面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「サブウェイ123 激突」

2009年08月21日 | 映画
ニューヨーク地下鉄運行指令室で働くガーバー(デンゼル・ワシントン)は、ペラム駅午後1時23分発の列車が緊急停車したことに気づく。
不審に思って無線で呼びかけていると、車両が切り離され、先頭車両のみがその場に停まったままとなる。
すると、ライダー(ジョン・トラボルタ)と名乗る男が無線に回答してきた。
男は、ニューヨーク市長に対して、乗客・乗員19名を人質として、1000万ドルの身代金を要求してきた。
しかも、制限時間は1時間以内。
更に、交渉相手にはガーバーを指名する。

地下鉄のことなら全てを熟知しているガーバーは、犯人は逃げ切れないはずだと確信を持っていた。
しかし、圧倒的な自信で次々に要求を突きつけてくるライダーに対して、ガーバーは交渉を進めながら、さまざまに疑問を抱く…

たまたま運行指令室から通信したことから、交渉相手に指名されてしまったガーバー。
警察官でもなければ、交渉術の訓練を受けたわけでもない一介の地下鉄職員が、事件の最前線で犯人と対峙する。

自分の人生と人格を全て晒し出し、ありったけの力をふり絞るガーバーの犯人との攻防はスリリングで、観る者をグイグイ惹き付ける。
凄まじい激突と、ごく平凡な日常との対比が鮮烈な印象を残すサスペンスの佳作。


サブウェイ123 激突
2009年9月4日公開/アメリカ  監督:トニー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、ジョン・トラボルタ、ジョン・タトゥーロ、ルイス・ガスマン、マイケル・リスポリ、ジェームズ・ガンドルフィーニ

「眠れる美女」

2009年08月20日 | 映画
15年前に妻と娘を自動車事故で亡くしたエドモンドは、人生に絶望している初老の実業家。
離婚問題で貶めあっていた矢先の妻の死に、自殺ではないかとの疑念を抱き、いたたまれない思いに苛まれ続けていた。
そんな彼に対して友人のコーギは、ある特殊な薬で眠らされていて決して目を覚ますことのない処女と一夜を過ごすという娼館を紹介する。
一糸纏わぬ“眠れる美女”の美しさに驚嘆するものの、一切のコミュニケーションが取れないことに苛立ちを覚えるが、わずかながら反応を示す娘の姿態に惹かれ、通うようになる。
そんなある夜、2人の娘をあてがわれたのだが、そのうちの一人の呼吸が止まってしまった…

川端康成の小説をドイツで映画化。
特殊な睡眠薬で眠らされている美女が待つ謎の館へと通う初老の主人公。
「触れてはいけない」という規則を破り、ますます美女と過ごす一夜の甘美に溺れていく。
そら溺れるわ。単純にそう思う。

そして、偶然昼間に出会った“眠れる美女”の一人を追いかけてしまい、ルール違反を重ねてしまう主人公の最期は、それが自然な流れだったのか、それとも…
とはいえ、耽美な夜を過ごしたのち、“聖母”に見守られての最期は、長らく苦しみ続けてきた心が解放され、安らぎの中で迎えることができたという点において、幸せなものとなったと言えるだろう。
天に召される前の現世において、その心は救われたのかもしれない。

登場する“眠れる美女”達は、皆実に美しい。
DVDで鑑賞される場合は、解像度の高いキレイな画面でご覧になることをお勧めするが、決して「ポルノ」ではないので念のため。


「眠れる美女」
2005年/ドイツ  監督・脚本・出演:ヴァディム・グロウナ
出演:アンゲラ・ヴィンクラー、マクシミリアン・シェル、ビロル・ユーネル、モナ・グラス、マリーナ・ヴァイス、ベンヤミン・チャブック、ペーパー・ルッパ

