青山潤三の世界・あや子版

あや子が紹介する、青山潤三氏の世界です。ジオログ「青山潤三ネイチャークラブ」もよろしく

近所の蝶 52番目の撮影種 ミズイロオナガシジミ

2024-05-26 16:19:29 | 雑記 報告



ゼフィルス(シジミチョウ科ミドリシジミ族)は、去年は一種も撮影出来ませんでした。平地産の普通種、ミズイロオナガシジミ、アカシジミ、ウラナミアカシジミ、オオミドリシジミ(以上、クヌギ・コナラ食)、ミドリシジミ(食樹ハンノキ)、ウラゴマダラシジミ(食樹イボタ)あたりは、いてもおかしくはないのですが、どの種も一頭も見ることが出来ませんでした。

東京のアパートの近所でも、2021年の夏、霞丘陵の駐車場脇のコナラの樹でミズイロオナガシジミを、青梅駅の駅裏のコナラの樹でオオミドリシジミを撮影しただけで、ほかの種はどれも出会えなかった。ところが2022年の夏に(ギリシャから戻って福岡に来る直前に)再訪してみたところ、アカシジミもウラナミアカシジミもミズイロオナガシジミも、嘘みたいにドッサリ発生していたのです。著しい年次変動があるのかも知れません。

去年の福岡。近所の公園の入り口にクヌギの疎林があって、いかにもゼフィルスが居そうな環境なのです。せめてアカシジミかミズイロオナガシジミと出会えればと、ずっと注意を払っていたのだけれど、影も姿もなかった。

全国的な普通種ではあっても、九州には少ないのかも知れません。ということで、今年は端から遭遇を期待していなかったのですが、先日(5月23日)、部屋から徒歩2分の道端のクヌギとコナラの樹の下の落ち葉の上に、小さな白い蝶がとまっているのを見つけた。もしやと思って近づいて確認したら、ミズイロオナガシジミでした。

羽化直後の、出てきたばかりの個体なのでしょうか?それとも下に降りて休んでいたのでしょうか?繁みの枝や葉が邪魔になって、まともな写真が写せません。やがて飛んで行ってしまった。翌日(昨日)も、今日も、同じ所で見かけたのだけれど、すぐに飛び去ってしまって写真は写せませんでした。

今日(5月25日)、部屋から徒歩5分の公園入口で、クヌギの樹の下の枯葉の上に止まっているのを見つけました。やはりすぐに飛んで行ってしまって戻って来ません。相当に敏感なようです。

ペットボトルの麦茶を飲みながら、ふと前を見たら、湖畔のクヌギ葉上に、また一頭止まっています。でも手前の枝葉が邪魔になって、上手く写真を撮ることが出来ません。結構苦労して、左手で枝を引っ張りながら、右手の掌と指でスマホを操作して、アクロバット体制で撮影に臨みました。

スマホを使い出してから、目の前にじっとして止まっているチョウを、“どう考えても絶対に失敗するはずはない”という状況下で撮影するのですが、念のためにと100枚以上写しても、1枚もまともに写っていない(ピントが合っていない)、ということの繰り返しです。

今回は、最悪の条件下です。どうせまともには写っていないだろう、という前提で、20分余かけて200枚近く写したのですが、何故かほとんど全てがきちんと写っていた(スマホ、気まぐれですね)。

それに、枝を揺らしながら至近距離(5センチ前後)で撮影を続けたので、当然すぐに飛び去ってしまうだろうと思っていたのですが、意に介せずずっと同じ葉上にとまっていました。

その後、池を一周して、シルビアポイントのチェックをしたりして(ミズイロオナガシジミは、ほかにも数頭の個体に出会いました、去年全く姿を見なかったのが、嘘の様です)、撮影開始時点から1時間10分後に戻ってきたら、まだ同じ葉上に止まっていた。

敏感なのか、鈍感なのか、よく分からんです。



23日、最初に出会った個体も、枯葉の上をヨロヨロと歩いていたので、撮影は楽勝と思っていたのですが、飛び去ったあと戻ってこない。入れ替わるように別の蝶(サトキマダラヒカゲ)がやって来て、僕の腕にとまって汗を吸い始めました。

ミズイロオナガシジミが戻ってくるのを待つ間、それを撮影することにしました。ただ手に止まっている蝶を写すだけだと能が無いので、周りの環境を入れようと思ったのですが、スマホの角度の問題で僕の顔のほうに向いてしまいます。それもまあ良いかと、僕の顔も写し込んで撮影することにしました。

勿論主役は僕の顔ではなくて蝶のほうです。ところが、幾ら蝶にピントを合わせても、シャッターを押す瞬間に顔のほうにピントが移ってしまいます。意地になって、14分間に176枚、なんとか数枚が蝶のほうにピントが合っていました。何でもかんでも人間中心にセットされてしまう、という現代文明の宿命が如実に表れているわけです。



ミズイロオナガシジミに話を戻します。

静止時に翅を開くことはまずありません。たまにはあるのかも知れませんが僕は見たことが無い。ゼフィルスのうち、いわゆる「高等ゼフィルス」と呼ばれている、雄の翅表が金属光沢に煌めく各種(“ミドリシジミ”と名の付いた種とウラクロシジミ)は静止時に良く翅を開くのですが、「下等ゼフィルス」(雌雄の外観が類似し、雄は顕著な占有飛翔を行わない)の多くは翅を閉じたままのことが多いようです(ウラゴマダラシジミは開く)。

ミズイロオナガシジミの翅表は、雌雄とも鈍い灰黒褐色です。裏面は白地に黒帯。なのに「水色」と名が付いている。なぜに水色?と訝るのですが、実はピッタリの名前。飛んでいる時は、まさしく水色に見える(ルリシジミと区別が困難なほどです)。(灰褐色+白+黒)×飛翔で「水色」、不思議だけれど、事実なのです。

属名はAntigius(アンティギウス)。柴谷篤弘博士の命名です。僕のコードネームでもあるIratsumeイラツメ(郎女)を初め、Wagimoワギモ(吾妹)、Araragiアララギ(茂吉/赤彦/健吉)、Favonius(Zephyrusのラテン語読み)などと共に命名されました。Antigiusは、博士の恩師・杉谷岩彦教授(スギタニルリシジミに献名されている)のSUGITANIを組み替えてANTIGIUS。



典型的な東アジア分布パターンを示す、東アジアを代表する属の一つです。

日本海周辺地域(北海道₋九州と、対岸のロシア沿海州・朝鮮半島・中国東北地方)+長江流域(華東地方・華中地方を経て中国西南部)および台湾に分布するミズイロオナガシジミAntigius attiliaと、ほぼ同じ地域(ただし日本では山地性で、北海道に分布を欠き、九州では霧島山系のみ)に分布するウスイロオナガシジミA.butleriから成ります。共に食草はブナ科Quercus属(前者は主にコナラ、クヌギ、後者は主にカシワ、ナラガシワ)。

近年台湾固有種として新種記載されたA.jinpingiは、♂交尾器の基本形状に於いてウスイロオナガシジミとの間に確たる種差がなく、僕は同一種に含めても良いと考えています(裏面の斑紋も極めて発達が悪いことを除けば同一パターン)。

また、中国とミャンマーから、小岩屋敏氏による2新種(A.cheniとA.sizuyai)が記載されていますが、僕は詳細を把握していないので、言及は保留しておきます。

クルミを食草とするオナガシジミAraragi entheaとは外観がよく似ています(ことにウスイロオナガシジミ)が、類縁的には特に近くはなく、むしろダイセンシジミ(ウラミスジシジミ)Wagimo signatusやタイワンウラミスジシジミW.sulgeriと類縁が近いように思われます。

僕が中国四川省(青城山)で記録し、新属新種である可能性を示唆したシロモンオナガシジミは、後にオナガシジミ属の一種Araragi sugiyamaeとして新種記載が成されましたが、雄交尾器の形状からは、明らかに別属に置かれるものと考えます(AraragiとAitigiusの中間的形状、食草はクルミ属)。

なお、ミズイロオナガシジミは、僕は四川省北部山岳地帯(九賽溝)で撮影。日本産に於いても裏面の斑紋パターンが多様なことから、特に区別をする必要はないと思われますが、その前提で考えても、なんとなく独自の特徴を示しているように感じます。












ミズイロオナガシジミ 福岡県飯塚市 May 25,2024






ミズイロオナガシジミ(別個体) 福岡県飯塚市 May 25,2024






ミズイロオナガシジミ 東京都青梅市 Jun.1,2021






ミズイロオナガシジミ 山梨県日野春 Jul.3,1975






ミズイロオナガシジミ 岡山県新見市久保井野 Jun.26,1986






ミズイロオナガシジミ (撮影場所確認中) Jul.2,1991








ミズイロオナガシジミ 中国四川省九賽溝 Jul.31,1991








ウスイロオナガシジミ 岡山県新見市久保井野 Jun.26,1986






ウスイロオナガシジミ 岡山県新見市久保井野 Jun.26,1986






シロモンオナガシジミ 中国四川省青城山 Jul.29,1991






ダイセンシジミ 広島県冠高原 Jul.12,1993






タイワンウラミスジシジミ 中国浙江省清涼峰 Jul.12,2018






ミズイロオナガシジミ 福岡県飯塚市 May 23,2024














サトキマダラヒカゲ 福岡県飯塚市 May 23,2024







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中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 6

2024-05-26 09:00:00 | 雑記 報告


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 6



【10‐11】を青山(2014)では〖4‐9〗と同じ【Group Ⅲ】に含めたが、「中国植物志」では〖1‐9〗の「根葉群」とは異なる「長茎群」に含められる。また青山が【Group Ⅳ】とした【12‐13】も、同じく「長茎群」に所属する(系の段階で異なる)。



1-1-2-2-1-2羽状葉の裂片は大きく、下唇の中央片はごく小さい

1-1-2-2-1-2-1嘴状上唇は立ち上がる

〖10A〗 Pedicularis geosiphon地管马先蒿

长茎群 Grex Dolichomiscus 长茎亚群 Subgrex Dolichomiscus 藓生系 Ser. Muscicolae






四川省黄龍渓谷alt.3300m付近 Jul.5,2005

〖10B〗 Pedicularis.macrosiphon大管马先蒿

长茎群 Grex Dolichomiscus 长茎亚群 Subgrex Dolichomiscus 藓生系 Ser. Muscicolae




四川省ミニャコンカalt.3100m付近 Jul.2,2009




雲南省梅里雪山雨崩 alt.3300m付近 Jun.12,2009

写真が不鮮明なため断言はできないが、とりあえず同一種〖10〗とした。いずれも渓流沿いの林床の湿った苔上に生える。〖4~9〗同様に草丈が低く、花筒は細長く伸び、上唇は嘴状になるが、複葉は全裂し、各小葉は幅広く、互いに離れて位置し、羽状複葉に近い状態になる。葉面は比較的滑らかで、小葉の重鋸歯は鋭い。花は余り集まって咲かず、通常一株に1~数花。花色はピンク、喉の周辺が僅かに白い。下唇は平開し、中央裂片は側裂片より小さな楕円形、側裂片は幅広い。下唇の中央線に沿った部分が盛り上がる。嘴状上唇は、一度立ち上がって中間部でやや膨らみ、順次細まって下後方へ向けて突出する。後半部は濃い赤褐色を呈する。

