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# 601 新戦力 / 西武・ロッテ・近鉄

2019年09月18日 | 1985 年 



ズバリ ! 来季は『投高打低』で日本一の座を奪い返せる
12球団ナンバーワンの投手王国の再建は成った。しかし田尾選手、スティーブ選手、大田選手らクリーンアップは合わせても34本塁打でこれは12球団のクリーンアップの中で最低本数でパワー不足が否めなかった。今季、終わってみればパ・リーグ制覇はしたものの日本一には届かなかった。勝った阪神との差は打線。投手力は東尾、松沼兄弟、郭、渡辺久、工藤ら寧ろ阪神より上。その打線強化の為にドラフト会議で清原選手を指名し、更に新外人の目途も立った。その名はベン・オグリビー選手。M・ブリュワーズの四番打者で今季10本塁打に終わったスティーブに代わりクリーンアップの一員を務めることになりそうだ。

広岡前監督が数年来に渡り嘆き続けていた大砲不在。それでもパ・リーグを制覇できたのは12球団随一と言われている豊富な投手陣のお蔭である。少ない好機を生かして得点をあげ、投手を含めた堅実な守りで勝利に結びつけた。そこへ来季はバリバリの大リーガーが四番の座にデンと構えるとなれば、これまでの投手陣におんぶに抱っこの投高打低を返上できるかも。ただし「外人選手は来日してみないと分かりませんよ。故障持ちだったり日本の環境に馴染めずに持てる力を発揮できずにアメリカに戻った選手は数えきれませんから。最近の西武はハズレ外人も減ってきましたけど、こればっかりはね」と話す大リーグ通もいる。やはり来季も投手頼り?

また一部報道(12月3日付・AP電)ではオグリビーが日本球界入りを渋っているとの情報があるが、坂井球団代表は顔色ひとつ変えずに「ウチは勝算の無い交渉はしない」と新大砲獲得に自信を見せた。加えて先のドラフト会議で高校通算64本塁打・甲子園大会だけでも13本塁打を放った清原を指名し獲得した。退団するスティーブの後釜に一塁のポジションを開幕から得られればヤングレオの新しい目玉になる。また清原加入は先輩の大久保選手を刺激するのは間違いない。後輩に負けてたまるか、と一塁のレギュラーを虎視眈々と狙っている。今オフの補強は来季の布陣もさることながら、5年・10年先の西武に多大な影響を与えるであろう。



横田以上の大物新人・古川の加入で戦国時代に突入の外野戦争
ドラフト4位で亜細亜大学の主砲・古川慎一外野手を獲得した事で来季の外野陣は益々レギュラー争いが激化する。古川は東都大学リーグで15本塁打を放ったスラッガー。古川の加入で8人(高沢・有藤・芦岡・庄司・横田・愛甲・岡部・古川)で3つのポジションを争うハイレベルな戦いとなる。今季の布陣は左翼・有藤、中堅・高沢、右翼・横田だったが来季に関して稲尾監督は白紙を強調する。先ず古川につて「パワーは文句なし。即戦力で愛甲や岡部はうかうか出来ない」と得津スカウトは太鼓判を押す。また11月29日の納会で進退が注目されていたベテラン有藤選手が来季も現役でプレーする事が正式に決まり発表された。

更に今季三冠王に輝いた落合選手が一塁に再コンバートされる事で今季は一塁のレギュラーだった山本功選手が押し出される形で外野手に転向する。こうなると今季メキメキと力を付けてきた愛甲選手や岡部選手、そしてレギュラーだった高沢選手や横田選手もレギュラーどころか一軍に残る事さえ大変になる。稲尾監督は「ウチは実力主義。それは有藤も例外ではない」と言い切る。場合によっては有藤の二軍落ちの可能性も否定できない。それと並行してベテランの庄司選手や芦岡選手は今オフのトレード要員として名前が挙がっている。巷間伝えられている横浜大洋・田代選手とのトレードで庄司に関しては石川投手と共に交換要員として有力視されている。

新旧交代が一気に進む可能性が出てきた。しかし有藤の二軍落ちが現実のものとなったらチーム内外に及ぼす影響は小さくない。就任3年目で初Vに挑む稲尾ロッテに亀裂が生じかねない。かといって有藤を特別扱いすればチーム内に不満や反発が生まれる。稲尾監督の選択がチームの浮沈を握る事になる。新人・古川の参入とベテラン・有藤の残留、更に山本の外野コンバート。昭和37年生まれの愛甲、横田、岡部の左打ち同級生トリオに高沢。どの選手を選ぶにも甲乙つけがたい。「実力第一主義でいくがウチの外野陣は駒が豊富で、レギュラーを決める前に誰を一軍に残すかで頭を悩ますよ」と稲尾監督も嬉しい悲鳴。ただ、ひとつ間違えればチームが崩壊しかねないだけに大変な決断を求められる。



大量7人の投手補強でシノギを削る一軍争いは必至 !
有田選手の巨人とのトレード発表後に岡本監督は「もう今の時点で来季の青写真を描いとる。トレードもこれで終わり」と補強終了を宣言した。ドラフト会議で1位指名した桧山投手(東筑)を筆頭に5位指名まで全て右の本格派投手。更に巨人から山岡投手、ヤクルトから南投手と大量7人もの右投手を補強した。「来年は投手にとって大変な年になるだろう(岡本監督)」と言われるくらい一軍の狭き門を巡って激しい争いが繰り広げられそうだ。一軍の投手枠は11人前後。そこに20人を超える投手が凌ぎを削る事となる。しかも岡本監督は「全て白紙で現時点では横一線」と明言する通り、若手もベテランも皆にチャンスが平等に与えられている。

各スポーツ紙の近鉄担当記者が岡本監督ら首脳陣への取材により得た情報による現時点でのABCランク評価は
【A】鈴木康・石本・佐々木・小野・小山・村田の6名、【B】谷宏・久保・住友・依田・柳田・吉井・高橋・藤原・山岡の9名、【C】谷崎・山村・山口・加藤哲・山崎・南・桧山の8名 となっている。しかし、これはあくまでも目安であり村田、小野、小山、佐々木の先発4本柱も首脳陣から絶対的な信頼を得ているとは言えず、ほんの少しの躓きでB・Cランクに転落してしまう。「ワシも長いこと野球をやっとるが…」と苦笑いで前置きしながら岡本監督はこう続けた。「軸になる投手が一人もおらんというのが初めてなら、これだけ多くの一軍候補者がいるというのも初めて」と。

しかし今では不安よりも自信の方が日増しに膨らんでいる。その理由は日向での秋季キャンプだ。「ヒューズ臨時コーチの存在が大きかった。マスコミの皆さんはチェンジアップやムービングファストボールに注目しとるが、我々にとって一番大きかったのは意識改革。若手投手に投げる楽しさと闘争心を呼び起こしてくれたよ(岡本監督)」と若手投手陣の底上げに確かな手応えを感じている。正直言って来季も今季同様に細かな継投を余儀なくされるだろうが、無い袖は振れない。これだけの顔ぶれしかいないのだ。否が応でも彼らの中から投げる人間を選ばなければならない。しかし昔から " 家貧しうして孝子出づ " と言うではないか。今年の石本投手のような救世主が彗星の如く現れるかもしれない。

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