「ウォーロード 男たちの誓い」

2009年08月19日 | 映画
中国・清朝末期。
太平天国の乱が巻き起こる中、敗軍の将となった清将軍のパン(ジェット・リー)は、リィエン(シュー・ジンレイ)という女に助けられ、一夜を共にした。
その後、食糧を求め街へ立ち寄ったパンは、青年ウーヤン(金城武)と出会い、彼の村へと招かれる。
しかしウーヤンたちは盗賊で、官兵のパンは村のリーダーでウーヤンの兄・アルフ(アンディ・ラウ)から拒絶される。
しかも、リィエンはアルフの妻であることがわかり、パンはショックを受ける。

そんな中、清の軍隊が村へと押し寄せ、食糧を略奪していった。
盗賊のままでは、官軍が勝手な振る舞いをしても公然と歯向かえない。
いつまでも日蔭者のような暮らしをし続けることになるとの思いから、パンはアルフを説き伏せ、盗賊から官軍へと衣替えさせ、ウーヤンと3人で義兄弟の契りを交わし、共に闘うことを誓う。
パンはアルフ達を引き連れて再び清軍の将軍に返り咲くと、怒涛の快進撃で瞬く間に反乱軍・太平天国の本拠へと迫った…

崩壊寸前の清朝時代を舞台に、義兄弟の契りを結んだ3人が、共に乱世を戦い、やがて悲劇へと堕ちていくまでを描く歴史スペクタクル。
物語のベースとなっているのは、これまで中国では何度も映像化されている、清朝末期に起こった馬新貽暗殺事件。
真相が謎に包まれたこの事件を、ラブストーリーに定評のあるピーター・チャン監督が、3人の男たちによる熱い思いがたぎる、男くさい骨太な作品に仕立て上げた。

清の将軍であるパン、元は盗賊一味の首領であり何よりも仲間を大切にするアルフ、そして二人の義兄を支えて忠節を尽くす義に厚いウーヤン。
3人の力で快進撃を続けながら、微妙にズレていくそれぞれの思いを、繊細なタッチで描くチャン監督の演出が見事。
ラブストーリー作りで培った心理描写が、男たちの思いの描き方にも活きているのではないだろうか。

観る者に様々な思いを抱かせる、余韻が味わい深い秀作。
公開直前に試写会にて大スクリーンで堪能したが、いよいよDVD化されて再登場。


ウォーロード 男たちの誓い
2009年/香港・中国  監督:ピーター・チャン
出演:ジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武、シュー・ジンレイ、 シ・チャオチー

「ディア・ドクター」

2009年08月18日 | 映画
小さな山村で唯一の医師・伊野(笑福亭鶴瓶)が突然失踪した。
通報を受けて刑事が二人やってきて村人達に聞き取りを始めるのだが、伊野に対して全幅の信頼を寄せているにも関わらず、彼の過去や医師としての背景を知るものは誰一人としていない。

失踪2ヶ月前、東京の医大を卒業して赴任してきた研修医・相馬(瑛太)は、看護師の朱美(余貴美子)と3人で診察の日々を送るうち、伊野に尊敬の念を抱くとともに、村に残りたいとさえ思いはじめていた。
そんな思いを伝えられた伊野は、相馬に対して“重大な告白”を投げかけるのだが、相馬は伊野の照れ隠し全く取り合わない。
ある日、一人暮らしの未亡人、かづ子(八千草薫)が倒れたとの一報が入る。
後にこのことが騒動の引き金となるのだが…

西川美和監督待望の新作
前作「ゆれる」では、本当に衝撃を受けた
今回も、練りに練られた西川監督の脚本は絶品

僻地の医療環境や高齢化など、現代における問題点に鋭く切り込みつつも、決して重くならず、また暗く湿ったテイストも無く、どちらかと言えば軽いタッチの仕上がりで、「ゆれる」ほど観ることに対してエネルギーを必要としない。
前作とはまた、ひと味もふた味も違う、味わい深い人間ドラマに仕上がっている。
鶴瓶演じる無医村に赴任した医師・伊野は、村人から全幅の信頼を集めているが、その素性は謎に満ちていて、彼を連れてきた村長でさえ詳細を知らない。
そんな彼の失踪をきっかけに浮かび上がる、彼の行動と人物像を軸に展開される心理劇は絶妙の面白さ
ある種サスペンスとしても楽しめる。

