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一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『ソーシャル・ネットワーク』

2011-02-08 | キネマ

(ネタバレ注意)






Facebook起業の内幕映画としてだけでなく、エリート大学生の青春映画でもあります。


起業が爆発的な成功をおさめるには、タイミングとスピードとそのときに必要な能力を持った人間がきっちりそろうことが必要で、逆にそれらがそろうことがいかに稀なものかが。

あとから振り返ってみれば、最初の1000ドルとその後の活動資金を出した友人のエドゥアルドがいなければ何も始まらなかっただろうし、ナップスターの創業者ショーン・パーカーの口八丁がなければ急拡大もなかったわけですが、結果的に企業が大きくなればなるほど、最後まで乗り損ねたり切り捨てられた人たちとの軋轢も増えることになります。

2つの訴訟の証人尋問のシーンが過去とフラッシュバックしながら描かれますが、「そこまでやる必要があったのか」と「そうしなかったら今があったか」(=訴訟になるほどの成功を収めたか)、どうするのが正解だったのかを考えさせられます。


映画のもう一つの見所が主人公であるFacebook創業者のザッカーバーグの性格の描かれ方。
特に冒頭のガールフレンドとの会話のシーンが秀逸。

頭の回転の速さとプライドとエリート意識とコンプレックスと上昇志向と強迫観念のないまぜになった相手の話を聞かずに何かにせかされるように早口でまくし立てる主人公と、戸惑いながらも会話を成立させようとする(途中で"F*ck"といいかけてFだけで飲み込むあたりとかに育ちのよさが見えます)「アメリカの普通の優秀な大学生」の典型のようなガールフレンドが喧嘩別れに至るまでの長回しで主人公の性格を一気に浮き彫りにします。

米国の大学教員をやっている友人の話によると、イェールやハーバードに入るには、高校まで(極端な話小学校から)オールAでなおかつクラブ活動やボランティアにも取り組む「完全無欠」な生徒なうえに何か一つ突出している必要があるそうで、したがってそういうトップクラスの大学を目指す連中は高校でも成績にむちゃくちゃこだわるそうです。
(その点入試一発勝負の日本の方が楽だとか。)
また、入ったら入ったでエスタブリッシュメントの子女を中心にした学生クラブとか運動部のヒエラルキーや競争もなかなか激しいそうです。

プログラミングの才能はあるものの、家柄がいいわけでもスポーツ万能なわけでもイケメンなわけでもない単なるコンピューターオタクだった主人公の自己アピール・自己実現の方法としてみるとfacebookを起業するのは自然だったのかもしれません。

映画はある意味公平に、最初にfacebookのアイデアを持ちかけたとして主人公を訴えたエリート一族でボート部の花形選手の双子のエリート臭や、共同創業者でこれも主人公を訴えたエドゥアルドの「普通」で殻を破れないところ(ハーバードのクラブへの入会を目指したりFacebookインターンシップに行こうとしたり)なども描いています。



登場人物や物事の展開のいろんなところに感情移入しながら楽しむことができました。


PS
ところで、2つの訴訟はいずれも守秘義務条項つきで和解になったと映画の最後にも触れていましたが、そうなると映画が事実に反すると名誉毀損などで訴えようとしても守秘義務に制約されるので映画側は漁夫の利を得ている面があるのでしょうか。

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『180°SOUTH』

2011-01-31 | キネマ

真南に針路を取ってパタゴニアの大自然をめざそう。でもその最後の楽園でも環境破壊という現代の課題から逃れることはできない、というドキュメンタリー映画。

あらすじ・映画の背景はこういうもの。

趣味で自作していた登山用具の優れた機能が評判になり、サーファーやクライマー仲間を集めて工房を設立したイヴォン・シュイナードは、1968年のある日、友人のダグ・トンプキンスが南米大陸の南端部(参照)パタゴニアの山に登らないかと誘われた。
2週間後には二人は中古のヴァンと16ミリのカメラを手に入れ、サーフボードや登山道具を満載して南米を目指して旅立った。
帰国後二人はそれぞれ「patagonia」と「THE NORTH FACE」という小さな会社を設立することになる。

