の民放にも見放されて久しく、放映権争いを各局が競っていた昔と隔世の感アリアリです。
選ばれなかったNHKの謎
プロ野球オールスター戦のファン投票が始まったが、一足早く試合を中継するテレビ局が決まった。
◆第1戦(7月23日・平和台球場)…TBS系
◆第2戦(7月24日・西宮球場)……NTV系とテレビ朝日系
◆第3戦(7月26日・神宮球場)……フジテレビ系
これまで毎年中継していたNHKが外れて3戦全て民放が中継することとなった。NHKとしては例年のように第1戦を「当然ウチが中継できるものと考えていた(NHK・松本運動部長)」がTBS系に持っていかれる完敗であった。これはプロ野球コミッショナーが12球団の総意ということでNHKに通達したものだが、NHKサイドとしては「パ・リーグの試合中継に貢献していると思っているが全球団の総意であるなら仕方ない。ショックではありますが受け身のウチとしてどうしようもない」と昨年の第1戦を中継して21.4%の高視聴率を記録しただけに落胆の色を隠せない。
プロ野球を育てたのはNHKではなく民放だ
オールスター戦が民放に独占された舞台裏について「いま各方面でNHK に対抗しているテレビ朝日が何かしら画策したフシがある。もともとNHKより民放各局の方がプロ野球界との付き合いは強くプロ野球人気をここまで育てたのは我々だという自負がある。なので直ぐに各局が足並みを揃えてプロ野球サイドに働きかけた。一説には民放独占の為に放映権料は1千万円増額した4千万円を提示したらしい。現在の形勢が続けば甲子園の高校野球もNHKの独占でなくなる日が来るかもしれない」と放送関係者は語る。
民放各局の後塵を拝したNHKは3試合ともVTRを撮って午後10時台にハイライトを放送する予定だが、実はこのVTR撮影に関しても当初民放各局は反対したが、コミッショナーの仲介で公共性を鑑みVTR撮影は出来るようになった。なぜ民放はNHKの中継に反対したのか?「仮にNHKと民放が同じ試合を同時に中継した場合、視聴率はNHKに民放は勝てない。昨年の例だと第1戦をNHKとテレビ朝日が同時中継したがNHKの21%に対してテレビ朝日は14%だった。民放にとって視聴率が悪ければスポンサー獲得に支障が生じる。死活問題なんです。視聴率に左右されないNHKには遠慮してもらいたい」と某テレビ局編成部員はNHKとの同時中継に反対する理由を語る。
夏の甲子園大会にもテレビ朝日が名乗り?
NHK外しの音頭取りがテレビ朝日だったという説の真偽はともかく、いまテレビ朝日が各方面で話題を呼んでいることは周知の事実である。テレビ朝日はプロ野球以外の分野でも躍進が目立つ。モスクワ五輪の放送権をNHKや他の民放各局を出し抜いて独占することに成功した。次いで米国のベストセラー小説『ルーツ』のテレビドラマの放映権をNHKと争った末に獲得した。更にNHKが独占状態の夏の甲子園大会にも触手を伸ばしている。夏の甲子園大会は高野連と朝日新聞が共催する大会であるが、朝日系列のテレビ朝日が名乗りを上げるとなるとひと悶着が起こりそうである。
話をオールスター戦に戻して、中継が民放に独占されて心配されることがある。昭和43年の第1戦で1回表パ・リーグの先頭打者・ロペス選手(ロッテ)は初球を狙い打って見事ホームランを放った。陽気なロペスは喜びを爆発させてダイヤモンドを一周し、ホームインするとテレビカメラに向かってポーズをとった。ところがこの一連の動きはテレビで放映されなかった。試合を中継した民放ではまだコマーシャルの映像が流されていたのだ。まさに民放の落とし穴である。このロペスの前例を教訓にして今年は試合開始時刻を定刻より3分ほど遅らせる案が検討されている。
野球ファンとすればNHKだろうが民放だろうが尻切れでない完全中継と、面白くよく分かる解説や安定したアナウンスさえあれば文句はない。今年はNHKが誇る鶴岡一人、川上哲治の両解説者の登場は午後10時台のハイライト放送のみである。鶴岡氏はオールスター戦通算17勝の最多勝利監督であり、川上氏は監督として最多出場11年の記録保持者(水原茂氏とタイ記録)である。両御大のいるNHKを蹴散らした民放各局の解説陣、アナウンサーはファンやNHKに笑われることのない中継をお願いしますよ。
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