映画の最後に八千草薫が見せる笑顔が何とも言えず愛らしい。
いつもながら、観る者の心に大きな余韻を残すラストシーンの演出は秀逸。
僻地の医療環境や高齢化など、現代における問題点に鋭く切り込みつつも、決して重くならず、また暗く湿ったテイストも無く、どちらかと言えば軽いタッチの仕上がりで、「ゆれる」ほど観ることに対してエネルギーを必要としない。
前作とはまた一味もふた味も違う、味わい深い人間ドラマに仕上がっている。
鶴瓶演じる無医村に赴任した医師・伊野は、村人から全幅の信頼を集めているが、その素性は謎に満ちていて、彼を連れてきた村長でさえ詳細を知らない。
そんな彼の失踪をきっかけに浮かび上がる、彼の行動と人物像を軸に展開される心理劇は絶妙。

映画の最後に八千草薫が見せる笑顔が何とも言えず愛らしくて素晴らしい。
いつもながら、観る者の心に大きな余韻を残すラストシーンの演出は秀逸。
今一番、映画らしい映画を撮ることができる若手監督だ。


ディア・ドクター
2009年/日本  監督・脚本・原作:西川美和
出演:笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、井川遥、香川照之、八千草薫

「アマルフィ 女神の報酬」

2009年08月17日 | 映画
クリスマス直前のローマ。
G8の会議に出席する川越外務大臣(平田満)を迎える準備で大忙しの日本大使館に、外交官・黒田康作(織田裕二)が着任。
彼はただの外交官ではなく、イタリアで邦人を狙ったテロが行われるとの情報に基づき、その対策を講じるという特命を帯びていたのだった。
彼の着任直後、日本人観光客からの援助要請が入る。
助けを求めたのは矢上紗江子(天海祐希)という女性。
娘と二人でローマに観光に来たが、目を離したすきに娘が行方不明になったという。
多忙を極める大使館側は、研修生の安達(戸田恵梨香)と、着任して間がなく、まだ担当職務が無い黒田に対応させる。
そこへ、紗江子の携帯に謎の男の声で電話がかかるが、イタリア語が話せない紗江子は黒田に携帯を渡す。
娘を誘拐したというその男に素性を尋ねられた黒田は、とっさの判断で父親だと名乗ってしまったことから、紗江子の“夫”として事件に深く関与することに。
誘拐犯との身代金取引が違法の国で、黒田と紗江子は敢えて犯人に指定された取引に応じるのだが、黒田は犯行がただの身代金目的では無いのではないことに気づき…

フジテレビが開局記念作品として挑んだ渾身の一作。
セット撮影も名門スタジオ・チネチッタで行われるなど、本邦初のオールイタリアロケで制作された、正に絢爛豪華な作り。
観客を、ローマ市内の旧所名跡だけでなく、世界一美しい場所とも言われる港町・アマルフィにも連れて行き、またサラ・ブライトマン自身が本人役で歌う宮殿へといざなう。
飽きさせないストーリー展開に、観光気分も満喫できる、お得な2時間モノ特番風サスペンス・ドラマ。


アマルフィ 女神の報酬
2009年/日本  監督:西谷弘  原作:真保裕一
出演:織田裕二、天海祐希、戸田恵梨香、佐藤浩市、サラ・ブライトマン、福山雅治

お墓参り

2009年08月16日 | よもやま
いつもはだいたい15日に墓参りに行くが、都合により今年は16日に。

午前中は曇っていて暑さもそれほどでもなかったが、お参りに向かう頃から快晴に。
ジリジリ照りつける日差しのもと、汗をしたたらせながら花を替え、水をやり、ローソクと線香に火を点けて合掌。

