これ、注目すべき動きだと思います。
秋サケ漁独占漁協に対抗、岩手に「第2漁協」
昨日の朝日新聞の記事ですが、有料版でしか見れないようなので引用します。
秋サケ漁をめぐって「漁協の独占」を批判する岩手県の漁師たちが、既存の漁協とは別に「第2漁協」をつくることになった。このような動きは全国的にも珍しいという。
同県山田町の漁師約20人が、「山田漁民組合」を23日に発足させる。労働組合的な役割も担い、将来的に法人格を取得したい考え。
中心になっている同町船越の橋端辰徳さん(63)は「今回の津波で、地元の漁師たちは船や漁具を失ったが、国の支援で漁協は自分たちの秋サケ用の定置網や設備の修理を優先し、我々小型漁船にはお金は下りてこない」と批判。「個人で何を言っても相手にされないので、団結して改善を訴えていくことにした」と話す。所属する船越湾漁協は辞めないという。
岩手県では、ドル箱の秋サケ漁について一般漁民の刺し網漁を禁止し、漁協にほぼ独占させている。反発する組合員の一部は2300世帯の署名を集め、漁協独占の改善を達増拓也知事に求めたが、事態は解決していない。
「第2漁協」設立について、船越湾漁協幹部は「コメントは差し控える」としている。
先日 「漁業権」 というエントリでちょっと調べたのですが、大型の定置網については「定置漁業権」に分類され、知事が優先順位(地元漁民の属する世帯が多数参加する地元自営漁協、漁民会社(株式会社を含む)が優先度が高い)に従い免許することになっています。
「漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によつて水面を総合的に利用し、もつて漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図ること」を目的とした漁業法(昭和24年)が長年の運用される中で漁民のためでなく漁協という既得権と組織の維持のためになってしまっている、また、そこまでではなくとも少なくとも資金の効率的な配分を妨げているということなのでしょうか。
先のエントリでも現行の漁業法でも法人の参入は禁止されているわけではなく優先順位が低いだけで、要するに県知事の判断によるところが大きい、といいましたが、今回第二漁協という同じ優先順位のプレーヤーが登場したことで、県はその前哨戦といえる判断を迫られることになります。
復興に向けての漁業資源の有効な活用と資金の効率的な配分という見地で判断するのか、それとも既得権にどの程度の配慮をするのか注目したいと思います。
企業が参入すれば必ず上手くいくという保証はなく(現実的にはおいしいところにしか参入しないと思う)、今の漁民たちでより無駄なく儲かる漁業(それは長期的には補助金の減少などにつながるはずです)ができるのであれば、それにこしたことはないわけですから。