**〖10A〗と〖10B〗を青山は同一種としたが、尹民の指摘に従い別種とする。



1-1-2-2-1-2-2嘴状上唇は下唇の上に寝る

〖11〗 Pedicularis muscicola 藓生马先蒿

长茎群 Grex Dolichomiscus 长茎亚群 Subgrex Dolichomiscus 藓生系 Ser. Muscicolae








陝西省秦嶺山中の渓谷沿いalt.1500m付近. Apr.21,2010

全体として〖10A〗Pedicularis geosiphon/〖10B〗Pedicularis macrosiphonに似るが、植物体が頑健な印象で、全裂する羽状葉は長さ10㎝を超し、長い柄を持ち放射状に開出する。その間から数本が集まって伸びる花茎状の花筒とともに、毛を密生する。萼片・苞葉片は未確認(〖10AB〗も)。寫眞で見る限り、花筒基部には小さな葉のようなものが集まっていて、それが苞葉片に相当するのかも知れない。下唇は中央裂片が小さく、全体のプロポーションは〖10AB〗と共通するが、側弁は上下により幅広く、縁は内側へ軽くウエーブする。嘴状上唇の基部は、余り顕著には立ち上がらず、順次細まりながら、向かって右に曲がりつつ下方に伸長する。基部の膨らんだ部分から、盲腸のような小突起を派出する。上唇も下唇同様のピンク色。本種は、四川省・雲南省には分布しない。



1-1-2-2-2花は葉腋につく

1-1-2-2-2-1茎は立ち上がらず花は長い筒部を欠く【Group Ⅳ】

1-1-2-2-2-1-1花は一様にピンク

〖12〗 P.axillaris 腋花马先蒿

长茎群 Grex Dolichomiscus 长茎亚群 Subgrex Dolichomiscus 腋花系 Ser. Axillares






雲南省白水台alt.2400m付近. Jun.2,2009

1-1-2-2-2-1-2花は白い斑がある

植物体の大きさは〖4~11〗と同程度、花筒は伸長せず、萼片は花冠基部の葉腋から伸びた花茎の上部に存在する(花期の後期になって花筒が伸長する可能性もあるが、チェックした個体に於いては全てが萼片から直接花冠が開いていた)。茎は地を伏せ、多毛で重鋸歯をもつ全裂した羽状葉を多数対生する。萼筒は長毛に覆われた短い紡錘状で、上縁から濃紫褐色~濃褐色の5枚の葉状鱗片が開出する。花は一様にピンク色、下唇は幅広く、中央裂片と側裂片の分離が不明瞭(互いに重なっているのか未分離なのかの判断は写真では困難)。嘴状上唇は基部から斜めに立ち上がったのち中央付近で屈曲し、細まりつつ下方に向かう。基半部の背方は濃色でやや凌状に盛り上がる。

〖13〗(same species as the 12)






雲南省麗江玉龍雪山山麓alt.3100m付近. Aug.1,1995

〖12〗に似るが下唇は白とピンクの斑で下縁が広がる扇状、全体としてやや発達が悪い。

**〖12〗と〖13〗を青山は別種としたが、尹民の指摘に従い同一種とする。





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中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 5

2024-05-25 09:00:00 | 雑記 報告


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 5



以下、「中国植物志」に於ける「根葉群Grex Rhizophyllum(おそらく根葉亜群 Subgrex Rhizophyllum)」に所属すると思われる日本産の種。

ミヤマシオガマ群に分類される日本産の4種は、青山(2014)の仮分類では、上唇の形状(舟型)が共通することから、タカネシオガマ群(旧・オニシオガマ群を含む)共々、「舟型グループ」に振り分けるべきものである。


中国植物志では、タカネシオガマ群各種が(典型的「舟型グループ」の一つ)「之形花群」に所属するのに対し、ミヤマシオガマ群は日本産4種のうち3種が日本固有種であることから、所属群が特定できないでいる。


唯一、シオガマギク属中最も広域の全北区寒冷地(日本では北海道大雪山)に分布するキバナシオガマのみが中国に分布し、ここまで紹介してきた種〖1~7〗とともに、「根葉群」(既出各種とは別の「火焔系」)に所属するとされている。


ということは、他3種もそれに準じることになるわけだが、それにしても外観上の特徴は、嘴状上唇から成る既出各種とは著しく異なり、この処遇が妥当であるか否か、疑念を禁じないでいる。将来の訂正の可能性を含み置いたうえで、暫定的処置として、ここで紹介しておく。




☆ Pedicularis schistostegia ネムロシオガマ






北海道礼文島 .Jun.10,1993






北海道礼文島 .Jun.6,2001

北海道北部~東部固有種。



☆Pedicularis oederiキバナシオガマ

根叶群 Grex Rhizophyllum 根叶亚群 Subgrex Rhizophyllum 火焰系 Ser. Flammeae








北海道大雪山 Jul.16,1992

周北極圏地域に広域分布。日本では北海道大雪山のみ。



☆ Pedicularis koidzumiana ベニシオガマ

Non Ohoto

利尻島固有種。



☆ Pedicularis apodochila ミヤマシオガマ








岩手県早池峰 .Jun.29,1994




data確認中




南アルプス北岳 Jul.8,1993

日本(本州中部高山帯~北海道)固有種









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中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 4

2024-05-24 13:42:09 | 「現代ビジネス」オリジナル記事


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 4



1-1-2-2-1-1-2 嘴状上唇は立ち上がり先端は2‐3分する

1-1-2-2-1-1-2-1花色は赤

〖8〗Pedicularis przewalskii ssp.australis 南方普氏马先蒿

根叶群 Grex Rhizophyllum 根叶亚群 Subgrex Rhizophyllum 低矮系 Ser. Pumilliones






雲南省白馬雪山alt.4200m付近. Jun.14,2009

〖1〗~〖7〗同様に通常5~10花が隣接し、地面に接した萼筒(合着した紡錘状で上縁に数個の小さな葉状鱗片が生じる)から高さ3cmほどの細長い花筒が直立する。花径は約2㎝。花色は一様に濃ピンク。下唇の3つの裂片は縁が重なることなく平開、中央裂片は側裂片より小さい。嘴状上唇は、一度立ち上がった後、中央付近で上下に膨らみ、先半は2本の細い管状となって下方に伸長し、その間から雌蕊の柱頭が顔を覗かせている。*〖9〗と同一種の別亜種。



1-1-2-2-1-1-2-2花色は白

〖9〗Pedicularis przewalskii ssp.micropiton 矮小普氏马先蒿

根叶群 Grex Rhizophyllum 根叶亚群 Subgrex Rhizophyllum 低矮系 Ser. Pumilliones














四川省巴朗山alt.4600m付近. Jul.31,2010












四川省雅江~新都橋(臥龍峠)alt.4400m付近. Jun.6,2010

概形や大きさは〖8〗Pedicularis przewalskii ssp.australisに似るが、下唇の各裂片はより幅広く、全体が純白の円盤状となる。嘴状上唇の形状も〖8〗に準じるが、立ち上がった部分の基半は純白、中央の膨れた部分から先は、濃い鮮紫色を呈する。〖8〗ともども、葉は余り大きくならず、羽状片の切れ込みもごく浅く、裂片先端は尖らない。萼筒の形状も〖8〗同様で、花筒基部を紡錘状に覆い包む(臥龍峠産の写真個体は濃紫色の条線がある)。花筒、萼筒、葉ともに、軟毛を密生する。両撮影地とも、背の低い草を交えた高山礫地。*種レベルでは〖8〗と同一種とされる。








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中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 3

2024-05-23 16:10:36 | 雑記 報告


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 3



1-1-2-2花冠は平開

1-1-2-2-1花冠は地上から直接伸びた長い筒部の先に開く【Group Ⅲ】

1-1-2-2-1-1羽状葉の裂片は小さく、下唇の側片は盛り上がる

1-1-2-2-1-1-1嘴状上唇は捻じれる

1-1-2-2-1-1-1-1赤花、嘴状上唇は上から下に向かう

1-1-2-2-1-1-1-1-1花冠は平開し、嘴状上唇先端は単一

〖4〗 P.siphonantha 管花马先蒿

根叶群 Grex Rhizophyllum 根叶亚群 Subgrex Rhizophyllum 长花系 Ser. Longiflorae

写真1—4








雲南省香格里拉近郊.alt.3800m付近 .Jul.28,2015

写真5


同alt.3400m付近 .Jul.29,2015

写真6


雲南省白馬雪山alt.4200m付近 Sep.29,.2005

雲南省香格里拉~白馬雪山にかけての高山湿性草地で撮影。地上近くに束生した重鋸歯を伴う羽状深裂葉の葉腋から、5㎝前後に達する花柄状の細長い真紅の花筒が1~数10本集まって直立する。中には上から2枚目の写真の株のように、数本がごく隣接して上伸開花するため、球形の集散花序のように見える場合もある。花筒の基部を覆う萼筒は、合着した筒状で、上縁に一対の葉状鱗片を生じる。下唇は径1~2㎝、側裂片が幅広く、中央裂片と同程度かやや大きい。花冠の基部は白い。嘴状上唇は、基部で幅広く、後方は細長い管状になって丸く内側に向かって巻く。花冠は平開する。

注:〖4/5/6&7〗は酷似するが、最近のDNA解析結果では、それぞれ遠く離れた類縁に位置付けられている。



1-1-2-2-1-1-1-1-2花冠はやや壺状に開き、嘴状上唇先端は数裂

〖4B〗Undescribed species belong series Longiflorae 长花马先蒿節の未記載種

根叶群 Grex Rhizophyllum  根叶亚群 Subgrex Rhizophyllum 长花系 Ser. Longiflorae

写真7


雲南省香格里拉近郊alt.3700m付近. Jun.19,2005

種としては、〖4〗 Pedicularis siphonanthaに包括されると思われるが、「Longiflorae節の未記載種」とする尹民(2017私信)に従い、ここでは分けて紹介しておく。嘴状上唇は先端が短く3鋭裂。花冠は内側に巻き気味で〖2〗Pedicularis willsoniiや〖3〗Pedicularis elwesiiのような壺状になった花冠の種への移行初期段階の状況を思わせる。



1-1-2-2-1-1-1-2黄花、嘴状上唇は下から上に向かう

1-1-2-2-1-1-1-2-1下唇側片は脊方に鋭く突出、赤紋は2個、

〖5〗Pedicularis longiflora var.tubiformas 长花马先蒿

根叶群 Grex Rhizophyllum 根叶亚群 Subgrex Rhizophyllum 长花系 Ser. Longiflorae

写真8—11








雲南省香格里拉近郊alt.3500m付近. Jul.28,2015 (上2枚の紅花はP.siphonantha)

注:最近のDNA解析に拠れば酷似した〖4〗および〖6&7〗とは別グループに位置づけられ、通常別グループとされる〖20‐25〗のP.davidiiなどに近いようである。外観が著しく異なる〖3〗P.elwesiiにも比較的近縁とされている。



1-1-2-2-1-1-1-2-2下唇側片の背方は丸く盛り上がる

1-1-2-2-1-1-1-2-2-1下唇は黄一色、3個の赤紋がある

〖6〗 P.armata 刺齿马先蒿

根叶群 Grex Rhizophyllum 根叶亚群 Subgrex Rhizophyllum 长花系 Ser. Longiflorae

写真12


四川省黄龍(峠上の高山礫地)alt.4200m付近. Aug.6,1995

写真13


四川省九賽溝(渓流沿い草地) alt.2500m付近 .Aug.2,1991

〖5〗Pedicularis longifloraに類似するが、下唇基部の濃赤褐色班は、中央裂片に一個、左右の裂片の縁に2個の、計3個がある。中央裂片が小型で、側裂片がより幅広く、全体として円形を呈する。嘴状上唇は8同様に上方から下方に向かって屈曲するが、その基部にも赤褐色斑が生じる。濃い黄色の上写真個体と、下写真個体のように外側が白味を帯びるものがあるが、基本形態は変わらない。



