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納戸の奥に眠っている箱を久しぶりに出してみると…
買い集めていた45年前の週刊ベースボールを読み返しています

# 618 週間リポート・阪急ブレーブス

2020年01月15日 | 1976 年 



我が辞書に敗戦の文字は無い
前期制覇決定? パ・リーグの灯を消す独走
とにかく凄い開幕ダッシュだった。先ずは開幕戦をエース・山田投手が完封勝利。翌日は足立投手が味方の守備の乱れで負けたが、その後は『阪急の辞書に敗戦の文字は無い』とばかり勝つわ勝つわ。4月4日の近鉄3回戦から13日の南海1回戦まで先発投手がオール完投で勝利し、「もうパ・リーグの灯は消えた」と他球団のファンはお手上げ状態。開幕前は山口投手が右膝挫傷、加藤選手が右足首捻挫と投打の主力に故障者が出て連覇に赤信号が点滅していたのがウソのような快進撃。特に山口を欠いた投手陣は山田、足立、戸田らが踏ん張り、またロッテ2回戦では白石投手、同3回戦では大石投手が「嬉しい誤算(上田監督)」の完投勝利を収めた。

とりわけ大石は完封のおまけ付き。完封は勿論、完投も広島時代の昭和49年5月の対ヤクルト戦以来で「まさか大石までやってくれるとは」と梶本投手コーチも驚いた。開幕から8試合で7勝1敗、この間の防御率は0.97 と驚異的。セ・リーグトップの中日投手陣の防御率は2.57 だから如何に阪急投手陣の奮闘ぶりが分かる。加えて援護する打撃陣も凄い。開幕の近鉄戦は初回に3点を上げると2回にはパ・リーグ新記録となる9連打・8得点。その後も打つわ打つわでぶっちぎりの独走も頷ける。この状況に上田監督も満面のえびす顔かと思えばそうではない。「いずれこの反動が来る。その時に備えて勝てる時に勝っておく。周りから勝ち過ぎと文句を言われてもね(上田監督)」と。



それはないですぜ、カネやん
ロッテとのトレード全面拒否で長池の残留決まる
ロッテ側から譲渡の申し込みがあった長池選手について渓間球団代表は「いくら欲しいと言われてもハイそうですか、と簡単に出せる訳がありません。彼ほどの功労者は大事にしないといけない。放出は有りえない」と長池譲渡の意思がない事を明言した。長池の周囲が騒々しくなったのはそもそも金田監督(ロッテ)の発言が原因である。「阪急には長池の他にも高井というDHに適した選手がいる。どちらかがベンチの控えでは勿体ない。是非とも長池をウチに譲って欲しい。見返り?村田・三井・弘田・有藤以外やったらOK(金田)」とぶち上げた。

過日のパ・リーグ理事会終了後においてロッテの西垣球団代表が渓間球団代表に直接長池譲渡を申し入れた。阪急としてもウィークポイントだった三塁手を中日から島谷選手を戸田投手と大石投手の2人を見返りにトレードで獲得した直後で投手陣が手薄になり、長池の件は一考の余地があるとして検討を始めた。ところが金田監督の発言通りにはいかなかった。前述の4選手以外の選手を阪急側が要求してもロッテ側は拒否。ロッテ側が挙げた選手を阪急側は必要としない。何度かの交渉の末、両者は合意に至らずこのトレード話は御破算となった。確かに今季の長池は精彩を欠いたがその原因はキャンプでの故障(右足ふくらはぎの肉離れ)で、怪我さえ治れば従来の強打者ぶりを発揮できると考えた球団側は譲渡に応じられないとの結論に至った。


長池の経歴はMVPが2回、本塁打王が3回、打点王も3回など華々しい。それをたった1年くらい成績を落としたからといって釣り合いの取れないクラスの選手とトレードしたとあっては球団の見識を疑われてしまう。「ウチはそんな冷淡な球団ではない(渓間代表)」と。渦中の長池本人も「トレードされるならユニフォームを脱ぐ」と言い切り態度を硬化させていたが、渓間代表の言葉に安堵の表情を浮かべた。「こんな騒動になったのも元はと言えば自分の体調管理が出来なかった事が原因。来季はトレード話が出ないようにしっかり調整し結果を残したい」と長池は復活を誓った。



狙うは球団初の2000万円
栄光のV2達成で果たして加藤、福本が大台に乗るか?
いよいよ契約更改の季節が来た。 " 悲願の打倒巨人 " でV2を成し遂げた阪急ナインの胸算用は皆が皆、大幅アップ。何と言っても注目は球団初の2000万円プレーヤー誕生が成るかである。現在No,1高給取りは加藤秀の1680万円。加藤は今季も打率3割越えで打点王。28本塁打は自己最多で貢献度はピカイチ。また福本は7年連続盗塁王。昨季は打率.259 と不振だったが今季は打率.282 まで上げた。2人とも大台は確実視されているが球団側は意外にも強気である。「日本一の報酬は日本シリーズの分配金できちんと出している。来季の年俸と日本一はあくまでも別物。連続日本一でも青天井で上がる訳ではないです」と山下常務はピシャリ。

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