それから40年後、イヴォンとダグによる旅の記録映像を偶然見て衝撃を受けたアメリカの青年ジェフ・ジョンソンが、自分も彼らの旅を追体験しようとパタゴニアへ旅立った。
(詳細は公式サイト参照)


(以下ネタバレ注意)








映画はジェフ・ジョンソンの旅を追いながら、イヴォンとダグの記録映像や二人へのインタビューを交えて進みます。
そして40年の歳月を埋めるように、パタゴニアでイヴォンとジェフが合流し、山の頂を目指します。
しかし40年の歳月は、パタゴニアの大自然にあっても環境問題が切り離せないという現在も浮き彫りにします。

サーフィンやロッククライミングを楽しむことを人生の中心に置くジェフとその友人たちのライフスタイルと、旅の途中で知り合った人々との交流が前半の中心ですが、後半はパタゴニアの人びとの自然を守ろうという思い、そしてそれぞれの会社が世界を代表するアウトドア用具メーカーになった後70歳を過ぎてもアウトドア生活を楽しみながら環境保護に取り組むイヴォンとダグの生き方が描かれます。 


この手の映画はややもすると企業=環境破壊=悪という紋切り型の図式を強調して、「同好の士」に支持されればいいや、という風になりがちです。その結果逆にそれ以外の人からは「定職を持たずに経済活動もしないで海や山で遊んでばかりの連中が自然保護を叫んでいる」とこれまた紋切り型の批判を受けることになります。

ただこの作品は、イヴォンとダグの間での環境問題に対するスタンスの微妙な違いや、イースター島のモアイ像と環境破壊など企業以前の問題(人間の原罪?)も取り上げられていて、教条的になることを免れています。

何より、旅とアウトドアライフの魅力、そしてイヴォンとダグの人間的魅力が味わえるのがこの映画の醍醐味です。

インタビューでのジェフの言葉

前に進むのが進歩だとしても、前が崖だと気がついたときには、後ろを向いて歩くのも進歩なのではないか。

タイトルはパタゴニアに向けて真南に進路を取れ、とともに、このセリフも象徴しています。


面倒なことを考えないで旅と大自然を楽しみむこともできますし、環境問題だったり人生における仕事の意味やワークライフバランスの意味を考えながら観ることもできる映画です。



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『ヤギと男と男と壁と』

2011-01-13 | キネマ
予告編をアメリカの映画ランキング番組かどこかで見てジョージ・クルーニー, ユアン・マクレガー, ケヴィン・スペイシー(と山羊)というキャスティングだけでも見ようと思ったのですが、TVCMでお笑いタレントが「僕がタイトルをつけました」とかってやっていたので、へそ曲がりとしては見る気をなくしていた映画。


超能力部隊の存在を小耳に挟んだジャーナリスト(ユアン・マクレガー)が、偶然知り合った元隊員とともにイラク戦争で活躍する部隊の謎を暴きに行くという、実在した(らしい)米軍の超能力部隊を題材にしたコメディです。

超能力を持った兵士が「ジェダイの戦士」と言われて、そのジェダイ計画をユアン・マクレガーがフムフムと聞くというなど悪ふざけ炸裂で、ほとんどオヤジギャグのようなセリフまで、登場人物が皆真剣なだけに笑えます(僕の見落とした部分も数多いかと)。

UFO研究伝説のある空軍基地エリア51など、米軍って本当にそういうことをやりそうだ、という印象を背景に、そして「生身の超能力者」を兵士にするとどういうことが起きるかを妙なリアリティをもって描くことで、反戦というよりむしろ軍隊組織への批判になっています。

派手な立ち回りもなく、今ひとつしまらないまま話は進むのですが、ジェダイの人生だってそんなもんさ、という肩の力の抜けたところが味わいの映画でもあります。








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年末年始に観た映画

2011-01-05 | キネマ
『アリス・イン・ワンダーランド』

家のテレビは3D対応じゃないのですが、もともとCGを多用しているのでけっこう奥行き感のある画像でした。
ルイス・キャロルのアリスの後日談という設定なので、登場人物や舞台設定を流用して自由なストーリーにしてます。

大きなテーマはビクトリア朝時代におけるアリスという若い女性の自立の物語です。
冒頭、小さいころのアリスがワンダーランドの夢を見ることを父親に相談するシーンのセリフ

  Have I gone mad?

