陸に上がったカッパの海無し県生活

潜りから漁師へ。身体を壊し船を下りた。
海の話、釣りの話。脳脊髄液減少症。

リメイク その二

2009-03-29 20:23:46 | 渓流タモ
「昔作って、今は使っていない良いタモがあるからあげるよ」と、
僕がタモ作りをしていることを知った人から、ごく最近頂いた物です。
現品は、網付き、塗装もしてあった状態でした。

手に取った時には、「う~ん?そのまま使うにはちょっと」というのが正直な感想です。
枠がかなり歪な状態で丸めてあり、柄の頭と尻部分に何本かのひび割れがあります。
「ひびが入るのは仕方無いんだよ」
どうやら、ひび割れ防止の措置を知らなかったようです。
そして柄尻には、尻手ロープを通す為の穴を開け、金属のハトメを打ち付けてありました。
ハトメは歪み、穴も反対側を持ち上げるように中途半端に貫通しています。
木肌にも、ナイフの刃を当てた痕、ヤスリ掛けした目がかなり残っています。
貰う立場ですから、勿論文句は言えません。要らないとも言えません。
ですが、何も言わずにここでこんな事を書いていたのでは、
それは貰った相手にも申し訳が立ちません。
そこで、その場で正直な感想を述べ、「塗装を掛け直します。そして新しく蘇らせます」
と言って、ありがたく頂くこととなりました。
ですから、見事蘇らせられた暁には、真っ先に元の持ち主に見てもらいます。
と、ここまで欠点ばかりを並べてしまいましたが、素材(カヤの木)はバッチリです。
削り出しも枠の接合も綺麗に仕上がっています。(好みから言えば、綺麗に削り過ぎですが)
柄の太さ、枠の太さも径も申し分ありません。

何とか綺麗に仕上げねばと、まずはセッセと塗装を落とします。
薄い塗装が幸いして、ペーパー掛けだけで木肌は良い状態になりました。
そして枠の修正に入りますが、かなり古いので完全に油分も水分もありません。
ヤカンからの蒸気で軟らかくしても、強い力を加えるとパキンと逝ってしまいそうです。
あまり無理はせずに、直せる範囲だけに留めておきました。
若干の角度も付け、枠の修正完了。
真ん丸にはなりませんが、結構いい感じ。
柄尻のハトメは、無理に外すと木肌をめくってしまうので、
木肌より引っ込んだ状態まで削り落とし、木工パテと砥の粉を使い埋めました。
そしてこの部分だけ、黒のカシューで仕上げます。
柄尻を切り落として鹿角を付けようかとも思ったのですが、
できれば切ったり落としたりといったことは行わずに元の持ち主に見せたいと思い、
原型を残すことにしました。
ひび割れ部分も、木工ボンドと砥の粉で、かなり目立たなくすることができました。
カシューの透でも、塗りを繰り返せば分からなくなりそうです。
と、そこまでが現在までに進行した作業です。

ここまで来て、完成したときのことを考えると、結構楽しくなってきました。
大物用に、頑丈で綺麗なタモが出来そうですから。
完成したら、かなりの出番で活躍してくれるでしょう。
まあ、その裏には、全てを自分で作った作品は、
惜しくてガンガン使い倒せないといった事情もあるのですが。
だからと言って、このタモが傷付いていってもどうでもいいやって訳ではありませんよ勿論。
お気に入りの一本に入ることは間違いありませんから。

そういうことで、塗装が進行中のタモとリメイク中の2本と、
現在3本のタモが手に掛かっていることになります。