1-1-2-2-1-1-1-2-2-2下唇は基部が白く、上唇の先端は2分する

〖7〗 P.cranolopha 凸额马先蒿

根叶群 Grex Rhizophyllum 根叶亚群 Subgrex Rhizophyllum 长花系 Ser. Longiflorae

写真14


四川省雅江東方臥龍峠下の河岸草地 alt.3700m付近 .Jun.7, 2010

写真15


四川省塔公~八美間の高山草原 alt.4200m付近. Jul.23,2010

上写真個体は下写真個体に比べて葉が大きく発達、羽状部は中脈沿いを残しほぼ全裂するが、撮影地は距離的にも近く、明らかに同一種であろう。全体の概形や大きさ、細長い花筒などは〖4~6〗に似るが、花色は白で内半部が鮮黄色、下唇の各裂片は幅広く、〖6〗同様に花冠全体が円形を呈する(ただし中央裂片も幅広い)。嘴状上唇は鮮黄色、上方から下方に向かって湾曲、先端が2裂し、細長く伸長する。



種同定は尹民(2017年/私信)。

形態記述、検索体系とグルーピングは青山(2014年)試案。

*は「中国植物志(2019版)」に於ける上位分類群。









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中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) 2

2024-05-22 08:23:37 | 雑記 報告


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) 2



1花冠は開く

1-1上唇は嘴型

1-1-1下唇は左右非対称【GroupⅠ】

〖1〗Pedicularis mussotii var. lophocentra 谬氏马先蒿刺冠变种


根叶群 Grex Rhizophyllum 拟根叶亚群 Subgrex Rhizophylliastrum 玫瑰系 Ser. Roseae Maxim.










四川省巴朗山(四姑娘山南面)alt.4600m付近. Jul.31,2010

一株に10本前後の茎が束生、高さ5㎝ほどの茎の頂部に、径3㎝程の大きな花が単生する。葉は羽状深裂し、重鋸歯となり、細毛を密生する。花筒部は生じず、茎頂に幅広く折りたたまれ上縁に緑色の葉状裂片を備えた萼片の上に直接花冠が開く。花は特異で、左右不対象、下唇の向かって右側の側裂片は下方へ移動し、幅広い本来の中央裂片の様相を呈し、本来の中央裂片は左の側裂片の位置に、左側裂片は上方にそれぞれ移動する。上方から右側に移動した嘴状上唇upper lipは、強く折れ曲がって細長く左方に伸び、先端は不均等に2分して鋭く尖る。

注:1枚目と2枚目の写真は、同じ日の数十分違いの撮影。日が陰るとリンドウ科の花だけが花冠を閉じる。



1-1-2下唇は左右対称

1-1-2-1花冠は壺状 【GroupⅡ】

1-1-2-1-1花筒は細長い

〖2〗Pedicularis willsonii 魏氏马先蒿

*根叶群 Grex Rhizophyllum 拟根叶亚群 Subgrex Rhizophylliastrum 魏氏系 Ser. Wilsoniae






四川省ミニャコンカ(氷河末端部)alt.3100m付近. Jul.2,2009

前種同様、一株に10本前後の茎が束生、葉は羽状に深裂し、先端が丸みを帯びた重鋸歯となる。萼片は花筒の基部に生じ、合着した平滑な筒状で、上縁から葉と同じ形の一対の鱗片が派出する。花冠は長さ2~3㎝、横向きに咲き、花弁の左右側裂片は基部で強く内側に折りたたまれ、両側片の後方に中央裂片が重なる。嘴状上唇は花冠の基部から後方に向かって伸びた後、強く折れ曲がって内側に向かう。先半は細く鋭く尖る。



1-1-2-1-2花筒は短い

〖3〗Pedicularis elwesii subsp.elwesii 哀氏马先蒿

*根叶群 Grex Rhizophyllum 拟根叶亚群 Subgrex Rhizophylliastrum 假大花系 Ser. Pseudomacranthae








雲南省白馬雪山alt. 4200m付近. Jun.14,2009

Pedicularis willsoniiに似るが、willsoniは萼筒部から花茎状の花筒が長く伸び、elwesiiは細長い花筒部を欠き、萼筒部のすぐ上に花冠が生じるという、顕著な違いがある。葉の色や小葉の切れ込み程度などにも差異がある






Pedicularis willsoniiとPedicularis elwesiiのスケール



種同定は尹民(2017年/私信)。

検索とグルーピングは青山(2014年)試案。

*は「中国植物志(2019版)」に於ける分類群。








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中国大陸(附:日本列島)のハマウツボ科(シオガマギク属を中心に) ①

2024-05-21 21:10:57 | 雑記 報告


Orobanchaceae (mainly Pedicularis) from China (and Japan) ①



2015年に作成・刊行(自費出版)した、『Wild Plants of CHINA 中国的野生植物 Orobanchaceaeハマウツボ科(シオガマギク属Pedicularisを中心に)』を再編紹介していきます。



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表紙写真:Pedicularis mussotii






扉写真;Pedicularis przewalskii



シオガマギク属は、APG分類が組まれる以前は、ゴマノハグサ科に分類されていた。

分子生物学的な手法によるAPG分類では、シソ科・スイカズラ科・クマツヅラ科など、シソ目の大規模な再編成が成され、その結果、シオガマギク属は、従来のゴマノハグサ科から腐肉植物から成るハマウツボ科に移行された。

このことは、APG分類に頼らなくても、すでに予測されていた結果であった。寄生または半寄生植物であること、花をはじめとした植物体の大部分の構造の共通性から、両者を統合しようという考えは多くの研究者が持っていたのだが、分類に於いて最も重視されるべき、子房の基本構造に顕著な差があることから、実行するには至らなかったのである。

その形質の相違を、本質的なものと捉えるか、2次的に発生した例外的現象として捉えるかで、結論は違ってくるのである。分類学の常識に沿った、安全策を採ったわけである。

APG分類のお墨付きを得て、目出度く両者は合体され、以前のハマウツボ科の数属(ハマウツボ属のほか、オニク属、ナンバンギセル属など)と、シオガマ属、および近縁のコシオガマ属・ママコナ属・コゴメグサ属・ヒキヨモギ属など、全て半寄生~寄生からなる、新たなハマウツボ科が出現した。

旧ハマウツボ科のメンバーはもとより、新たに加わった大部分の属も、僅かな種から成る小属である。100種を超す種を擁するのは、コゴメグサ属と新大陸のCastilleja属。そして、科全体の約半数の種を占める最大の属が、シオガマギク属で、ユーラシア大陸温帯域から北米大陸にかけ約600種が知られている。そのうち中国産は約350種、100以上の節(series)に整理される。

筆者は、これまでに100種前後を撮影し、手元に約60種(90地域群)が存在、これに、コシオガマ属、ママコナ属(おそらく誤認)、コゴメグサ属、ハマウツボ属の各1種を併せて紹介する。

原典では、種名の決定は将来の課題とし*、暫定的な独自の仮分類に従って、属名の後に数字を記して「種」の名称に代えた。また、種名数字の後に、該当の種に含まれると思う地域ごとの集団を、[ ]内に数字(と地域名)で記した。

上唇の形状が、細い「嘴型」で、途中でねじ曲がりながら針状に突出する種と、上下に幅広く、左右にやや扁平な「舟型」になる種に、大きく2分し、前者は、一見花茎に見える著しく細長い花筒を地上付近から直接叢生する矮小種と、草丈が高く、花序に複数の花をつける種に分けて並べた。

この仮分類が、系統的な自然分類を反映しているか否かは不明である。しかし、大まかなグルーピングの目安にはなるだろうと思っている。

*シオガマギク属の全掲載個体について尹民氏による種同定を添えた(2017年時点での知見)。

**巻末に「中国植物志」によるsection分割と、本書における仮分類の対照リストを示しておく。

***本書原典刊行後に「中国植物志」のチェックと尹民氏による種名同定が為されたが、種番号(一部同一種が複数表示)および解説は原則として原典のまま示しておく。



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本ブログに於いては、(字体などの表示が困難なため)検索表を省略、写真掲載は青山による仮分類の順に並べ、それぞれ「中国植物志」による分類単位との対応を示し、日本産各種を追加紹介した。

種の同定は、尹民氏の私信に従った。改めて氏に連絡を取りたいと思っているが、ヤフーメイルのアカウントのパスワードが(本人確認が出来ずに)凍結されてしまっているため、連絡が取れないでいる。読者の方で尹民氏とコンタクトを取れる方がいらっしゃれば、仲介を願いたい。



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28C 33.19(←APG分類第2版) Orobanchaceae列当科

 シオガマギク属(半寄生)


 ハマウツボ属(全寄生)


 コゴメグサ属(半寄生)


 コシオガマ属(半寄生)




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Pedicularis属を、上唇の形状から、暫定的に2つのグループに大別した。

◆細い管状で、先端が鋭く尖る「嘴型」となる種(写真右:下唇は水平に丸く広がる)。

◆上下に幅広く、左右にやや扁平「舟型」となる種(写真左:この種の場合、下唇は上唇の下方に接着して僅かに認められる)。




【Pedicularis 1~44:「嘴型」の上唇を持つ種】




【Pedicularis 45以下:「舟型」の上唇を持つ種】

検索表 ⇒省略






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一将功成りて万骨枯る

2024-05-20 16:48:44 | 雑記 報告


ユリ科(狭義)がやっと終了し、このあと、ハマウツボ科(メインはシオガマギク属)をはじめようと思っているのですが、、、。

APG分類に拠って、植物界有数のメジャー・ファミリーから、一気に弱小ファミリーに相成った(狭義の)ユリ科とは対照的に、全くの弱小ファミリーだったハマウツボ科は、(旧クマツヅラ科の多くの種との併合によって)メジャー・ファミリーと化してしまいました。中国産シオガマギク属だけでも、ユリ属の10倍ほどの数100種、僕の写真だけでも70~80種あるのです。それをどのように紹介していくか、それを思うと頭が痛い。スタートを、ちょっと躊躇しています。

いずれにせよ、次回からは、生物の話題に限定して紹介していきたい、と考えています。人間社会絡みの話題(「大谷と白鵬」など)は、「社会の窓から」のほうで行っていきたいと考えていますので、そちらへの訪問もよろしくお願いします。

「いい日、朝立ち」 “Good day. Leaving in the early morning to a strange country, far away,,,,,” - 社会の窓から (hatenablog.com)

といって、ブログを管理してくれているコンデンスミルク三世のほうも、いろいろと困難に直面し続けている現状(現在日本各地を放浪中)なので、スムーズに進まないかも知れません。時折、こちらの方に記事を載せることもあるかと思います(今回の記事も重複掲載しておきます)。



↓こちらのほうもよろしくお願いします。

ギリシャでプライベートツアーやゲストハウスをしたりなブログ (ameblo.jp)



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最初に断っておきます。僕は大谷君の大ファンです。毎日、彼の活躍に一喜一憂しています。今年は三冠王のチャンス、それどころか、もしかしたら夢の4割打者、ホームラン80本だって、荒唐無稽とは言えないかも知れない、来年はサイヤングも、、、夢はとめどもなく膨らんでいきます。

その前提で、以下“大谷批判”を展開していきます。

水原一平氏の違法賭博・窃盗事件、大谷君は100%無関係(全面的被害者)、ということになっています。異論をさしはさめば、有無を言わさず人間性を断罪されます(マスク・ワクチンの同調圧力が、そのまま乗り移ってきた感じです)。