I'm afraid so. You're entiery bonkers.
But tell you the secret.
All the best people are.

これはティム・バートンの作品に通低している考えでしょう。
でも、「時代と戦う」というのは最初と最後だけで、不思議の国においてのアリスの振る舞いは今風だったりするのもご愛嬌。

ティム・バートンの映画としてははずしはないけども、それほど意外性もない感じでした。(期待しすぎだったか)






『ザ・ウォーカー』

※ネタバレ注意



世界戦争が起き、廃墟と化してしまった土地をデンゼルワシントン扮する主人公が一冊の本を持って西へと歩き続けるが、その本の力をめぐって・・・という話

けっこう早い時点で本が何かはわかってしまって、アメリカ国内向けの映画なんだなぁという感じになってしまいます。
荒廃した世の中に必要なのが、神でも預言者でもなく、その言葉をしたためた「本」だ、というあたりに、ちょっと屈折したものを感じてしまいます。
本がなければ忘れられてしまうような信仰心だとしたら、口伝をベースにしたコーランには勝てないよなぁとか。
結局「本」が残ったとしても解釈(や場合によっては真贋)の争いは起きるだろうし。

それからデンゼル・ワシントンって正義の味方キャラのイメージが確立しちゃっているので、逆にそれが悩みなのかなとふと思いました。

いろんな意味で微妙な映画でした。





『インセプション』

他人の夢に侵入して仮想世界を構築し記憶を刷り込もうとする話。
「夢のまた夢のそのまた夢」と入れ子になっているうえに場面が各階層を行ったり来たりするので、集中して観ることを求められます。
ストーリーは複雑なものの破綻なく展開するし、虚実の皮膜を描くのにSFXが効果的に使われています。
レオナルド・ディカプリオはあまり好きではないのですが、本作ではうまくはまっている感じでした。

あと、渡辺謙はけっこう存在感出してました。英語も必要十分、というか日本人の使う正しい英語(変に媚びて流暢にしゃべろうとしていない)って感じでよかったと思います。






『インビクタス/負けざる者たち』

南アフリカの大統領になったネルソン・マンデラが、あえて白人のスポーツだったラグビーのワールドカップ開催を通じて国民の一体化を図り、代表チームもそれに応えたという実話を基にした映画。
原作を先に読んでいたのですが、原作がかなりの大部で、マンデラが釈放される以前からの時代背景や関係当事者の背景事情を詳細に描いているので、映画という限られた時間の中で平板な感動実話になってしまうかと思ったのですが、政治事情や時代背景を象徴的なエピソードを使いながらうまく織り込んでいます。
さすがクリント・イーストウッド。

マット・デイモンのラグビー・シーンもけっこう様になってましたが、ラグビーよりもサイド・ストーリーの積み上げで感動させる映画になっています。






『プライベート・ライアン』

改めて観ても、完成度の高い映画だと感心しました。
脚本・キャスティング以上に戦闘シーンのリアリティの追求に関しては、この映画が一時代を画したといえるでしょう。
ふんだんな予算を有効に使った好例。






『ワンダとダイヤと優しい奴ら』

『モンティ・パイソン』のスタッフが作ったコメディ映画。
コメディ映画としては今まで見た中でベスト3に入ると思ってます。
TSUTAYAの棚で見かけたので迷わずレンタル。

『モンティ・パイソン』のチームからはジョン・クリーズとマイケル・ペイリンが出演。他にケヴィン・クライン、ジェイミー・リー・カーティスなどが出演。
イギリス人とアメリカ人の極端に戯画化したキャラクターだけでも笑えます。

