日々是チナヲチ。
素人による中国観察。web上で集めたニュースに出鱈目な解釈を加えます。「中国は、ちょっとオシャレな北朝鮮 」(・∀・)





 李登輝氏訪日のニュース、これは日中関係への影響はもちろん、胡錦涛政権にとっては「靖国参拝」を超えるインパクトを伴うものですから、こまめに動きを追っていくことにします。……有り体は久しぶりにまとまった中国語を書いたので(とはいえ2000字足らずですが)、ボーッとしてしまって下層幹部の汚職問題に入っていけないだけなんですけど(もちろん眠いというのもあります)。

 ――――

 さて、日本が「李登輝カード」を切って中共がすぐそれに反発したのが初日(16日)の展開でしたが、二日目である17日は大きな動きもないまま終わりました。……と、動きがないことが異様なんです。「評論員文章」(署名論評)のひとつでも出てくるかと期待していたのですが、案に相違して1本もありません。どうも中共は、本当に虚を突かれたようですね。

 17日は「新華網」に2004年の日中関係を振り返る特集と同様の主題を持つ論評1本、それに中国人は日本をどうみているかという調査結果を織り込んだ記事1本が掲載されました。

 ●特集「2004中日関係――責任は日本にある」
 http://news.xinhuanet.com/comments/2004-12/17/content_2337575.htm

 ●2005年は中日関係の剣が峰
 http://news.xinhuanet.com/world/2004-12/17/content_2346613.htm

 ●中国人はいったい日本をどうみているのか
 http://news.xinhuanet.com/world/2004-12/17/content_2347304.htm

 やや滑稽なのは、「李登輝カード」がこの年末になって出てきたために、どの文章にも十分にこの重大事件を織り込むことができなかったということです。
 まず特集以外の記事2本ですが、これは数日以上前に書き上げられた記事らしく、「李登輝訪日」のニュースには全くふれていません。

 ――――

 特集記事は……これが本当にプロの作品かと疑わせるような稚拙なリード(前書き)と素人くさいレイアウトで、江沢民チルドレンの反日信者、つまり糞青まがいの若手記者が任せれて嬉々として取り組んだ様子が目に浮かぶかのようです。久しぶりに電波ゆんゆん、解き放たれた糞青がこれまでの鬱積を一時に晴らしているような雰囲気なので私はリードだけ読んで敬遠しました。

 たぶん締め切り直前になって「李登輝訪日」のニュースが飛び込んできたのでしょう、レイアウトを大きくいじることもできないまま、ページの最下部に無理矢理空間をひねり出して極小フォント2行でこの事件を伝えています。

 いやしくも国営通信社の公式サイトの特集記事としては全体的に幼稚さを感じさせる出来映えですが、民度が民度ですし、馬鹿は馬鹿なりに一生懸命やったのでしょう。それがプロの仕事に値するかどうかは別ですが、中共の基準に照らせば合格なのでしょうから、まあいいでしょう。

 ――――

 ちょっと気になるのは、この最近にない禍々しい特集記事が、「李登輝カード」の出る前から手がけられていたということです。

 ●2度にわたる日中首脳会談(中国側にとっては満足できない内容だったと思います)
 ●軍部の気になる動き(※1)
 ●唐突な江沢民賛美(※2)

 上記3点については最近当ブログでも触れていますが、あるいは「騒がず脅さず」で黙って見守っていた台湾の選挙で、緑陣営(独立志向派)が負けはしたものの大敗しなかったことも加えていいかも知れません。

 いずれにせよ、基地外じみた「新華網」の特集記事が本格的な反日キャンペーンの嚆矢となるとは思いませんが、胡錦涛政権の従来の対日路線からすれば、かなりズレた内容であるように思うのです。

 中共にとっては「突発」した李登輝氏の一件と無関係にこの特集が作られていたのは、軍部を含めた党内に胡錦涛政権の対日路線に非を鳴らす勢力の存在を思わせます。考え過ぎでしょうか?

 ――――

 軍部の動向、というほどではありませんが、機関紙である『解放軍報』は新華社から出た記事を間髪入れずに転載しています。今回の事件に重大な関心を持っている、ということを暗示するのかも知れませんが、これも考え過ぎかも知れません。

 ときに党中央の動きの先触れとなる香港の親中紙『香港文淮報』は17日付の社説で今回の事件を取り上げています。

 ●李登輝の訪日許可は中国への挑発だ
 http://hk.news.yahoo.com/041216/199/17psy.html

 特筆すべき内容があるという訳ではありませんが、

「近年来、首相や閣僚の靖国神社参拝、釣魚島(尖閣諸島)侵犯、また『東シナ海資源紛争』を仕掛けてきたこと、『防衛白書』で『中国脅威論』をでっち上げたこと、台湾問題への干渉、それに対中ODA打ち切りを公の場で持ち出したことなど、日本政府の中国人民に対する非友好的態度は次第にエスカレートしてきている」

 というくだりは、上の禍々しい特集記事(責任は日本にある)と暗合しているようでもあります。これだけの材料ではまだわかりませんが、胡錦涛政権の対日方針に修正が加えられた可能性があるかも知れない、とは言えるでしょう。今回の「李登輝訪日」事件(といっても中共が勝手に事件扱いして騒いでいるだけなんですよね)に関する明確な意思表示が出れば、その辺もかなりはっきりするだろうとは思います。

 なお、『解放軍報』については新設の「棲息地その3」(※3)で多少ふれています。ただし中国語です。しかも稚拙。文字通りのお目汚しで相すみません。


 ――――


 【※1】当ブログ「やっぱりまだまだ江沢民?」(2004/12/13)
 【※2】当ブログ「靖国参拝さえ止めれば……て言ってたのは誰?」(2004/12/17)
 【※3】http://www.bloghk.com/blog.php?id=180064。ええ、かなりトゲのある内容の……と以前書いたアレです。面倒くさいのでバラします。中国語を自由に書く場所が欲しかったので確保してみた次第(実弾演習場のようなものです)。昔の名前で出ています。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« 靖国参拝さえ... 悪魔の錬金術 »