日本の、あるいは民主主義・資本主義社会の構造は、自分たちに都合の悪い話は全て「陰謀論」で排除してしまう、と言うところに顕著に表れています。正義の敵は悪ですね。



昨日トップに挙げたニュース、フレッチャー選手であることに、大きな意味があります。エンゼルス時代、たぶん日本人に最も人気があった選手。大谷の友達だから、です。いや正確には、日本人大衆(メディアが介在)により「大谷の親友」と“勝手にされていた”。

しかし、問題の「主語」は、フレッチャーではなく、彼の偶像を作り出した日本人大衆(およびメディア)にあります。



暫く前にレンヒホー選手の話題を書きました。ちなみにその翌日、規定打席数に到達して、突如、打撃成績3位に登場した。しかし日本のメディアは一言も報道しません(結構エンゼルス絡みの話題は出て来るにも関わらず)。

喜んでいたら、翌日また消えてしまった。どうやら試合に出場していないのです。絶好調なのに何で?と思ったのですが、ウイルス感染で10日間故障者リストに入っていたのです。

昨日、10日ぶりに出場。延長13回の投手戦(結果はナオエ)で、ヒーホーも6打数ノーヒットでした。それでも余裕で3割を維持しているので、今は1打席でも多く打席に立つことが最優先事項ですから、十分に意義があったと思います(今日は決勝の三塁打を放ちました、ちなみに大谷君も4年ぶりのさよならヒット)。

大谷がエンゼルスに入団して以来の同僚、ここ数年間では、大谷に次いでコンスタントな成績を残しています。まだ27歳だし、将来の伸び代もあります(内外野守れる左右両打のユータリティプレイヤーなのでエンゼルスはなかなか離さない)。

しかし、彼の話題が日本のマスコミに取り上げられることはほとんどありません。小柄で黒人(ベネズエラ人)で髭もじゃで、いわゆるエリート選手ではない。日本のプロ野球でもそうですが、大リーグに於いても(日本の視点からは)プロは実力、と言うわけではないのです。タレントですね。“空気”によって作り上げられた虚像が、一人歩きしていく。



で、結果として(ドジャースのベッツぐらい圧倒的成績の選手は別とすれば)実績は大したことなくても、いかにも日本の大衆受けする、スマートで甘いマスクのイケメン選手が、勝手に“大谷の親友”として祭り上げられることになります。過剰に持て囃される。

フレッチャー、イグレシアス(白人打者のほう)、、、、、ある意味、水原一平氏も。

そして、その3人が、いずれも今回の違法賭博に絡んでいる、という皮肉。

WBC(僕は、胡散臭さの極致、ひいては大衆を戦争高揚に導くプロパガンダの一種だと思っています、それについては改めて)の準主役たち、正義の味方が一転、池に落ちて叩かれまくって、(山川、一平、フレッチャーと)登場人物がどんどん消されて、継ぎ接ぎだらけの画像になり果てる喜劇。



大谷信者(大多数の日本人大衆)は言います。

>一平もフレッチャーも以前は大谷の友達だったけれど、今は友達ではない。彼らは悪人で、大谷は彼らに騙された100%被害者、全く無関係で、法的にも罪が無い事を証明されている。

>大谷は彼ら悪人たちとは次元が違う世界にいる。悪い友達の誘いなど頭から無視して、野球の事だけにひたすら取り組んでいる、完璧な人格者。

それはそうだと思います。

しかし、だからこそ、言います。

彼の生き方は間違っている。



崇拝信者たちは、少しでも大谷に批判めいたことを言うと、露骨に上から目線で(まるで汚いものにでも対するように)威圧してきます。ストイックに、わき目も振らずに野球道に邁進している、完全無欠な人格者に対して、失礼極まりない、と。

回りが何をしていようが、大谷は無関心、一切関わっていない。

そのこと自体が問題の根源なのですね。

関わっていない(“見て見ぬふり”も含めて)、ということは、果たして称賛すべき事なのでしょうか。

しかも“発端”は、大谷君にあるのです。大谷(という巨額の富を動かすトリックスター)がいなければ、起こらなかった(ここに登場する“悪人”たちもターゲットにされて罠に嵌ることはなかった)。

ごく身近な(世話になりまくっている)回りの人々が、(自己責任ではあっても)様々な形での悪戦苦闘を強いられている。

非合法悪人は、そこを狙ってくるわけですね。

直接大谷君をターゲットに定めるのではなく、彼の近くにいる、立場や意思の弱い人達を誘惑して切り崩そうとする。(実は、大谷本人だって、合法的資本主義社会から直接付け込まれているのですが)。

そして、弱い人達は、まんまと誘惑に乗って切り崩される。自己責任。大谷君はノータッチなので、無関心を通す。



しかし、大谷君自身は全く“法に触れる”悪いことはしていなくても、いやしていないからこそ、結果として彼の存在によって、かき回されている人たちが、身近に大勢生み出されるのです。

自分のやりたいことを貫き通す、他の事には一切無関心、世間通俗とは別次元にある、、、それが本当に高潔な事なのでしょうか。

それを言えば、僕だって全く同じなんですよね(笑)。

酒・煙草・ギャンブル・薬・女遊び・金儲け、、、全く興味なし、ファッションやグルメとかにも無頓着、旅に出ても街の中を出歩くことなど滅多にない。

大谷君は、誰よりも早いボールを投げ、誰よりもバットでボールを遠くにかっ飛ばし、そのことに全力を挙げている(成果を残していることで皆に称賛されている)。

僕は、日本、アジア、ひいては地球に生きる、それぞれの生物の本質と互いの相関を知るために、全力を尽くしている(ほとんど誰も評価してくれませんが)。

どっちが尊くどっちが卑しいということではないと思うのですが、大谷君の行動は、世の中に膨大な経済効果を齎すのですね。それによって社会(大衆)が恩恵を受ける。その次元で「優劣」を考えれば、僕のほうは丸っきり社会に貢献していないので(でも人類の未来には貢献していると信じています)、勝負は明白です。



大谷君の収入1000億に対し、一平氏は、数百・千分の一の収入だと思います。絶妙の通訳、身の回りの世話、対外的な交渉、、、大谷君の“速いボールを投げて遠くにかっ飛ばす”ことと、優るとも劣らない業績だと思うのですけれど、直接的な評価は、天と地の差です。理不尽ではあっても、仕方がない。

大谷君は、自分の道を全力で邁進する、その事だけに集中して、それ以外の事には一切無関心。それが何故“高潔”とされるのでしょうか? 単に(吉井コーチの言うように)“ジャイアン”に過ぎないのではないかと(必ずしもそれが悪い事だとは思わないけれど、褒め称えられることでもない)。



“一将功成りて万骨枯る”



そもそも、契約金の1000億円は、見方に拠れば「はした金」です。世の中、大谷君を巡って、とんでもない巨額な金が動いているのです(のみならず結果として民族意識高揚にも繋がっている)。大谷君が稼いでいるわけではありません、世の中(の空気)が、大谷君に稼がせているのです。そこには巨大な組織が存在します。そしてその組織の裏にいるのは、、、大衆です。

大谷君が、「お金に無頓着」ということに対して、世間は褒め称えます。でも、光の当て方を変えれば、(お金に対して)「無責任極まりない」、と言い換えることもできます。

日々お金に苦労している貧乏人(彼らが貧乏なのは必ずしも努力が足りないわけではないと思います、置かれた環境、稼ぐ手段の選択結果、、、)からすれば、とんでもない浪費、見方に拠れば、気まぐれにお金をばらまいているようにも思えても不思議ではありません。

大衆の“空気”によって“健全”“美徳”と認定されているのに過ぎないのです(“不健全”だと認定された人は切り捨てられる)。



これほどの金と人を、ドロドロの世界に巻き込んでしまっている責任の所在は大谷君にあります(正確には、その半ば虚実の舞台を拵えている資本主義社会と大衆ですが)。

大谷君に気骨があるならば、自ら泥の中に手を突っ込んで、崇拝信者にダメ出しをして欲しい、と望んでいる次第です。







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中国および日本のユリ科(狭義)植物 19 ホトトギス属(タケシマラン亜科ホトトギス連)

2024-05-18 16:30:59 | 雑記 報告



大谷翔平の元同僚フレッチャー 水原一平被告の胴元通じて賭博していたとESPN報道 知人は野球賭博


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高知東生 報道陣の質問に一切答えない水原一平被告に理解「言いたいことも山ほどあったはず」 (msn.com)

短い内容なので、以下そのまま転載しておきます。

俳優の高知東生(59)が16日、自身のX(旧ツイッター)を更新。ロサンゼルスの連邦地裁に出廷した水原一平被告について投稿した。

ドジャース・大谷翔平投手の元通訳だった水原被告は、大谷の口座から約1700万ドル(約26億4400万円)を盗んだとする銀行詐欺などの罪を認め、司法取引に応じた。

水原被告は日本時間15日、カリフォルニア州ロサンゼルスの連邦地裁に出廷したが、集まった報道陣の問いかけには一切応じなかった。

高知は「水原さんの出廷する姿に胸が痛くなった。隠していた色んな嘘がばれて、自分を恥じていると思う」と指摘した。

続けて「衆人環視の中歩くことは消えてなくなりたい気持ちにもなっただろう。言いたいことも山ほどあったはず。でも『わかるよ』とエールを送った人間もいる。それが自助グループの仲間。米国で繋がってくれよな」と投稿した。



水原一平被告の次回出廷が6月4日で決定 形式上の「無罪」から一転…罪を認める答弁に変更の予定 (msn.com)



水原一平被告出廷「Not guilty」形式的に無罪主張 女性判事に「Yes, ma’am」 (msn.com)



一連の動画で、僕の心に刺さるのがあったので、クリックしようとした瞬間、消え去ってしまって二度と現れません。仕方はないので、関連動画をあげておきます。

はっきり言います。この一連の事件の根源に遡れば、悪いのは大谷君です。

むろん、あらゆる点で大谷君に非は有りません。非はないけれど、一平氏にたいする責任があります。その部分が、全く欠落しているのです。



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全然関係ない話。僕は“あのちゃん”押しなのだけれど(メディアに登場してきた初期から注目している)、ここしばらくの情報氾濫度には、少なからずの危惧を覚えています。

草なぎ(やっぱり漢字出て来ん(;´д`))君とかも、ずいぶん前から注目していて、でも最近は必要以上に持ち上げられ過ぎているようにも思えるので、ちょっと心配です。



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これも関係ない話。

僕が中国人を評するとき、いつも言う表現。

>とにかく酷い、何もかもが出鱈目、民度最低、○○虫以下、、、、。

>全てにおいて日本人が(当たり前のことだけれど)桁外れに勝っている。

>ただ一つだけ中国人のほうが優っているとすれば、日本人には感じたことのない(ほんのちっぽけかも知れないけれど)心の温かさ、、、、、。



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白鵬、遡れば日馬富士、、、、。露骨な虐めじゃないですか。なんで皆そう思わないのだろう?