だまされたと思って一度観てください。




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『THIS IS IT』

2010-12-27 | キネマ
クリスマスの時期にはなんとなく昔が懐かしくなるものです。

マイケル・ジャクソンがソロ活動でメガヒットを連発していた頃ちょうど大学生だった身には、芸能ニュースで「奇行」ばかり報じられていたマイケルが痛ましい限りだったのですが、この映画では、彼は、演出、振り付け、編曲などにもすべてに目を配りながら、自らも50歳という年齢を感じさせないパフォーマンスをするまさに"King of PoP"であることを見事に伝えています。

懐かしいヒット曲の数々、そしてジャクソン・ファイブのメドレーから"I'll be there"のあたりで、涙腺が緩んでしまいました。

途中で気が付いたのですが、曲名紹介のテロップも歌詞も(当然訳詩も)字幕で一切出ないので映像と音楽に集中できます(サブ・メニューではあったのかもしれませんが)。
昔、レコード盤に附属の歌詞を読んで何度も聴いた曲は忘れないものですね。


マイケルはコンサートを待たずに急逝するのですが、50歳と言う年齢を考えたとき、観終わったあと急に素に戻ってビジネスと重ね合わせてしまいました。


たとえて言うならかなり大きくなった会社におけるオーナー社長主導のM&Aなどの一大ディール。

カリスマであり自らもプレイヤーとして優秀であるだけでなく細部まで目が届く社長がいて、社員も社長と仕事ができることを心から喜び、専門家スタッフもも最高のパフォーマンスを提供するためにベストを尽くす、というのであれば理想ですね。

ただ現実は、社長も年齢を重ね社業も拡大すると細部にまで眼が届かなくなり、でも気合だけは十分、かたや創業期には社長にものの言えた幹部や中間管理職がいなくなり社長の言うことが無批判に下まで降りてきて現場が混乱したり、社長お抱えのコンサルと社員の距離感があったり、成功報酬にインセンティブを持った「アドバイザー」がいたりして、社長にはいい情報しかあがらずに判断の間違いを正す機会もないまま「ディールを成立させること」だけが自己目的化することがままあります。

マイケルのコンサートも実際はいろいろ問題はあったんじゃなかったかと思うのですが、それでもやり遂げてしまうのが本当のカリスマなんでしょう。
そしてトップがカリスマにふさわしい能力を持っていなかったときの悲劇がまま起きるというのも現実であります。


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『SR サイタマノラッパー』

2010-12-12 | キネマ
映画も面白かった上に個人的にもツボにはまりました。

埼玉県の田舎町を舞台に、ラッパーを目指す冴えない若者たちの奮闘を描いた青春映画。レコード屋もライブハウスもない田舎町で結成されたヒップホップグループ“SHO-GUNG”の仲間たち。彼らは地元の先輩たちの協力を得て初ライブを実現させようとするが・・・という話。

インディーズ映画として内外の賞をとり、単館上映としても各地で人気を博しただけあって、脚本はきっちり作りこまれています。

良くも悪くもエミネムの"8mile"と構成は通じるところがあり(というかヒット作の文法をオーソドックスに踏んでいる)、さらにそこに90年代のデトロイトでなく2000年代の日本のをうまく表現しています。

ツボにはまったのが舞台になった「埼玉の田舎町」。
映画では埼玉県深谷市がモデルの「フクヤ市」が舞台になっています。
深谷といえば僕の子供のころは「深谷ネギ」ぐらいが有名なだけだったのですが、埼玉といっても群馬に近く、東京への通勤は距離的には厳しいところです(各駅停車の多くが手前の籠原止まりだし)。
埼玉でも「さいたま市」の人は埼玉都民が多いのですが、メンタリティはかなり違うと思います。

母親が深谷のもうちょっと手前の熊谷の出身なのですが(昔話にご興味の方はこちらのエントリ参照)
、熊谷でも「東京に出る」という距離感がありました。大宮の次の新幹線停車駅なので神奈川だと小田原くらいの距離感ですね(もっとも熊谷在住の叔父は40年間東京に通勤してましたが)。
しかも絵的な問題もあるのでしょうが、駅のロケは深谷市でも深谷駅より群馬寄りの岡部駅を使っていて、いい感じでローカル感が出てます。
なので、続編
『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』が群馬が舞台になっているのもわかる感じ。

