一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『日本政治の崩壊』またはこの6年間のおさらい

2012-12-16 | 乱読日記

北岡伸一氏の2006年9月から2012年3月までの評論集。
ちょうど安倍内閣から福田→麻生→鳩山→菅→野田内閣までの間にあたります。

選挙に行く前に振り返りをかねてざっと目を通しました。

まえがきでのこの内閣の変遷がいいまとめになってます。

・・・しかし、小泉内閣は真の改革には取り組まなかったように思う。自民党の最も強い基盤である公共事業については、道路特定財源への切込みを一時考えたものの、すぐに断念してしまった。・・・いずれにせよ、小泉は自民党の崩壊過程を推し進めたが、再生にまで至ることはなかった。
 ・・・安倍首相にはリアリズムとイデオロギー的な保守主義が同居していた。また「戦後レジームからの脱却」という大きな目標を掲げながら、これを実施する態勢をもっていなかった。
 ・・・福田は近年まれにみる知性の持ち主だったが、周囲に首相を支える政治家があまりに少なかった。
 (中略)
 こうして2009年9月鳩山由紀夫内閣が成立した。・・・しかし民主党は、国民の高い期待に応えられなかった・・・
 民主党は野党として反対することは知っていても、与党として意見を集約して決定する経験に乏しかった。また、政治主導を標榜して官僚の行動を封じたため、さらに政治を麻痺させてしまった。・・・自民党モデルが崩壊し、いまだ民主党モデルがない状況で、政治は漂流せざるを得なかった。
 ・・・菅は日米同盟の堅持(普天間基地の移設の実現)、財政健全化(消費税増税)という方向をとり、その点で鳩山・小沢との反対の立場となった。しかし、菅の発言は一貫性に欠け、国民の信頼を得られず、民主党は七月の参議院選挙で敗れてしまった。自民党時代の衆参両院のねじれは、今度はまた逆転して続くことになった。
 (中略)
 東日本大震災は、日本の政治の弱点を直撃した。自民党時代から、日本は危機への対応を苦手としていた。首相の周辺に自衛官出身の秘書官がいないことに象徴されるように、非常時を想定しないのが、日本の政治なのである。しかも民主党になって、政治主導のもとで政治と官僚との関係は、きわめて疎遠となっていた。
 (中略)
 八月・・・野田佳彦が代表・首相に選ばれた。ここに、ようやく民主党は日本が抱える大きな課題に前向きに取り組み始めたように感じられる。野田首相はTPP(環太平洋経済連携協定)協議参加を決断し、社会保障と税の一体改革に取り組んでいる。
 (中略)
 野田内閣は野党の協力を得て前進できるだろうか。もしできなければ、既成政治勢力は外部の厳しい批判にさらされるだろう。一つはマーケットの攻撃により、国債が暴落する可能性である。もう一つは、橋下徹大阪市長の率いる「維新の会」などの新しい勢力の急速な台頭である。それは別に日本の終わりを意味するわけではないが、大きな痛みを伴う大変革になるだろう。 

このまえがきは今年の3月に書かれたのものですが、その後消費税法案は成立し、社会保障とTPPはこれから(?)という状態で、今回の総選挙になったわけです。

こんなことを振り返りつつ、投票に。



コメント
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