これだけ徹底して罵倒の声を浴びせられても、本人たちは素直に謝罪して(僕からみれば謝罪する必要などないと思うのですが)、一言の言い訳もせず、かつ投げやりにもならずに一から頑張っている。



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遡れば20年ほど前の秋田の事件。

滅多にTVを見ない僕が、たまたまホテルのTVで一連の報道を見たのです。

ショックでした。事件そのものではなく、メディア(報道陣)の余りの醜さが、、、人間、ここまで醜くなれるものだと。

自分の子と近所の子供を殺害した、悪魔の母親。

僕は、このお母さんの気持ちが、痛いほどわかります。

なのに、なんで罵倒の声を浴びせ続けるのか。

なんで寄り添ってあげないのか。

不思議でなりません。

僕が日本人に愛想が尽きたのは、ここからです。



正義と悪。

戦争は無くならないですよ。

そして人類は滅びる。



・・・・・・・・



ユリ科の話

Tricyrtis ホトトギス属 油点草属



やっとユリ科の最終回に漕ぎつけました。

僕の欠点の一つ(あまりに沢山有り過ぎて半ば埋没しているけれど)は、物事が完結する手前で停滞してしまうこと。

これで良いのかな?と振り返ったら、全然不備だらけに思えて、最後の締めが躊躇してしまうのです。せめて最後ぐらいは、新しい情報も取り入れて、意味のあるものにしたい、とか思っていると、だらだらと時が過ぎて、そのまま放り出してしまう結果に相成ります。

今回も、新たな情報(種の同定などにおいて)があるのです。久山敦氏(咲くやこの花館元名誉館長)から御教示頂いた、写真の種(中国広西産と台湾産)の同定。それを記した資料が何故か見つからない。そんなバカな、とHDDを片っ端からチェックしているのですが、出てこない。

いつまで経ってもアップ出来なくなります。仕方がないので、今回は諦めて、以前記した内容をそのまま紹介していきます。

ポジフィルムからスキャンした日本産の写真も付け加えて紹介する予定でいたのだけれど、肝心の(中国産や台湾産に類縁があると考えられる)典型ホトトギスの写真が探し出せない。それでとりあえず見つかった黄花の数種を紹介しておきます。



以下、旧記事からの再編。



ホトトギス属Tricyrtisは、外観的イメージが他の(広義の)ユリ科植物とは著しく異なります。しかし、APG分類によって、狭義のユリ科の一員であることが証明されています。

東アジアに25種前後、その大半が日本列島に分布し、一部の種が、中国大陸や、台湾、ヒマラヤ地方、フィリッピン、朝鮮半島に及びます。

中国本土では、主に東部‐中部‐南部の山岳地帯から幾つかの種が記載されていますが、著者は全体像を把握し得ていません。

日本列島などとの共通種T. macropodaが福建省などの東南部山地に、ヒマラヤ地方などとの共通種のT. maculataが雲南省などの西南部山地に分布するほか、近年になって幾つかの種が、南嶺山地や秦嶺山地などから記録(新種記載)されている由。

広西壮族自治区北部の花坪原始森林の亜熱帯雲霧林(標高1200~1800m付近)に生える写真の集団は、近年記載された中国固有種のひとつT. viridula緑花油点草ではないかと思われますが、日本のホトトギスT. hirtaにも類似し、それと同一種に含まれる可能性もあるようです(「中国植物志」ではヤマホトトギスT. macropodaに併合しています) 。

台湾から3~6種ほどが記録されていますが、著者は詳細を把握していません。ここで紹介する個体は、この写真が撮影されたのと同じ年にTricyrtis formosana.に近縁な新種として記載された Tricyrtis lavenii に相当するものと思われます。





















広西壮族自治区花坪原始森林. alt. 1400m付近. Aug.7,2015










広西壮族自治区花坪原始森林. alt. 1400m付近 Aug.16,2004








台湾関山alt.2700m付近. Sep.9,2002

南部横貫公路の最高点、山肌が特殊岩石に煌めく南部脊梁山脈を貫いた「関山トンネル」の東側入口付近。










台湾合歓山alt.2800m付近. Sep.2,2006






チャボホトトギス T.nana

屋久島辻峠 撮影日付け確認中






タマガワホトトギスT.latifolia

山梨県甲武信岳Jul.31,2003






タマガワホトトギス

撮影場所確認中 Jul.31,2001






タマガワホトトギス(だと思う)

北アルプス白馬鑓温泉 Aug.24,1993




・・・・・・・・・・・



ホトトギス属は、日本を代表する植物です。以前は、ほとんどの種が日本固有種と考えられていましたが、近年になって、台湾や中国大陸からも、新たな種の発見が続いています。日本・東アジアの生物相の成り立ちを考える上に於いて、非常に重要な問題提起が含まれているように思われます。

ホトトギス属同様に、著しく特異な花の構造を持ち、分布が日本列島に集中している属に、ユキノシタ科のチャルメルソウ属があります。屋久島のコチャノメルソウと奄美大島のアマミチャルメルソウの関係、中国産の対応種、北米大陸に隔離分布する姉妹群との関係、等々、興味深いテーマが多々あり、次回シリーズはチャルメルソウ属をと考えていたのですが、資料(写真)が僅かしか集まらなかったため断念しました。

ということで、次回シリーズは、以前にも何度か紹介したシオガマギク属(ハマウツボ科)を予定しています。



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シルビアシジミ その後

2024-05-17 21:01:26 | 雑記 報告


東京滞在中は電車で移動していました。車内に貼りまくっている「無駄な体の毛を抜こう」みたいな脱毛クリニックとかのポスターの、気持ち悪い事ったら、ありゃしません。

ビッグモーターも同じですね。会社の前の余計な植栽を全て排除する。

日本の大衆に蔓延する、無意識的な同調思想の現われに他なりません。みな、ビッグモーターの社長と似たり寄ったりの意識を持っているのです。人間が一番尊い、という過信。



絶滅危惧種(1B類)シルビアシジミは、今年は、僕の部屋から徒歩2分30秒の、公団住宅中庭のミヤコグサ群落に発生しています。そのミヤコグサの駆除を先週の日曜日に行うとの情報を得たので、管理人の若いご夫婦と話し合う機会を持ち、資料をお渡しし、状況を説明しました。

>草刈りは仕方がありません。でも出来れば、せめて一角(1m四方ぐらい)でもミヤコグサを残しておいて貰えないでしょうか?

その僕の申し出に快く応じて下さいました。そして、どうせなら草刈りに一緒に参加して頂いて、残す部分を指示してくださっても良いのではないでしょうか?と言うことだったので、僕もそのつもりでいたのですが、あいにく日曜日は雨で中止。

一昨日、電話がありました。住民の人たちに説明したところ、ダメだ、受け入れられない、全て奇麗に刈り取らなければならない、とのこと。管理人の奥さんは、可哀そうなくらい申し訳なさそうに、自分たちは賛同しているのだけれど、住民の意見は聞かざるを得ません、と謝ってくださいました。

>いいですよ、野生の生き物はしぶといので、いなくなってしまうことはないと思います(どこかに移動する)。ただ、全部刈り取ってのっぺらぼうにしてしまうのは、ちょっと心配だったので、ワンステップとして、ほんのちょっとでも発生地を残しておいて欲しかったのです。たぶん大丈夫(どこかに移って生き延びる)と思うので、心配しないでください。

>ただ、とても残念です、

と一言付け加えておきました(お気持ちは良くわかります、今後も挫けずに調査や撮影を続けてください、と言ってくださったので、個人的にはそれで良しと思っています)。



去年の発生地(団地から20~30mほど離れた公園入口)でも同じことを繰り返してきました(7月上旬)。刈り取りを行っている業者の方にお願いして、産卵真っ最中のミヤコグサだけを刈り残して貰いました。もっとも、秋には再度刈り取りが行われて、丸裸の芝生状になってしまったのだけれど、今年もどこかに移って生き延びているはず、と信じてきました。

シルビアシジミの性質上、個体群を維持していくうえで、ある程度の棲息環境の攪乱が必要なのです。安定した環境ではなく、常に変動が成される空間(そのことはシルビアシジミに限らず、多かれ少なかれ、大多数の野生生物について言えることです)。

人為によって為された植生環境の返還は、蝶などの生物にとってマイナス要因ばかりとは言えません。移り変わることで、結果としてプラスに作用することがあります。ある場合には、人為に拠る圧力に拠って滅びてしまうだろうし、ある場合にはそれが功を奏して繁栄に結びつく。

人間が好適と思われる環境を用意しても(いわゆる保護活動)、ダメなときはダメですね。逆に、徹底開発を行っても、案外生き残ることもあります。

遷移を持続するためには、人為を介入しなければならない(いわゆる「里山」の概念)、というのだけれど、実のところ、それも本当かどうかは分からない。放っておいても(都市近郊などの限定された環境のなかでは)植生は大きく変わらない可能性もあります。

いずれにしても、どの生物も微妙なバランスの上に成り立っているのです。その中でも、シルビアシジミは、究極の微妙なバランス上に立脚している。

それやこれやで、シルビアシジミの実態(発生のメカニズム)を把握することから始めねばなりません(食草ミヤコグサともども)。

具体的には、草刈りが行われ丸裸の芝生状になった際、産み付けられた卵や摂食中の幼虫は生き残れるのか、ミヤコグサは再び復活するのか、それとも花も蝶も全滅してしまうのか。

仮にその空間から全滅したとしても、別の空間に移動することで生き延びる。じゃあ、その空間は何処にあるのか、どのようなタイミングで移り住んでいるのか。それらを実際にチェックしておく必要があります。



そのまえに、ひとつ別の話を挟んでおきます。

いわゆる絶滅危惧種の多くは、郊外の“豊かな植生環境”の地より、意外と町の中などで発生している種が多いのです。人為による圧力を、プラスに作用している傾向があります。たっぷりと好適な環境が保たれていることが、必ずしも生物たちの側にとって好ましい条件であるとは限らず、ギリギリの綱渡りの状況に置かれ続けていることが、むしろ好条件に作用する。

以下、全くの冗談ではありますが。

僕自身においても、あるいは高名な創作者の例(例えば斎藤茂吉の場合について以前このブログでも触れたことがあるはず)に於いても言えることなのですが、時間的、肉体的、精神的、経済的余裕があるときよりも、余裕がなく追い詰められていたような状況(とても創作活動に専念できないような状況下)にある時の方が、案外良い作品を生み出せている。

僕も、いつも思うのです。お金があったら、もっともっと良い成果(写真撮影、研究調査、作品制作)が残せているはずなのに、それを思うと残念で仕方がない、と。でも、経済的な余裕がたっぷりとあったなら、案外今よりもつまらない成果しか残せていないのかも知れません。

結果として、ギリギリの状態であることが、功を奏しているという場合もあると思うのです。



環境の整備とシルビアシジミの消長、という話に戻すと、ギリギリということはどういうことかというと、完璧に人為に制圧されるのではなく、隙間や抜け穴があるということです。

公園も公団住宅も、年に数度の一斉草刈りで、完璧に芝生状態になってしまいます。

正確には“ほぼ”一斉に、“ほぼ”完璧に、です。

空間のずれやタイムラグが伴うのです。

本当は、一斉に完璧に、無駄な空間(雑草やそれに伴う生態系)を排除し、雑草やそれに伴う虫の発生などが恒久的に見られなくなる、完全人間主導の環境造りを求めているのだと思います。

しかし、現実問題としては、それが完遂されることはない。予算と人手の問題です。予算と人手の不足により、どうしてもバラツキが生じてしまう。

そのために、時間的にも空間的にも、パッチ状の環境(常にどこかに刈り残し)が生じて、そのことで“ギリギリ”の条件を継続提供し続ける結果になる。

絶滅危惧種というのは、絶滅に至るわけでも、繁栄に向かうわけでもなく、常に危惧に面していることが“正常な状態”であるという、マゾヒステックな集団なのです。



まあそれが僕の認識なので、少々の外圧(発生地が丸裸の芝生状にされてしまう)があっても、トータルでは、種や個体群の継続に於いては、心配は杞憂である、、、、と言いたい所なのですが、本当に大丈夫?となると、確信は持てません。