埼玉県といっても浦和や大宮は開けているので、正確には「北埼玉のラッパー」ですね。


埼玉と群馬の県境は岡部の次の本庄と言う駅なのですが、映画を観て、本庄にいる親戚(遠縁にあたるのですが面倒くさいので以下伯父といいます)を思い出しました。
最初に伯父に会ったのは、僕が小学生のころで、いきなり病院への見舞いでした。
なにしろ地回りのチンピラと喧嘩になって怪我をしたとか。
そんな感じで親戚筋としては困った存在なのですが、商才もあり、仕事も奥さんの家業の食品店を手伝う傍ら脇で小料理屋をやり繁盛させていました。また、芸達者で商工会のカラオケ大会では上位入賞の常連だと自慢してました。
伯父は酒を飲むと東京で一旗あげるという話をしていたのですが、結局東京に進出することはなく、地元でそこそこの成功とそこそこのくすぶりをしながら、今は隠居しています。


映画に話を戻すと、飲食店経営よりはるかにハードルの高いラッパーとしてビッグになろうという若者の話なので当然そんなにうまく話は進まないわけですが、そこの等身大の描き方がいろんなシーンでニヤリとさせられます。
超低予算映画で、セリフなど音がこもって聞き辛い部分はご愛敬でしょう。
役者も素人っぽい演技ですがそれがラストシーンの感動を倍加させています。



エンディングをみて、この映画は池袋のシネマ・ロサがスポンサーになっていたと気がつきました。監督が江古田の日大芸術学部の出身だからかでしょうが、思い入れのある映画館です(シネマ・ロサの思い出はこちら参照)。

そんなこんなでとても楽しめました。


あ、そういう思い入れがなくても面白いですよ。



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『レオニー』

2010-12-02 | キネマ
せこばいさんにコメント欄で教えてもらった『レオニー』を週末観てきました。

彫刻家イサムノグチの母親、レオニー・ギルモアの波乱に富む生涯を描いた映画です。
このブログを始めたあたりからイサム・ノグチに凝りだしていて、機会があれば美術館などを訪れています(たとえばこちら)。

母親のレオニーについてもドウス昌代『イサム・ノグチ―宿命の越境者』で詳しく取り上げられているので、時代背景を考えるとイサムノグチ以上にタフな人生を送った女性として印象に残っていました。

その波乱万丈ぶりは、まったく予備知識なしで映画見ると「作りすぎの話」に思えてしまいそうなので、興味がある方は公式サイトなどをご覧いただくといいかと思います。

俳優陣では、夫の野口米次郎を中村獅童が好演。明治時代の日本人の男でしかもアメリカで一旗上げるようなエゴの強い身勝手な野心家という役が良くも悪くもはまり役です。
レオニー役のエミリー・モーティマーも、レオニーの意志の強さや頑固さ(それも年をとって逆境を経るたびに強くなる)を好演しています。

 
ただ、残念なのが、2時間12分という長尺にかかわらず詰め込みすぎの感があること。
本人が波乱万丈の人生を送ったうえに、イサムノグチの子供時代に関するエピソード、それに当時の時代背景を盛り込んだ結果、筋をたどる方に力が入り、ストーリーにメリハリが欠けてしまったように思います。

あと細かいことを言うと、原田美枝子演じる津田梅子は岩倉使節団に随行して7歳のときに渡米し、米国人の家庭で育ったため英語が母国語同然になってしまって日本語のほうが不自由だったはずなので、ここは日本人顔で英語ネイティブな役者を持ってきたほうが良かったんじゃないでしょうか。



そうはいっても、明治時代にこういう人生を送っていた人々がいたということ自体インパクトのある映画なので、観て損はないと思います。


欲を言えば何回かのシリーズ物のテレビドラマになれば、個々のエピソードももっと深堀りが出来たんじゃないかなと思うので、映画がヒットしてドラマ化のスポンサーが付くことに期待したいと思います。