いつものことながら清々しい。
暑さ寒さは関係なく、なぜかいつもそんな気持ちに。

綾小路きみまろ

2009年08月15日 | よもやま
ひょんなことから、綾小路きみまろ司会の番組を見ることに。

今まで見たことのなかったNHKの番組であるが、構成は、綾小路きみまろのオープニング・トークに続いて、出演者全員による小芝居(綾小路きみまろは弁士として狂言回しに)、何故かさかなくんのご当地見聞録(日本各地で公開録画)、これまた何故か早乙女太一の舞い、観客が詠んだ俳句の中から三句選んで紹介するコーナーに、最後は出演者の歌手の歌(綾小路きみまろのMC付)と、中々てんこ盛りの1時間番組。
中でもオープニング・トークは、綾小路きみまろの真骨頂、というか彼のネタのコーナー。
いかにも、おばちゃんを中心とした年配層に受けそうな内容だ。

綾小路きみまろが、こんなレギュラー番組を、それもNHKで持っていたとは知らなかった。
テレビで彼が本業にいそしんでいる様子を久しぶりに見たが、それにしても表情が変わった。
売れはじめた頃、あの中高年いじりのネタでの彼の表情は、もっと戦闘態勢に入った顔をしていた。
それが今回見た番組では、実に穏やかな顔付きになっている。
それでいて、しゃべりのキレは変わらない。
いや、昔のような挑戦的で攻撃性を感じさせるトーンは薄れて(トーンダウンした、ということではなく)柔らかみが加わり、円熟味が出てきたというところか。

昔から、可もなく不可もない存在で特段気にしたこともなかったが、
「あ、頑張ってんねや」
と素直に応援した。

出雲放浪記②

2009年08月14日 | 放浪記
玉造温泉で一泊し、さんざん温泉につかりまくった翌日。
昨日とはうってかわって快晴!
目指すは開府400年という城下町・松江の中心、松江城。

豊臣秀吉より出雲国守の任を受けた堀尾吉晴は、尼子氏が本拠としていた月山富田城に入ったものの、城近くの山から攻撃を受ける危険性と、政庁とするには奥まった位置にあったために不便であったことから、現在の松江城を築いて移った平山城。
なんでも、維新の際に明治政府から城閣廃止の指示が出たが、元藩士を中心とした地元の有志が尽力して天守閣を買い取り、残ったものだとかなんだとか。

外側は黒い板で覆われ、堂々たる風格。
戦国時代も終わりを告げた頃の築城で、姫路や大阪、名古屋ほどの大きさはないが、天守閣の地階層部分には食糧庫と井戸があり、長期の籠城戦にも耐えうる備えはさすが。
最上階からは360度の眺望が広がり、敵がどこから攻め上って来ようとも一目瞭然。
この眺望が、いまや観光の目玉となっているのだから、後の世の経済にまで益をもたらした堀尾吉晴の慧眼はさすが!
(そんなこたぁない ← タモリ風)

城の側にある武家屋敷も見学しながら、往時の松江城を偲ぶのもまた格別。
歴史好きには、何時間でも遊んでいられる名所である。

ちなみに、小泉八雲が過ごしたのもこの松江で、藩士の旧居を住まいにしていたのだが、その家屋を見学したことも付け加えておこう。
これはこれで趣き深くて結構。

日なたは暑かったものの、木陰に入ればビックリするほど涼しく、大阪では考えられない気候。
落ち着いた雰囲気の城下町であった。

街中

2009年08月12日 | よもやま
今日から夏季休暇ということで、予定していた散髪とクリーニング出し&引き取りと着物の仕立て直しと預金通帳の通帳記入を実行に移す。
ところが、自分だけでなく、街中全体的に盆休みモードに突入していた!

結局こなせたのは、散髪と通帳記入だけ。
雑誌を買おうと本屋に行けば、目指す本が二軒続けて売り切れてるし、まあ今日はそんな日だったということで…