彼ら(シルビアシジミやミヤコグサ)のアイデンティティを知ること(系統分類の認識に関わる問題)、実態を知ることに取り組む必要があります。

ミヤコグサ(非常に複雑極まりない)はひとまず置いて、シルビアシジミの実態。

周年経過を把握した上で、それぞれの世代の日齢ごとの終日行動の把握。いつどこで何をしているか、環境や天候の変動との兼ね合い。

そこいらの野良猫ちゃんだって、一日の行動は、他の個体との関わりも含め複雑極まりないと思います。それを把握するのは至難の業です(なんなら人間に当て嵌めても同じ)。

ちっぽけな、それも敏速に飛び回る蝶のこと、卵や幼虫はもっとちっぽけなわけですし、至難度は遥かに高くなってきます。

僕が出来ることは、花で吸蜜、雌雄の求愛、卵を産む、、、等々、個々の局面をチェック・撮影することぐらいです。上記のような観察を継続して行い、全体像を繋ぎ合わせるには、大変な気力労力時間を要します。その前にカメラが無い事にはミクロな対象の記録は出来ません。でも、それらをしなくてはならない。

それで、この間もちょっと書いたと思うのですが、隣接する高等学校のことを頭に浮かべました。たいていの高校には、生物研究クラブとかがあるのではないでしょうか。そこの指導教師や生徒さんたちに協力を求める。

人海戦術で調査が進むことに加えて、生徒の皆さんにも自然に興味を持って貰えるし、僕にとっても地域との繋がりが出来ます、地元にとっても将来の展望の糸口になるかもしれない。良い事ずくめではないですか。



早速、高校を訪れ、若い担当教師と面談しました。今は生物部とかは無いみたいですね。科学部です。生物といっても、単純な野生生物ではなく、(人類の役に立つ)応用生物。まあ、社会がそのような方向に進んでいるので、仕方ありません。

一応趣旨は受け入れて頂きました。協力は吝かではないと。ただ条件があって、高校としては個人(青山)との連帯は出来ない、間に行政が介入しないことには、動くことが出来ません、と。

これも仕方がないですね。ということで詳細は略しますが、昨日丸一日がかりで、市役所の様々な課に相談に赴きました。その結果、どこも見事に冷たくあしらわされて、うちはそんな案件には関われないと、門前払いです。

県のほうに行きなさい、との指示を受けて、県の機関にもちょうど用事があったので、そちらに向かいました。

去年の秋、某氏を通じて、県の飯塚支庁の環境ナントカという部署から、今年一年の地元の啓蒙活動への協力を求められて、承諾しました。

何人もの関係者に引き合わされ、ついては後ほど具体的な活動について連絡をするので、待機しておいてください、とのことで、それなりに準備してスケジュールも空けていたのです。しかし全く音沙汰がない。

それで、その後どのように進展しているのですか?と問い合わせました。すると、最初に引き合わされた時には、こちらが恐縮してしまうほど、不自然なほどに低姿勢だったのが一転、滅茶苦茶居丈高な態度で出てきたのです。そんな話は知らない、全て間に立った某氏に任せている、と。その某氏とは連絡もつかない状況です。で改めて進行状況の確認を問うと、うちは関係ないし、貴方に答える必要はない、の一点張り。

それはともかく、高校の件について問い合わせました。やはり、うちは関われない、の一点張りです。福岡の県本部の環境課とやらに電話連絡して貰ったのですが、そういう懸案には関われないし、貴方と話し合いもするつもりもない、と。



まあ、しょうがないです。

でも、(いろんな意味で)ひたすら情けなくなってきます。








シルビアシジミが発生している、公団住宅隅っこのミヤコグサ群落。






刈り取られたあと。








同上






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中国および日本のユリ科(狭義)植物 18 タケシマラン属(タケシマラン亜科)

2024-05-16 21:34:47 | 雑記 報告



正直、人間社会の中で生きていくことに、ほとほと疲れ果ててしまいました。どこか違う世界に行きたいです
まあ、やることをやってからね。



・・・・・・・・・・・・・



ユリ科の話

Streptopus タケシマラン属 扭柄花属



ユリ科、あと2回です。

狭義のユリ科は、これまでに述べてきた、ユリ亜科(ユリ連とツバメオモト連)のほか、2つのマイナーな亜科で構成されています。北米大陸にのみ繁栄するCalochortus属(約70種)から成る亜科Calochortoideae。タケシマラン連とホトトギス連からなるタケシマラン亜科Streptopoideaeです。


Scoliopus属、Prosartis属(ともに北米大陸)、Streptopusタケシマラン属から成るタケシマラン連も、日本列島を中心に繁栄するホトトギス属単独属から成るホトトギス連(次回紹介)も、“ユリ”のイメージからはかなり遠い植物です。


ホトトギスがユリに比較的近縁ということは、APG分類が確立する前から、それとなく知ってはいました。しかし、ぱっと見は、どう見てもAPG分類で“科”の段階で異なるイヌサフラン科のホウチャクソウ属や、“目”の段階で異なるアスパラガス科のアマドコロ属(ともに以前の分類システムでは同じ「ユリ科」に含まれていた)と同じ仲間にしか見えないタケシマラン属が、狭義のユリ科に属するとは、思ってもみませんでした。


他の多くのユリ科植物に比べ、花は極めて小さく華奢、対照的に色鮮やかな熟果が実ります。


タケシマラン属Streptopusは、ユーラシア大陸~北米大陸に10種が分布。日本にはタケシマランS.streptopoidesとオオバタケシマランS. amplexifolius。前者は周日本海地域からシベリアを経て北米西部、後者は全北区(ヨーロッパ‐アジア‐北米)に分布します。他に北米に固有の1種、中国には(日本産2種を含む)5種。大半の種では花弁が強く外側に巻きますが、中国西南部産の2種は花冠が鐘型です。うち四川省産は花がより小さく(径1㎝弱)、花被弁地色が白で紅色を帯びず、葯が短めであることなどからS.parviflorus小花扭柄花と同定しました。

非常に小さな花ですが、近寄ってよく見れば、なるほどユリに似ています。上記した2パターンの花型は、ツバメオモト/メデオラの場合同様に、花冠がテッポウユリのように受け咲きか、ヤマユリのように反り返るか、の違いですね。


*日本産2種は手許に花の写真が無く果実だけ、逆に中国(ベトナム)産2種は花だけしかありません。写真が見つかるまで、このまま仮アップしておきます。





















Streptopus parviflorus小花扭柄花

四川省ミニャゴンカ海螺溝(氷河下の冷温帯原生林内)alt. 3000m付近. Jul.2,2009








Streptopus simplex 脇花扭柄花

雲南省南部と紅河を隔てたベトナム最高峰ファンシーパン山頂から数100m下った熱帯雨林。Jun.25,2017

花被弁が強く背方に反り返らない2種のうち、四川省西南部~雲南省産S. parviflorusより花がやや大きく(花冠径1㎝以上)、花被弁地色が淡紅色を帯びる傾向があり、葯が長めの、雲南省南部‐インドシナ半島北部‐ヒマラヤ東部に分布する集団を、脇花扭柄花S. simplexとした。

*写真は左右が2分割されて表示しています。






タケシマランStreptopus streptopoides 果実

北アルプス蝶ケ岳 Aug.26,1999






タケシマランStreptopus streptopoides 果実

八ヶ岳美濃戸 Aug.1,1984






オオバタケシマランStreptopus amplexifolius 果実

北アルプス白馬岳 Aug.23,1993






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中国および日本のユリ科(狭義)植物 16 ツバメオモト連Medeoleae

2024-05-15 21:10:37 | 雑記 報告


西日本新聞で紹介してもらった「近所の森と道端の蝶(福岡編)」まだ一冊も購読問い合わせがありません。皮算用の10冊1万円どころか、水道代2420円も支払えない。明日から水道止まってしまうので、ちょっと辛いです。

現時点での残金3024円、水道代を支払うと、残り604円、まあ数日は大丈夫ですが、あと半月は持たないと思います。水道を止めて3000円を確保するか、水道を確保して600円で半月暮らすか、究極の選択ですが、見通しが立たないとなると、前者を選ぶしかありません。


それにしても、齢76歳の老人が途方に暮れていても、誰も見向きもしてくれませんね。大震災が起こると、挙って援助金の寄付を競う日本国民は、身近の困っている人に対しては、誰一人無関心なのです。


せめて一冊ぐらいは売れても良さそうなんですが、、、。同じような内容の本でも、有名出版社から刊行すれば、褒め称えられて、原稿料も100万円単位でゲット。個人で自主刊行した場合は、誰一人購入してくれず、挫けずに販売に努力を注ぐと、詐欺まがいの行為と、罵倒されたりする。


僕自身が苦しむ分には、まあしゃあないか、で済ましても良いのですが、日本人の薄情さを目の当たりにすると、とても哀しくなってきます😢。


・・・・・・・・・・・・・・




一平氏、大谷君の成り行き、今後も徹底して見据えて行きます。一平氏の為にも、大谷君の為にも、そして何よりも日本人の未来にとって、(これで一件落着というわけではなく)今後の展開が重要な意味を持ってきます。

僕はこれまで、香港デモ、コロナ騒動、熱中症問題、、、、大衆の見解(いわゆる正論)とは全く異なるスタンスで問題提起を呈してきました。


それに対して“逆張り”と言ったような捉え方をする人がいます(ほぼ全員?)。逆張り、ヤな言葉ですね。大多数にとっては逆なんでしょうが、結果として逆になっているだけで、しごく真っ当なことを言っているつもりなのです(僕が逆なのではなく向こう全員が逆)。「陰謀論」の解釈などとも繋がってきます。




一平氏事件をアメリカのTV局がドラマ化するとの情報。結構意味があるかも知れません。日本人の無意識同調崇拝集団から離れた、別の視点からこの事件を捉えるきっかけになるかも知れんですし。

大相撲に於ける白鵬と、大谷はどこが違うか。まあ白鵬がモンゴル人、と言う部分に、全てが収斂するのでしょうが。

大谷君は、謂わば“まともな”貴乃花ですね。貴乃花は、内から見た改革を推進しようとした。保守の立場に立っての改革です。(いかなる困難が伴なおうとも)本来のあるべき姿に戻す。良い意味での、典型的日本人。

白鵬は(好き好まざると)外から見た改革。拘りも忖度もなく、間違っていると思われる部分は変える。その際、日本人の心情は度外視します(というか、どだい分かるわけがないですし)。“バンザイ三本締め”とかも、本人は良かれと思ってとった行動です。でも大多数の日本人は、それが気に食わない。

・・・・・・・・・・・・・



ユリ科の話

ツバメオモトとメデオラ(俗称“インドのキュウリ”)



APG分類が成される前から、旧来のユリ科を細分した場合には、ここまで紹介してきた、ユリ、クロユリ、カタクリ、チューリップなど、典型ユリ類が主体になるだろうことが当然視されてきました。

狭義のユリ科には、それら典型以外の少数の(予想外の)種も加わります。このあと紹介するタケシマランやホトトギスです。同じユリ科とはいえ、さすがにそれらは別の亜科に組み入れられています。

しかし、ユリ亜科には、ごくマイナーな予想外(予想していなかったのは僕だけなのかも知れないけれど)の一群が、据え置かれている。そして、大多数の種が所属するユリ連とは別に、もう一つの連Medeoleaeが提唱されているのです。


究極の小さなグループで、北米東部の1属1種Medeola virginianaに、北米中-西部産の3種と東アジア産の2種からなるClintonia属5種を加えた6種が、全メンバーです。



