『ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 』の著者の25年ぶりの続編
今回は動物の形態に焦点をあてている。
何年か前「ウニは何で五角形なんだろう」という話を寿司屋の大将としていたが、有力な仮説自体1976年という新しいものだったことに驚く。
地上でもっとも繁栄している昆虫から、著者の専門のナマコ(上記のウニも棘皮動物門なのでおこぼれに預かってヒトデとともに一章を割かれている)から脊椎動物まで、現在の形態を得るに至った進化の過程を詳しく説明してくれている。
末尾に考えさせられるひとことがある。
恒温動物になって体温を一定に保てるのも、体が大きいおかげである。相対的に表面積が小さいと、乾燥しにくいだけでなく、熱が出入りしにくくなる。そして体が大きいから長い毛をはやして断熱でき、氷河期にも耐えてきた。われわれヒトが脳をもてるのも、体が大きければこそである。陸で成功した二大動物の一方である昆虫は小さいサイズで成功し、もう一方の四肢動物は大きいサイズで成功したのだ。