4/17(水)
「悪魔とのおしゃべり」著:さとう みつろう
心に残った言葉3つ
あなたの苦しみは「正しさ」のせい
ブランコの法則
「ありがとう、もうできました。」と完了形で神に祈ること
感想
ナポレオン・ヒルの「悪魔を出し抜け!」のような、悪魔だから見える真実を、うっかり人間に喋ってしまうような本かなと思って聴いてみた。
確かに、そういう側面もあるが、ストーリー仕立ての哲学的な自己啓発本だった。
善の側からではなく、180度視点を変えて、悪の側からこの世を見れば、また違った世界が見えてくる。
「善の勢力」から道徳的に悪いものと思わせられているものの中に、実は、大切なものが隠されているのでは・・・と思うようになった。
あなたの苦しみは「正しさ」のせい
「正しさ」のせいで生きづらいと、私も感じていた。
それは、常に正しいことを言う人たちが、悪者を糾弾しているテレビのニュースやワイドショーを観ればすぐに分かる。
平日の昼間から家でブラブラしている者は、正しくない。当初、家族のプレッシャーだと思っていたが、本当は私の心の中の罪悪感だったと気づいた。
我々人類を苦しめているのは「悪」なのか、それとも「正しさ」なのか?と悪魔は問う。
その正しさは本当なのか?正しさを疑ってみろと悪魔は言う。
この発想はいままでなかった。
あなたの価値観があなたの世界を形作っている。
抱え込んだ正しさがあなたの未来の可能性を奪っている。正しさがあなたの世界を小さくしているのだ。
正しさを抱えていなければ、何だってできる。正しさを頭の中から一掃できれば、空だって飛べるし、奇跡だって起こせる。
だから今のあなたたちに必要なのは悪なのだ。悪だけが増えすぎた正しさに対抗できる唯一の手段なのだ。
理解できるアドバイスなら、そもそも聞く必要などないではないか。
正に、悪魔のささやきだが、納得してしまう。
ブランコの法則
正義の味方が存在できるのは、悪の軍団がいるからだ。正義の数が増えれば、それと同じだけ悪も増える。
悪の組織と戦わない仮面ライダーは、いったい何をすればいいのだろうか?超人的な力を持つ善い心をもったバイク野郎が、日本の名所を巡る番組、ボランティアする番組・・・。
これでは視聴率はとれない。視聴者(子供たち)は、仮面ライダーの敵となる絶対的な悪の存在を必要としているのだ。
善は善だけでは存在できない。悪があって善となるのだから。
この世に善しかないなら善と言う言葉自体がないだろう。
それはブランコを横から見ているのに似ている。
前(善い)に大きく振れたら、後ろ(悪)にも大きく振れる。構造上、ブランコは前だけに振れ続けることはできない、必ず後ろにも同じ幅で振れるようにつくられている。
このブランコの法則は、「人の幸・不幸」、「金持ち・貧乏」にも同じことが言える。
「ありがとう、もうできました。」と完了形で神に祈ること
この悪魔、悪魔なのに、神への祈り方のアドバイスもする。祈りが神に通じないのは、祈り方が悪いというのだ。
「~なれますように」と言う祈りは、神にはこう聞こえる「~になることを欲する自分でありますように」と。
神はこの願いを叶えられ、「~になることを欲しているあなたに」してくれる。願いは叶ったのである。
例えば、「健康になりますように」と祈れば、「健康になることを欲しているあなたに」なり、願いは叶う。
本人は「毎日活力に満ちて健康的な人生を送りたい」と思って祈ったとしても、神にはそう通じていない。
もしそうなりたいのであれば、「ありがとうございます、健康になれ、満ち足りた毎日を過ごすことができました」と祈らなけれな通じない。
まだ、願いが叶っていなくても、叶ったという完了形で祈ることで、その願いは神に通じるというのだ。
なるほど、私の願いが叶い続けているのは、まだ見ぬ未来を完了形で書いている、あの未来日記(妄想旅行記)のおかげなのだろう。
最後に「イ~ヒッヒ」と不気味な声で笑う悪魔は、実は、慈愛に満ちた神様だったというオチだ。
どおりで悪魔なのに、いいことを言うと思って聴いていた。