ツバメオモトClintonia udensisは、日本の山好きの方々には、馴染みの花でしょう。本州中部以北の高山や亜高山の中腹の森林林床に、奥ゆかしく咲いています。地味ながら、その佇まいには、存在感があります。

僕も沢山写しているはずなのですが、全てポジフィルム時代の撮影の為、手許に写真がありません(まだスキャンしていない)。それで、何かの雑誌に掲載した写真をコピーして載せておきます。

ツバメオモトは、本州の主に中部以北(関西にはごく一部)と、日本海対岸(ロシア沿海州、東シベリア、朝鮮半島、中国東北部)に分布していますが、手許にもう一枚、四川省北部の黄龍渓谷に於ける撮影品があります。どうやら中国西南部~ヒマラヤ地方に分布するツバメオモト属のもうひとつの種C.alpinaらしいのですが、中国植物志などではこの地域のものはツバメオモトC.udensisそのものとなっていて、日本産との関係は良くわかりません。



北米大陸には、紅花種と黄花種が各1種分布し、もう一種、この連の模式種でもあるMedeola virginianaが加わります。

ミズバショウLysichiton camtschatcense(東アジア)-キイロミズバショウL.americanus(北米西部)-ゴールデン・クラブOrontium aquaticum(北米東部)の関係と、同様のパターン。

東アジアと北米の生物相組み合わせの基本図式どおり、東アジア-北米西部の各種との共通祖先種を持つ、特殊な外観をした遺存的な種が、北米東岸(アパラチア山脈周辺域)に出現するのです。

テネシー州ル・コンテ山の中腹(日本の夏緑広葉樹林そっくりのブナ林の林床)で遭遇、むろん何枚もの写真を撮影しましたが、前回カタクリの項で記した不慮のアクシデントにより写真は消失、(別の著作に貼り付けて)僅かに残っていた写真をスキャンして掲載します。

非常に変わった花ですが、良く見ると確かにユリの花ですね。ツバメオモトが、花被弁がラッパ状に開くテッポウユリ・タイプなら、メデオラは、花被弁が反り返る壺状のオニユリタイプに相当する、ということだと思います。






タカネツバメオモトClintonia alpine

四川省黄龍渓谷 Jun.22,1989






ツバメオモトClintonia udensis

データ確認中






“Indian cucumber”メデオラMedeola virginiana

テネシー州ル・コンテ山 May 18,2005






花の拡大(ピンボケです)。確かに“ユリ”の花です。








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中国および日本のユリ科(狭義)植物 16 アマナAmana edulia、チシマアマナLloydia serotina

2024-05-15 07:46:57 | 雑記 報告


「困っている人を助けたのに…」パワーショベルで公道走行し運転免許取り消し 処分の撤回求めたが最高裁も訴え認めず…それでも男性は「これからも人助けをしていきたい」(MBSニュース)のコメント一覧 - Yahoo!ニュース

概ね、夫々のニュースに対するヤフコメ民の反応は賛否10対1ぐらい(あるいはそれ以上の差)で、どちらかに極端に偏るのが普通です(時に半々で拮抗)。3対1ぐらいが最も正常なのではないか、と以前にも書いたように思います。この例では、それにほぼ当て嵌まります。

似たような例で、

「医療資格を持っていない人間は(いかなる状況でも)医療行為を行ってはならない」

というのもありますね。

上の例では、人の生死に関わるほどの緊急案件ではない、というところが、保守陣営が強く出る所以だと思う。



それはともかく、この問題を突き詰めれば、

ルールは、一体何のためにあるのか、ということに帰着します。

もうひとつ突っ込めば、

ルールとは、一体何なのか? 法とは、一体何なのか?

(結論を先に言っておくと、それらは責任逃れのためにある)

ルールも法も、

人間社会に於いて、絶対に必要な存在です。

それを守る、それに従うことは、絶対条件です。

しかし、

ルールや法が、全ての最上位にあるのではないはず。

あくまで、人間社会がスムーズに進行していくために存在するのです。

“それ自体”が絶対的なもの、というわけではありません。

「絶対に必要なもの」だけれど、「絶対的なもの」ではない。



・・・・・・・・



以下の話は、直接の関連はない(話の置かれた次元が異なる)のですが、

バスに乗ると、

「シートベルト必着」の文字が、座席の前をはじめとした車内のあちこちに貼り付けられています。車内放送でも「必ずシートベルトを着用してください」と何度も繰り返し放送されます。

でも、誰もしていません(僕もしない)。これまで、している人を誰一人見たことがありません。

「必着」の有無を言わせぬ強制と、それをまるっきり無視している乗客のコントラストが、笑えて来ます。そのことに対して、運転手も、乗客も、何とも思っていないのです。皆、大人です。実に平和な、穏やかな光景ではあります



そこに行くと中国のバス、これが日本とは正反対。一人でもシートベルトを着用していない乗客がいると、バスは発車しません。その結果、シートベルトを嫌がる乗客と、着用を強要する運転手の間で、応酬が始まります。時には、運転手と乗客が大声を張り上げて罵倒し合い、戦いが繰り広げられます。「平和」とか「穏やか」とかとは無縁の喧噪のなか、(運転手も乗客も気まずい思いを抱いたまま)やっと発車していくのです。まるで子供の遠足です。



日本の運転手は、中国のように民度が低くはないので、そんなことはしませんね。乗客がシートベルトをしていようがしていまいが、意に介せず、バスを発車させます。乗客と口論など、つまらんことはしないのです。どちらにとっても嫌な思いをするだけですし。

運転手がいちいち注意しなくても、座席の前をはじめあちこちに注意書きがあって、場内放送でも「必着」を繰り返している。乗客に対する責任は果たしているのです。万が一事故に有っても、責任を問われることは有りません。



どういうことか、というと、

万が一事故が起こった時、

全員がシートベルトをしている中国では、怪我人がより少なくて済む可能性がある。

一人もシートベルトをしていない日本では、より多くの怪我人が出る可能性がある。

けれど、日本の場合でも、張り紙と放送で注意を促しているので、シートベルト不着用は乗客の自己責任であり、バス会社に過失は課せられません。

本来、シートベルト着用は、乗客の安全を守るために成されるものです。

そして、中国の場合は(少々双方が嫌な思いをしようと)、『結果として』その(安全を守るという)目的が遂行されます。

日本の場合は、『結果として』遂行されるのは、1にバス会社に於ける責任の回避であって、乗客の安全は2の次なのです。



そう、日本では、「責任の回避」が、全ての事柄の最上位に位置しているのです(正負も、企業も、個人も)。



・・・・・・・・・・・・・



ユリ科の話 アマナ属Amana/チシマアマナ属Lloydia(キバナノアマナ属Gagea)



なんと、アマナAmana edulisの写真が一枚もない。シュンランとかセンボンヤリとかと一緒に、どこかで写しているはずなのですが、、、。

中国杭州の町の真っただ中の雑木林にチュウゴクギフチョウが沢山飛んでいて(1980年代末)、しかし訪花(在来種)植物がほとんどないのですね。帰化植物や栽培植物に吸蜜源を頼るしかありません。あんまり健全な状況じゃない、と思っていたら、数年も経たないうちに姿を見なくなってしまいました(この地域からは絶滅したらしいです)。

遭遇した数少ない在来野生種の一つがアマナ。いや、確かにアマナではあるのだけれど、僕の知識にインプットされているアマナとは明らかに異なります。と言って、(類縁的にかなり離れた)別属のチシマアマナ属の種ではなく、明らかなアマナ(の近縁種)です。

ということで、しばし文献類をチェックしたのですが、該当する種はどこにも見当たらない。後に、ちょうど僕がその花を撮影したのと同じ年に、ほぼ同じ場所で記録された個体を基に、新種Amana kuocangshanicaが記載されていることを知りました。もちろん全くの偶然です。ちなみに華東の浙江省や安徽省では、他にも数種のアマナ属の種が記載されているようですが、詳細については把握していません。

アマナが本州・四国・九州および朝鮮半島と中国大陸の一部地域、ヒロハノアマナA.erythronioidesが本州西半と四国、それに上記の華東地方産の数種でアマナ属を構成していることになります。

この分布パターンは、興味深いですね。いわゆるソハヤキ(襲速紀)分布要素の延長であり、日本の固有植物(あるいはそれに準じる種集団)に屡々見られる特徴的な分布パターンであります。

例えば、キレンゲショウマ。それから、中国華東地域に於ける分布は、在来なのか、日本からの移入なのか、よくわからないところがあるのですが、スギもそれに当て嵌まる可能性があります。同じようなことは、ヤマアジサイについても言えるし、そのほかにも、答えの出ていない「華東地域~日本列島」共通分布種が少なからずあります。

上海を中心に、北に南京、南に杭州を従えた華東地方は、昔も今も最も繁栄の極にある、中国の一大中心地です。日本とは、距離的にも近く、歴史的にも深い繋がりがあります。日本の生物相の成り立ちを考える上に於いて、非常に重要な地域なのです(実質的には天目山系がその中心)。なのに、意外なほど実態が分かっていません。



アマナ属のヒロハアマナと対に命名されているホソバアマナLloydia trifloraは、アマナ属ではなくチシマアマナ属Lloydiaです。両属は同じユリ科ユリ亜科ユリ連に属しますが、血縁的にはさほど近くはありません。

外観は似ていますが、アマナA.edulisとチシマアマナL.serotinaは様々な視点からも対極にある存在です。そのことは、このブログでの写真紹介にも現れています。アマナの写真が無い(見つからない)のに対し、チシマアマナは何枚も紹介している。

春の中間温帯林(いわゆる里山を含む)の林床にひっそりと生えているアマナのような植物は、意外に出会うことが少ない。それに対し、高山帯を含む寒冷地の草原に生えるチシマアマナには、出会うチャンス(頻度)がずっと多いような気がします(それとは別に写真の整理・保管に至るパターンが異なる)。

もうひとつ、キバナノアマナGagea luteaという種があります。キバナノアマナ属Gageaは、以前は狭義のユリ科ではなくネギ科(目段階でも異なるアスパラガス目)に含まれていました。印象的には確かにネギの雰囲気を持っています。しかし、最新のDNA解析に基づく分類では、ユリ科ユリ亜科ユリ連に含まれている。

それはまあ良いのですが、研究者によっては、チシマアマナ属Lloydiaとキバナノアマナ属Gageaが併合されていて(ともに全北区に分布し、それぞれ日本に2/3種)、その関係がよくわからない。

ここでは、中国植物志に沿って、全てを洼瓣花(キバナノアマナ/チシマアマナ)属Lloydiaとして一括しておきます(200種以上、ユリ科の最大勢力です)。

日本産のチシマアマナとホソバアマナが白花、キバナアマナと中国西南部山岳地帯産の複数種(正確な同定が出来ないでいるので暫定的な種名です)が黄花。系統分類に於いて、花色は余り関係ないようです。








括苍山老鸦瓣 Amana kuocangshanica

浙江省杭州市西湖畔 Mar.27,1989














チシマアマナ

北海道大雪山 Jul.6-7,1986








チシマアマナ

北海道大雪山 Jul.8,1993








ホソバアマナ

北海道礼文島 Jun.7,1993






キバナノアマナ(左はカタクリ)

山形県東根市大滝 Apr.21,1985










Lloydia tibetica 西蔵洼瓣花

四川省夹金山 alt.4100m Jul.19,2010






Lloydia tibetica 西蔵洼瓣花(右はケシ科Corydalis属)

四川省夹金山 alt.4100m Jul.19,2010








Lloydia flavonutans 平滑洼瓣花 or Lloydia oxycarpa 尖果洼瓣花

雲南省白馬雪山 Jun.14,2009














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中国および日本のユリ科(狭義)植物 15 カタクリErythronium japonicum

2024-05-14 08:25:39 | 雑記 報告


新聞広告、まだ一冊も注文がありません(むろんブログ経由も無反応)。10冊程度(純利1万円)は、と皮算用していたのですが、悲惨な結果に終わりそうです。

15日に水道が止まります(2420円滞納)。


本人確認不可によるアカウント消失のためほぼ全ての知人と連絡が取れなくなってしまっている中、辛うじて連絡の取れた東京の蝶友2人が購入して頂けそうで、なんとか危機を脱出できるかも知れません。


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去年のシルビアシジミ発生地(7月2日~9月28日)は、僕の部屋から徒歩5~8分の公園入口~池端の歩道脇だったのですが、今年の春は(去年の同時期よりも遥かに多くのミヤコグサが咲いているにも関わらず)シルビアシジミを一頭もチェックできませんでした。


今年は去年と異なり、ミヤコグサはあちこちに咲いています。部屋から徒歩2分半の公団住宅中庭には、カーペットを敷き詰めたように咲いている。こんな開け過ぎた環境にはシルビアはいないだろうとスルーしていたのですが、そこに居ました(雌雄とも)。次の日曜日に住民総出で草刈りを行うようです。1m四方ぐらいを残しておいてもらうことになっています。


草刈り後の、卵、幼虫、蛹は、どのようになっているのか?


