『マック店長は非管理職』 東京地裁判 決残業代支払い命令
(2008年1月28日 夕刊 東京新聞)
斎藤裁判官は「管理監督者は、経営者と一体的な立場で活動することを要請されてもやむを得ない重要な職務と権限を付与されている立場にある」と指摘。その上で高野さんについて「労務管理の一端を担い、売り上げ計画なども一定の決裁権限を持っているが、権限は店舗内に限られ、企業全体の経営方針などの決定過程に関与している事実は認められない」として、管理監督者には当たらないと判断した。
社長ですら母親の言いなりの船場吉兆まで行かなくともワンマン社長の会社とかイエスマン役員ばかりの会社は世の中に数多くあるので「企業全体の経営方針などの決定過程に関与している」ことが基準だとしたらほとんどの役員・従業員が管理監督者じゃなくなってしまう会社もけっこうあるんじゃないかと思います。
「○○氏が企業全体の経営方針などの決定過程に関与している事実は認められない」
などというフレーズはしばらく流行るかもしれません。
冗談はさておき、たとえば店長と言ってもコンビニの店長のように他の店員とほとんど同じような仕事をしているような人を管理監督者と言わないのは当然だと思います(仕事の実態をよく知らないのです誤解かもしれませんが)。
今回も
高野さんは一九八七年に入社し、九九年の店長昇格後は、月に百時間以上残業しても残業代はつかなかった。就業時間の大半は調理や接客に費やされ、売上金の管理や店員教育などの店長業務もこなした。
というあたり、要するに勤務の大半が調理や接客でその勤務をするしないの裁量の余地がない(好きで接客や調理をしていたり店長業務に手間取って残業していたわけではない)という実態が考慮されたのではないかと思います。
「店長」といっても大半はバイトと同じ仕事をしてるんだから管理監督者じゃないよねということなんでしょう。
上のような総論的基準をあまり強調しすぎると、また形式的に逃れようとする(たとえば独立採算の擬似FC的な建付けにしてしまうとか)企業も出てくると思うので、「実態を見て払うべきは払う」基準というのは真っ当な形だと思います。
肩書きだけで判断してはいけないというのは何につけてもいえることです。
ところで、この種の訴訟で企業側の敗訴が確定して、しかも他に該当者が多数いる場合、業績への影響の適時開示のタイミングって難しそうですね。