中國のレアアース白菜なみの安値 (2014-06.19.)
ロイター通信中國関係者に寄れば、輸出制限していた中国の「レアアースの輸出制限を撤廃する見通しだ」と伝えた。
レアアースは2010年9月、尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖の中國漁船衝突事件後に「対日禁輸措置」と言う、外交カードにも使われた資源だが、その横暴振りに日・米・欧から猛烈な批判を浴びた経緯がある。日本は事件を切欠に、中國以外の調達策を開発、脱レアアースの独自技術を磨き、中国の脅しに対抗して来た。一時的に吊り上げられた価格も今は安値に喘ぎ、中国の失政が浮彫になっている。
中國は、尖閣諸島沖の漁船衝突事件後、直ちに日本へのレアアースの禁輸措置を断行、中國側は環境保護を理由にしたが、日本企業が得意とするHV車のエンジン部品や携帯電話などの材料に欠かせない資源だけに、日本への打撃を目論んだ威圧に他ならなかった。
レアアースの取引価格は一時急騰した事で、中国の影響力を誇示する結果となったが、振り返れば、中國が受けたその代償は極めて大きかった。第一財経日報社に寄れば、レアアースの価格は、「白菜の価格と同じ」と例えられ、其れが更に一段と下落するとの見方が浮上して居ると伝えたのである。
中國はそもそも、レアアースで大きな儲けを挙げられる産業構造になって居ない。と言うのも第一経済日報は10元(164円)~20元で輸出されるレアアースが欧米で加工され1000元で買い取られると指摘。製品化技術の乏しさを問題視した。
輸出規制で、レアアースの密輸出も横行。収入が減った事で、密輸業者に化けてしまったレアアース企業の従業員もいた。密輸業者がレアアースを含んだ「土」を運びだし、安値で叩き売る〝盗掘”が相次ぎ、中國が取締りを強化する事態に陥っている。
そして、また、中國が不当にレアアースの輸出を制限しているとし、日米欧が世界貿易機関(WTO)に提訴した問題で、紛争処理委員会が3月に日米欧の訴えを認めたことで、中国の劣勢が決定的となっている。
「WTO敗訴で中国がレアアース政策を修正すれば、中國には価格面で競争するしか道は残されて居ない」ロイター通信では、中國以外で新しい鉱脈も発見され、むしろ供給過剰の懸念さえ出ていると言う。米国防省は昨年提出した年次報告で、レアアースの需要が低下。価格がピークの6割下落した事で、供給不足が大きく後退しているのだ。
中國は、脱中国レアアースの動きで価格競争力を失ったばかりかWTOの敗訴で、輸出規制カードも切れなくなっている。強気一辺倒の中国の行き着く先は世界からの孤立だけだ。
(えびなたろう)
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