成虫は、どのような環境へ、どのようにして移動を行うのか?

そういったチェックを行いたいのですが、個人では限度があります。

そこで、さっきふと思いついたのが、隣接した近畿大学の付属高校。大学の事務所には何度か訪ねたことがあるのですが、高校とはこれまで全くコンタクトを取っていません。もしかすると、生物研究部とかがあるかも知れません。


明日、本が2冊届く予定なので、それをサンプルに持って、生物部(があればですが)担任の先生を訪ねてみよう、と考えています。学校のグランド脇に発生しているクロマダラソテツシジミともども、シルビアシジミの動向を生徒たちに調べさせる、というのはどうでしょうか?地元のメディアでの発信もしやすくなるし、資料やパンフのコピーなどもしてもらえるかも知れません。


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ユリ科の話 

Genus Erythronium 猪牙花 カタクリ属



狭義のユリ科のうち、典型的ユリ類(ユリ亜科ユリ連)は、ざっと2つのグループに分けることが出来ます。ユリやバイモの一群と、チューリップやカタクリの一群です(一応それぞれを亜連としておきます、記載の有無はあとでチェック)。

ヨーロッパや中東などユーラシア大陸の西半部にはユリ属の種は少ないのですが、それに代わって繁栄しているのがチューリップ属Turipaです。アジアでは、天山山脈などウイグル北部に及びますが、極東地域には分布していません。

日本などに分布するアマナ属Amanaが、ユーラシア大陸東半部に於けるチューリップ属の代置群(Turipaに併合する見解も)とされてきましたが、最近のDNA解析によれば、AmanaはTuripaよりも、むしろErythoniumカタクリ属に近い位置に置かれています。

いずれにしろ、Turipa、Amana、Erythoniumの3属は、近い関係にあることは確かで、それぞれ独立の属として並列しておくのが妥当と思われます。ユーラシア大陸の西半部に繁栄するのがTuripa、北米大陸に繁栄し、ユーラシア大陸では東西に跨って少数の種が分布するのがErythonium、東アジアのごく少数種からなるAmana、という図式です。これに全北区に繁栄するGageaキバナアマナ属(Lloydiaチシマアマナ属)を加えたのが、この亜連のメンバーということになります。

日本(と日本海対岸地域)に於いては、カタクリとギフチョウ・ヒメギフチョウが概ねセットになって存在していますが、中国では東北部や北部を除きカタクリの分布を欠くため、ギフチョウ(オナガギフチョウ/チュウゴクギフチョウ)とカタクリの花という「定番」の組み合わせは見られません。

カタクリE.japonicumは、北海道から本州(西部の大半を除き四国の一部と九州中部のごく限られた地域を含む)にかけて比較的普通に見ることができますが、中国大陸にはカタクリと同一種が東北部(黒竜江省など)に産するほか、近縁別種E.sibiricum新疆猪牙花(紅白のツートンカラー)が、天山山脈周辺などに分布するだけです。

ユーラシア大陸全域を見てもカタクリ属の種は少数で、上記2種の他、ヨーロッパにE.dens-canis、ロシアに上記E.sibiricumほか数種(E.slevii, E.sajanense, E.krylovii)が分布するだけです。それら旧大陸産の各種(1種に統合する見解あり)は、カタクリ同様に全て赤花です。

一方、北米大陸には、20種ほどの種が繁栄し、そのほとんどが黄(~白)花です。



黄色いカタクリには、思い入れがあります。

もう30年ほど前のこと、北海道北部の歌登町(現在では合併のため町名廃止)に滞在中、たまたま目にした地元の新聞に「黄色いカタクリ」を見つけた方の話が載っていました。歌登町から、さほど離れていない別の町。

僕が歌登町を訪ねたのは、この地域の幾つかの特殊岩石の山に、それぞれその山にだけしか見られない固有植物(ポロヌプリ山のミヤマノギクなど)が分布していて、それらの花を撮影するためでした。

常識的に考えたならば、日本に「黄色いカタクリ」が自生していることなど、まず有り得ないのだけれど、この地域の特殊性を鑑みれば、頭から無視してしまうわけにもいかないような気もします(ちなみに赤いカタクリの日本での北限がこの地域の少し南方で、次の分布地サハリンまで空白区間がある)。

詳細はうろ覚え(一連の物語を書いた記憶があるので、そのうち探し出します)なのですが、おおよそ次の様な経緯だったと記憶しています。

複数の証言者を訪ねました。庭に植えていたというおばさんは、地元の花売りの人から買ったとのこと。他にも黄色いカタクリの事を知っている人がいる、と聞き、その方も訪ねました。その方のなくなったご主人が、生前に山から採ってきたことがあると。その山(一応ポイントは教えて頂いた)は道もなく、ヒグマの巣窟である由。

何らかの形での北米からの人為である可能性が強いことは確かだとしても、そうとも言い切れない、幾つかのモヤモヤした疑問が残ります。

翌年も、雑誌ビーパルの編集長氏を伴って再訪しましたが、手掛かりは得られず、もちろん見つけることは出来ませんでした。その存在に関しては、未だに謎のままです。



そんなわけで、黄色いカタクリには思い入れがあって、2005年夏、ロッキー山脈のグレーシャー国立公園で野生の黄色いカタクリE.grandiflorum(グレーシャー・リリー)に出会ったときは、それはもう感動しました。もちろん、どっさりと写真を撮ったのですが、後に不慮のアクシデントで、ほぼ全ての写真が消失してしまった(たまたま残っていた2枚を表示)。

むろん、日本のカタクリそのものの写真も、ギフチョウ・ヒメギフチョウ絡みを中心に(比較的最近撮影したデジタル写真も含み)山のようにあるのですが、今回は探し出す手間を省くため、手許にあった古いポジフィルムからのスキャン写真のみを示しておきます(いつか機会があればいろんな写真を紹介していきたいと思っています)。








グレーシャー・リリー

Glacier National Park Jul.31,2005












カタクリ(白花/赤花)

山形県大蔵村肘折川 May 10,1982








カタクリ

新潟県浦佐町 May 4,1986








長野県白馬村









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中国および日本のユリ科(狭義)植物 14  Notholilion ギボウシモドキ 假百合属

2024-05-12 16:08:26 | 雑記 報告


ネコの話題はご法度みたいなので、ここんとこGを上回る嫌われぶり(一平氏といい勝負だ!)のカメムシちゃんの話題。相変わらずボロカスに言われていますね。でも、100人に一人ぐらいは擁護者もいます。



pla****さん

>半世紀も生きて来てカメムシが臭いと思った事がない!手でつまんで外に逃してる。おかしいのは、他の人はカメムシを見つけた時にだけ臭いと言うが、気が付かないで近くにカメムシがいるのに臭いと言わない!何度もその様な場面に出くわしたけど、カメムシが臭いなら近くにカメムシがいる時点で臭いと言うはずでは?

【共感した 2/そうは思わない27】



bil****さん

>テーブル掃除機でそっと吸引してあげ、外で解放してあげる。殺虫剤も高くなったし、むやみに殺生すると地獄に落ちるので ひかえたい。

【共感した0/そうは思わない25】



・・・・・・・・・・・・・・・



精神的な病気(医療)というのを、僕は原則信じていないのです。むろん病理的に“異常”を説明できる(ただし正常/異常の認識は別問題として)症状もあるのだろうけれど、大半は観念的に植え付けられた“症状”に過ぎないと思っています。“依存症”なんて、その典型。人類、全て何らかの依存症(ただし誰も気が付かない)なわけで、

それを恣意的に拵えた枠組の中で捉える(異常)か、外側にほったらかしにしておくか(日常と解釈)に過ぎないと思います。



でもまあ、明らかに精神の?病気ではないか、と思われる例もあります。その一つが“過食症”。僕は、典型的な過食症患者だと思っています。半額弁当に出会ったら、安くて美味しそうなので2つ買う。今夜と明日の食事。しかし、まず間違いなく一度に食っちゃいますね。幾らお金に困っていても、あるいはお腹がいっぱいであっても、目の前に食べ物があると、ついつい無くなるまで全部食べてしまう。何度反省しても、同じ失敗を繰り返す。いや、食べるものが無くても、それはそれで平気なのです。あると食べてしまう。これは病気なのだと認識しています。

しかし、例外もあります。冷蔵庫に入れておく。あるいは目に付かないどこかの物の影に隠しておく。すると、100発100中、存在を忘れてしまうのです。そして、日にちが経ち過ぎて廃棄という破目に(実はなんでこんなことを書き始めたかというと、たった今、その事態に遭遇)。

痴呆症、ではないのですよ。若い頃からずっと同じことを繰り返してきました(「若年性痴呆」と言われればそれまでですが)。



それにしても、若者は年寄りをすぐに痴呆症と決めつけてしまう。これは大変な差別、ハラスメントではないのでしょうか?

もっと問題にされて然るべき、と思うのですが。



・・・・・・・・・・・・



ユリ科の話 假百合Notholilion属 假百合N.bulbiferum



ユリ科ユリ亜科ユリ連ユリ亜連には、ユリ属、バイモ属、ウバユリ属のほか、もう一つNotholilion属があります。外観のイメージ(上記4属の中では最もユリらしくない)から、僕は“ギボウシモドキ”と仮称しています。

草丈1メートル前後、多数の花が太い茎に総状に咲くことはウバユリ属と共通。ただし個々の花は前後に短く、花冠が大きく開きます。また、樹林周辺ではなく、高山草原(やや湿性)に生育します。

旧ノモカリス属(ユリ属Saluenense-clade)同様、東アジア(ヒマラヤ~中国西部)の高山に少数の種が分布。中国西南部(四川・雲南とその周辺地域)に、N.macrophyllum大叶假百合(草丈が低く花被片先端は緑を帯びない)、N.ccampanulatum钟花假百合(通常紅花)、およびN.bulbiferumm 假百合(花被片先端が緑色)の3種。ヒマラヤ地方(ネパール、カシミール、アフガンなど)にN.thmsonianum。そして中東周辺(イラン、イラク、トルコなど)にN.koeiei(紅花種)。

























四川省塔公-八美 alt.4200m付近 Jul.24,2010














雲南省香格里拉近郊 alt.3500m付近 Jul.29,2015





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