ヤフーニュースから
日本固有のチョウ初の絶滅か 原因は外来トカゲ?
僕(milk)もコメントしときました。
>1976年から約20年間、オガサワラシジミの生態を観察し続けてきました。
絶滅した主原因は、グリーンアノールではありません。グリーンアノールによる捕食(最初にそれを報告したのは僕ですが)そのものではなく、それが増殖するようになった「背景」をトータルで考えねばなりません。
オガサワラシジミは、1970年代の末、爆発的に個体数が増えたのです。原因は、日本返還後、急激な開発による人為的な空隙地の出現で、主食草であるムラサキシキブ類が一時的に大繁殖し、それに伴って、蝶のほうも大発生が数年間続いたことに因ります。そのため、本来の適切な個体数のバランスが崩れ、「種」の滅亡の引き金になったのです。
他の方も書いているように、安易な「自然保護」も、結果としてそれに手を貸したことになります。
ちなみに、母島の原生林奥の断崖絶壁に生える、照葉樹(クス科タブノキ属)の蕾に産卵する集団(母種のルリシジミ同様、食草は多岐に亘ります)が、今も生き残っているはずです。
>hanさんやhasさんの意見*に基本的には同意します。ただし、テリハコブガシの代用は、タブノキやアオガシで可能なはずです。また、現地では、ムラサキシキブ属の種も複数の種を食べていました。食草の選択に関しては、絶滅への経緯とは、結びつかないように思います。
問題は、(権力者による)安易な「自然保護」ですね。僕は、蝶コレクターの採集行為に関しても否定的なのですが、それ以上に「空気に乗っかった」だけの、ひとりよがりな自然保護には、大きな問題があると思っています。
*参考としてこのニュースへのトップコメント(has***さんという方)を紹介しておきます。
>>オガサワラシジミ、現地(母島の一部など)で環境保全を地道に行えばよいものを「日本蝶類保全協会」という団体が、幼虫等をすべて持ち去り、飼育に失敗しました。同様な例は長野県安曇野市のオオルリシジミ(飼育下の個体群は世代交代しているが天然で発生しなくなった、飼育の主体は長野県)、奈良県川上村のギフチョウ(橿原昆虫館が全卵持ち去り、飼育に失敗、絶滅)などがあります。温室内バタフライファームのような見せ物ではありませんので、環境省も怪しげな団体に丸投げするのは止めましょう。
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「現代ビジネス」U氏へのメール。
僕が書いた記事の通りになりましたね。
何人かの方のコメントにもあるように、原因は「安易な自然保護運動」です。
ことに、東大の(コレクターあがりの)某研究者。
“自然界”の奥深さを分かっていない。
グリーンアノールに責任を押し付けて済む問題ではないのです。
「コロナ(ワクチンで解決?)」も「熱中症(冷房徹底すればいい?)」も、いつか同じ道を辿りますから、、、。
(幸か不幸か、僕は見届けることは出来ないけれど、U氏は出来るでしょう)
過去記事の「小笠原」を再掲載(再紹介)してください!
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三世へのメール。
オガサワラシジミ絶滅です(日本の蝶で有史以降第一号)。
僕が「現代ビジネス」の記事に書いた通りになりました(東大某研究者の画作した「正義の」自然保護ごっこが原因)。
グリーンアノールという外来トカゲに全責任を被せようとしています。
このグリーンアノールの小笠原での繁殖を最初に報告したのも、このトカゲがオガサワラシジミなどの固有昆虫を捕食することを最初に報告したのも、僕です(1976-1978年)。捕食は、急激な減少とは直接関与していない、とも考察しています。
そのことを詳しく書いたのは「科学朝日(サイアス)」、一冊の本として纏めたのが「緑の島の進化論~小笠原の自然」(初出:小笠原新聞連載→毎日新聞連載)です。
その、白水社から刊行された「小笠原の自然」は、1998年に7500部印刷・刊行して、在庫は5部だそうです。そのうち3部を僕が貰うことになっています(増刷はしない由)。
添付地図:ルリシジミ種群の分布域(黒線の内側)
一応、大雑把な僕の見解。
(研究者によっては、数10種に分ける見解もあると思います)
①ルリシジミ(北半球温帯全域)
②スギタニルリシジミ(日本~台湾~中国~ヒマラヤ)
③ハルカゼルリシジミ(アメリカ大陸東部)
④オガサワラシジミ(小笠原父島・母島)
⑤アリサンルリシジミ(台湾~中国大陸西部)
極めて広い分布域を持つルリシジミの中で、類縁的に(?)最もオガサワラシジミ(赤丸)に近い可能性がある集団を、ギリシャから比較的近いところ(紫丸)で見つけました。
ギリシャのルリシジミを調べると、興味深いことが分かってくると思います。