ヒ素紛失と勘違い?九大准教授、飛び降り自殺か
研究者の評価が純粋に研究成果だけで判断されるわけではないのは日本に限ったことではないのかもしれないでしょうが、一度マイナス評価がつくと挽回が難しいという日本の現実を反映しているようで気分が滅入るニュース。
九大ヒ素紛失は勘違い? 保管庫内で瓶発見(2011年10月8日 読売新聞)
によると、
九大は6日、約100人分の致死量にあたる15・06グラムのヒ素が入った瓶を紛失したと発表した。しかし、福岡県職員が7日夕に調査に入ったところ、ヒ素であることを示す表記がある瓶を発見。(中略)
准教授は4日、生物環境利用推進センターの実験室にある保管庫を開けた際、あると思っていた茶色のふたの瓶1個がなかったため、紛失したと思い込んだという。実際には瓶のふたの色は白だった。
自分が盗んで外部の犯行にしようというにしてはお粗末なので、おそらくは毒物だけに大事をとって公表したら勘違いだったのだと思います。
確かに格好よくはないですし、劇物・毒物の在庫管理のあり方を見直す必要はあるでしょうが「無くなってなくてよかった」という話だと思います。
また、紛失したと思った直後に安全サイドの選択をして報告するというのは悪いことではないし、報告を受けた大学当局も改めて探してみればよかっただけの話です。
これが自殺まで至ったということは、この「勘違い」が大学内部で激しい非難を浴びたり、今後のキャリアに大きな影響を及ぼす現実があるということでしょう。
理科系のポストは少ないので競争が激しく研究以外の部分でもミスが許されないとか、他の大学に転じるとしても「系列」や「師弟」関係があるので難しいというような事情があったのでしょうか。
その後続報もなく、一過性のニュースとして扱われただけというのも、物悲しい感じがします。
これが次に紛失が起きたときの報告の遅れや隠蔽につながらなければいいのですが。