面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

数字いぢり

2007年11月11日 | ニュースから
初の「自殺対策白書」を閣議決定、2割減目指す(読売新聞) - goo ニュース

「自分は末期がん」と悲観、認知症の妻を絞殺した夫を逮捕(読売新聞) - goo ニュース


「自殺対策白書」なるものが刊行された。
2016年までに自殺者を2割減にしていただけるそうだ。
ありがたい話で涙がちょちょ切れる。
数年先、統計データをちょちょいと“いぢって”「自殺者を減らした!」と素晴らしい白書が書けることだろう。

末期ガンの85歳の夫が、認知症の80歳の妻を殺害して逮捕された。
変則的な無理心中ではないか。
妻を殺して自分も死ぬ。自殺する勇気はない。
殺人罪で処刑してくれれば、時間はかかるが妻の後を追うことができる。
自分が亡くなった後に残された妻が不憫だという考えは、妻の生存本能を無視した夫のエゴ以外のなにものでもない。
しかし、少なくとも弱者切り捨ての嵐が吹く世情が意識の隅にあれば、このような心中へと短絡的に走るのも無理は無い。

安定した地位と収入が得られ、少なくとも自分は悲惨な目には遭わないように組織を守りつづけることができる連中の数字いぢりに付き合わされる気は無いが、この白書を真剣にとらえ、本当に志ある官僚もいることを期待したい…


「てれすこ」 by紫亭京太郎 in落語Kタイム

2007年11月11日 | 落語
11月12日(月)夜10時(翌11月13日(火)朝10時再放送)
インターネットテレビ net channel KYO
「落語Kタイム」

この度は「てれすこ」にて、ご機嫌を伺います。
「え?映画を落語にしたのか?」と勘違いされた方は、なかなか微妙な映画通。
11月10日公開となりました中村勘三郎・柄本明・小泉今日子の「やじきた道中てれすこ」に登場する謎の魚・てれすこは、この噺がもととなっておるのでございます。

長崎より向う(上方から見て)にある大浦の港に、誰も見たことの無い魚があがりました。
漁師町にも関わらず、誰にも名前が分かりません。
どんな魚でも見てきたことのある長老でも初めて見るという珍魚。
時の長崎奉行は優秀と評判のお方、生きたまま献上すれば、その名をご存じやも知れぬと届けられますが、漁師に分からぬものを、魚の専門家でもないお奉行さんが知るはずもなく。
しかし自分の支配下において名前が分からないというのも癪なことと、名前を知るものには百両下げ渡すと、絵を付けて高札を立てたところ、雑穀問屋・多田屋茂兵衛という男が、「珍魚の名を存じおります」と申し出てきました。
その名を尋ねると「てれすこと申します」。
そんな名の魚があるものか!とお奉行は思いましたが、誰も確認できるものがいないゆえ、認めざるを得ません。
しばらくして珍魚が死んでしまいましたが、ふと一計を案じたお奉行さん。
今度はその死骸を干物にして、再び名前を尋ねる高札を立てますと、再び茂兵衛がやってきて…

いつものように「ほほぉ、こんな噺もあるんや」と興味をもっていただき、プロの話芸へ手を伸ばしていただければ幸いです。
大阪在住の皆さんには、ぜひ天満繁昌亭へ足をお運びいただければと存じます。

まずはごゆるりと、お付き合いくださいませ。

アクセスはこちらまで!

http://www.nc-kyo.com/

☆ ご覧の際に ☆
アクセスしてしばらく、何も映らない黒い画面が表示されることがありますが、しばらくすると音声と映像が流れますので、そのままお待ちください。

「ボーン・アルティメイタム」

2007年11月11日 | 映画
ジェイソン・ボーンという名の史上最強の暗殺者が、自分探しの旅を続けながら巨大な陰謀に立ち向かうスパイアクションシリーズの完結編。

地中海に気を失って漂っているボーンが漁船に拾われるところから始まる第1作「ボーン・アイデンティティー」。
救出されたボーンは記憶喪失にあったが、身の危険に対する本能的な防護反応は、常人とは思えない瞬発力と破壊力を持ち、「俺はなぜこんな力を持っているのか?」と自分探しの旅へと出発。
自分は実は、CIAの恐るべきプロジェクト「トレッド・ストーン計画」による“作品”であるという事実に驚愕するが、過去の記憶を封印すると共に、CIAに対して「俺にかまうな!」と告げ、市井に埋もれて暮らすことを選んで姿を消す。

インドで恋人と共にひっそりと暮らしていたボーンだが、再びCIAからの刺客が忍び寄ってきたことを察知して逃走。
自分を狙った銃弾に恋人を殺されたボーンの怒りは頂点に達したが、同時に、悩まされ続ける悪夢とも決別するため、再び巨大組織に挑んでいく「ボーン・スプレマシー」。

そしていよいよ、ジェイソン・ボーンという暗殺者が作り出されたナゾが明らかにされ、彼の“自分探しの旅”が完結する「ボーン・アルティメイタム」。
更なる陰謀「ブラックブライアー計画」があることを知ったボーンは、自分のアイデンティティーを獲得し、自分の過去と決別するために、計画の全貌を明らかにする戦いに挑み、CIAに対して最終通告(アルティメイタム)を叩きつける。

このシリーズ、単純に面白い♪
昔風の宣伝文句で言うところの「痛快娯楽活劇」としてのアクションの面白さだけでなく、自分を執拗に追い詰めてくるCIAに対して、常に先を読み、彼らの裏をかき続ける頭脳プレーの巧みさもまた、このシリーズの魅力である。
これで最終回かと思うと一抹の寂しさも感じるが、美味しいものを存分に美味しいと思えるところで食べ終わることこそ、作品に対する畏敬の念というものだろう。

それにしても今回の「ボーン・アルティメイタム」を見て痛感させられたのは、もはやこの世にプライバシーは無いということだ。
GPS機能が無くても、携帯電話を使うだけで居場所も会話も筒抜け。
携帯のメールも見放題。
絵文字満載の恥ずかしい携帯メールは控えねば!と真剣に考えさせられる(そら自分だけか!?)

CIAに限ったことではなく、国家というものがその気になれば、一個人の行動を監視することなど、実にたやすいことを改めて思い知らされた。
日本には諜報を専門にした機関は表立っては無いものの、改めてそんな組織を設けなくても、個人の思想や行動を自由に検閲できる状態にある現代は、戦前戦中よりも恐ろしい世界かもしれない…


ボーン・アルティメイタム
2007年/アメリカ  監督:ポール・グリーングラス
出演:マット・デイモン、ジュリア・スタイルズ、ジョーン・アレン、デヴィッド・ストラザーン