一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ゆびきりげんまん

2005-06-12 | あきなひ
♪指きりげんまん、うそついたら針千本飲ます♪

の話をしようとして、ふと、この「針千本」は
魚の「ハリセンボン」

のことじゃないよなぁ、とちょっと心配になってしまいました。


そこで調べてみると、そもそも「指きり」は、昔の遊女が、好きな男に指を切ったり、髪を切ったり、入れ墨を彫ったりして愛情の証を立てるところから来ているようです。

そして「げんまん」は「拳万」で、約束を破ったときは拳で一万回たたくぞ、ということ。
(「バカバカバカバカ!」とかいって拳で叩くイメージでしょうか・・・?)

「針千本」は「拳万」と対句(「鶴は千年、亀は万年」のように)になっているんですね。


で、やっと本題

※このあと、小難しい話がちょっと続くので、面倒な方は****の間を飛ばして読んでください

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最近の「訴えてやる!」系のTV番組にも見られるように、最近はちょっと何かあるとすぐ「損害賠償請求するぞ」という人(会社)が多くなりました。

それも理屈があればいいんだけど、とにかく何か約束違反や(ひどいものだと)自分の思っていたように物事が運ばないだけですぐ「損害賠償」ということになります。

それが契約にも反映して、「なんでもかんでも一切合財損害賠償請求するぞ」というような文言を入れたがる人も多くなってます。

ただ、こういう契約は実は有利でも何でもないことが多いです。

裁判になった場合、契約違反と損害の因果関係や損害額を立証するのは訴える側であるのが原則なので、不愉快だからといって自分の考えた金額満額を裁判所がみ認めてくれることはありません。
周到に条項を書けば、立証責任を相手に転嫁したり賠償の範囲を拡大することもできますが、あまりガチガチの条項では相手がウンと言いません。

しかし担当者(または上司)の情感処理のために、実効性のない契約条項を入れることがたまに起きます(こういうときは相手の事情とはいえちょっと哀しくなりますね)。


では、こちらが契約違反されると困る側のときはどうするか、というと、「損害賠償額の予定」というのを使うことがあります。
これは、民法420条に「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。 」とあって、損害賠償額について、あらかじめ双方で合意していれば、損害額の立証は不要になります。

ただ、これも悔しいからといって「1兆円」などと言っても(取引の規模が1兆円クラスならさておき)公序良俗違反として条項自体が無効とされてしまいます。
また、公序良俗違反でなくても相手が明らかに支払えない金額を書いても、相手は「いざとなったら払ったら会社が潰れるのであなたも困るでしょう、と開き直ればいいや」と高をくくられる可能性があります。

結局契約をまじめに守ってもらうのが目的なので、こういう場合は(取引や相手の規模にもよりますが)「5千万円」などと「払えなくはないがイタい金額」を設定するのがポイントです。
これくらいの金額だと、相手も「開き直ったら確実に訴えてくるだろうな」と考えます。

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前振りがとても長くなりましたが、これを

♪指きりげんまんうそついたら針1本飲ます♪作戦

などと言っています(って、言ってるのは僕だけですが)。

「針1本」だと、約束を破ったときに、にっこり笑って「はい、飲んで」と針を差し出されるかもしれない、という現実感がポイントですね。


これは「約束を破ったら〇〇だぞ」という約束事一般に使えます。

「約束を破ったら別れるから!」というのは、2人の関係によっては現実味のない脅しにしかなりません。
また
「約束を破ったらヨーロッパ旅行につれていけ」というのは、相手の財政状況やスケジュールから実現可能性が低いことがあります。
なので
「約束を破ったら△△買え」とか「約束破ったら□□でご馳走しろ」とかの、それも数万円程度(相手の財政状況によってはそれ以上でも)のペナルティが一番実効性があります。


これは皆さん、既に経験からご存知の事と思います。


なので、「指きりげんまん」をするとき(ほとんどしませんかねw)にも、ちょっと思い出していただければと思います。

※ ただし、子供相手にこんな事を言うと、変なオジサン(オバサン)と思われるだけかもしれませんのでお気をつけ下さい。
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