一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

選挙運動の規制と選挙について語ることの自由の区別

2005-09-04 | まつりごと

TBいただいた時評親爺さんのところにコメントを書いていて思ったのですが、 blogやインターネットと選挙のかかわりについて

① 選挙運動として候補者や政党がどこまで利用していいか
② 選挙運動と関係のない有権者が発信する選挙に関する意見・情報が規制されるのか
という2つの問題があるように思います。

①については一昨日書いたように、現行法がベースにした選挙運動の規制が、今の時代遅れの運動スタイルを義務づけている部分があります。そもそもこれは改正すべきだと思います。

②について改めて調べてみると、公職選挙法では候補者と関係のない一般の有権者が選挙に関する情報発信をすることはほとんど念頭におかれていないことがわかります。

時評親爺さんのところでは、一般人の発言は「選挙運動に関し」という要件に当たらないんじゃないかという議論がありました。
また、146条には「文書図画の頒布又は掲示につき禁止を免れる行為の制限」 として

「何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として、公職の候補者の・・・、政党・・・を推薦し、支持し若しくは反対する・・・文書図画を頒布し又は掲示することができない。」

という規定がありますが、「第百四十二条又は第百四十三条の禁止を免れる行為として」という要件がある以上、やはりその行為が「選挙運動か」どうかというのが問題になるはずです。

ところが公職選挙法では「選挙運動」という言葉の定義がないんですね。
これじゃ、どうしていいかわかりません。

※しかし逆に、万が一罪に問われたとしても、検察側が「選挙運動に関し」ということの立証責任を負うわけですから、(候補者はさておき)一般人のbolgは大丈夫だと思います。


そのほか、「選挙運動に関し」と限定がなく一般人の行為を規制するものとしては

戸別訪問の禁止(138条)
署名運動の禁止(138条の2)

などがあります。

これらにも「選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて」という要件がついています。

これは「投票のお願い」というやつを禁止するのでしょうが、友人に会いに行くついでに選挙の話をする場合は主たる「目的」が何かで判断されるのでしょうか。
現在でも戸別訪問まがいのことをやっている某組織政党もあるようですが、やはり「目的」が違うという理屈なんでしょうか。

※また、戸別訪問はダメでも電話はいいみたいで、我が家にも何回かかかってきたことがあります。だったらメールやチャットはいいのだろうか、という議論もありますが・・・



結局、現行の公職選挙法は「選挙について他人に自説を語るようなのは、候補者に関係してる人間だけに決まっているし、あとはマスコミに任せておけばいい」という認識なり価値観に基づいて作られているように思います。

せっかくこれだけ選挙についての議論が盛り上がってきたのですから、候補者に関係のない有権者の情報発信は原則自由にして、根拠のない誹謗中傷とか、政党からの広告目当てのサイトなど対価をもらっての情報発信などを規制するようにしたらいいと思います。
そもそも選挙についての発言に広く網がかかるとしたならば言論の自由との関係も問題になるんじゃないでしょうか。


ただ、あたりまえなんですけど、法律はそのとき現職の議員が作るので、彼らが従来型の選挙に自分たちの比較優位を認めている場合には抵抗が予想されます。


<その他の公職選挙法関係のエントリ>

選挙制度のおさらい

公職選挙法も規制緩和が必要

マスコミが「選挙劇場」になる制度(これは公職選挙法違反は大丈夫?改め)

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