面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「アリス・イン・ワンダーランド」

2010年05月12日 | 映画
1855年ロンドン。
6歳のアリス・キングスレーは、不思議な生き物達が出てくる奇妙な夢におびえていた。
自分の正気を疑ったアリスに、先見の明に富み、冒険心に満ちた有能な実業家でアリスの良き理解者である父チャールズ・キングスレー(マートン・チョーカシュ)は言う。
「優れた人は、みな頭が変さ。」

その後父は他界し、想像力豊かな美しい娘に成長した19歳のアリス(ミア・ワシコウスカ)は、貴族の御曹司ヘイミッシュ・アスコット(レオ・ビル)から求婚される。
こんな良縁は無いと考える周囲は、アリスが二つ返事でOKを出すと思っていたが、退屈な男からのプロポーズに困惑して、その場から逃げ出してしまう。
すると、彼女の前に懐中時計を持った不思議なうさぎが現れた。
うさぎのあとを追ったアリスは、森の中にある大きな穴へと転がり落ちてしまう。

アリスがたどり着いた先は、穴の底にある小部屋。
テーブルの上にあった鍵で開けられるドアはとても小さいものだったが、アリスはそこにあった縮み薬やケーキを口にして、部屋から抜け出すことに成功する。
外へ出たアリスの目の前に広がっていたのは、アンダーランドと呼ばれるワンダーランド。
その「不思議の国」は、独裁者・赤の女王(ヘレナ・ボナム=カーター)によって支配されていて、そこに暮す奇妙な住民たちは、現在の「暗黒時代」を終わらせる救世主の登場を待ちわびていた。
そして彼等は、アリスこそがその救世主だという…

多くの傑作を世に送り出してきた、ティム・バートン監督とジョニー・デップのコンビによる最新作は、お得意の(?)摩訶不思議な世界。
ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」のヒロインであるアリスの、“その後”を描いたものなのだからそれも当然。
CG映像の発達した現在なればこそのワンダーランドがスクリーンに展開し、原作の“言葉遊び”を踏襲した奇奇怪怪なセリフや、珍妙な登場人物(動物?)たちが、スクリーンいっぱいに溢れ、踊りまわる。

あまりの奇妙な出来事に、アリスは夢を見ているのだと考えて頬をつねるが、アンダーランドは消えない。
夢か現か現か夢か。
アリスと一緒に、「不思議の国」からの脱出に向けた冒険活劇を、CGと3Dの世界にドップリと浸って楽しむファンタジー。

にしても、本作におけるジョニー・デップ演ずる「マッドハッター」は、「チャーリーとチョコレート工場」における工場長よりも“突き抜け度”が低い。
それは、「アンダーワールド」で孤立無援となりそうなアリスを、常に信じて守ろうとする“ナイト”な役まわりだからなのだが、予告やCMで窺い知れなかったことから意表を突かれた感が(ていうか若干物足りない!?)
また、ワンダーランドを“卒業”したアリスの成長ぶりも驚くべきものがあるが、これは不思議の国で時を過ごしたから何でもアリということで。
(「何でもアリス」とかオヤジギャグは封印)
いやはや、父上はやはり「先見の明」がおありで。



アリス・イン・ワンダーランド
2010年/アメリカ  監督:ティム・バートン
出演:ミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイ、マートン・チョーカシュ、レオ・ビル


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