 





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映画まとめて

2010-11-24 | キネマ
ブルー・レイとDVDを見比べようと何枚か借りてきたものの感想をまとめて。


『プレデターズ』

前作ではエイリアンと戦ってみたりと特殊メイクやCGの使いまわしの感もあるプレデターのシリーズの最新作ですが、今度は地球上の戦士を別の惑星に拉致して戦うという設定。拉致されるほうも地球では捕食者(predator)なのでタイトルは複数形になっています。

ブルーレイだと臨場感が出るかと思って観たのですが、異星人の方のプレデターも何度も見ているうちに慣れてきたのか妙な親近感を覚えるようになってしまい(動きが直立歩行で人間と同じというところもあるのでしょう)、普通の戦闘物映画という感じでした。

次を作るなら相当意表をついた仕掛けをしないと厳しそうです。





『レイヤー・ケーキ』

『ロック・ストック・アンド・トゥー・スモーキング・バレルズ』のスタッフ(監督のガイ・リッチー以外)が作った映画と言うことで観たのですが、ラストシーンになって以前観たことがあることに気がつきました(はたまたdeja vu?)。
まあ、それだけ印象に残らなかったというか、ストーリーは面白いんだけど、すっと流れていってしまう感じの作品です。
登場人物の込み入った関係とどんでん返しの繰り返しなのですが、そこここに死亡フラグが目についてしまうのが残念。






『ゴーン・ベイビー・ゴーン』

ベン・アフレックの初監督作品で多くの賞をとったらしいです。
ベン・アフレックは役者としてはいまいちな印象(与えられた役が薄っぺらいのが多いからか演技の問題かわかりません)があるのですが、監督としては才能があるのかなぁと思って観てみました。

作品は『ミスティック・リバー』と同じ原作者の小説をベースにしていて、現代アメリカ社会の負の部分を上手に描いています。
キャスティングに僕の好きなエド・ハリスとモーガン・フリーマンが出ているので採点は甘くなるのですが、監督の腕よりも原作の選定が良かったんじゃないかという感じもします。

映画としては面白いですよ。

気になったのが、ベン・アフレックは口の大きな女性が好みなのかということ。
今までの共演者もけっこうそうだったような。






『ジュリー&ジュリア』

1949年、外交官の夫の赴任地パリでフランス料理の虜となったアメリカ女性ジュリアは本格的なフランス料理を学ぼうと名門ル・コルドン・ブルーの本職の男ばかりの上級コースで学び、その後家庭で誰でも作れる524のレシピを本にまとめて出版しようとする。
苦労の末出版した本はベストセラーとなり、彼女はテレビの料理番組に出演するなど一躍人気者となった。
それから50年後のニューヨーク。小説家になる夢に破れた29歳のOLジュリーは、人生を変えるためにある無謀な計画を立てる。
それは、365日かけてジュリアが書いた524のレシピに挑戦し、その過程を毎日ブログに綴ることだった・・・。

という実話に基づく映画です。
50年を超えて2人の女性がつながる、という意味をこめたタイトルなのでしょうが、ジュリアを演じるメリル・ストリープが圧巻の存在感を見せます。

特に実際のジュリアは出演したテレビ番組と比較される中で演じるのはかなりのプレッシャーだったと思いますが、身長188センチの長身と甲高い声が特徴の本人を演じるために、身長168cmのメリル・ストリープにあわせたキャスティングをし(それに良く見るとかなり高いヒールの靴をはいています)、メリル・ストリープ自体も、甲高い声だけでなく大柄な人のちょっと大儀そうな動きなど抜群の芸達者さを見せ、「他人に優しく正直だけどマイペースで芯の強い中年女性」を見事なまでに演じ切っています。


面白い映画であるとともに、結果的に現代人の苦労はまだまだ甘い、と思わされます。
(毎日ブログを書いてもいない僕が言うのも生意気ですけどw)




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『シャーロック・ホームズ』

2010-11-16 | キネマ
週末やっとブルーレイを借りてきました。

比較のためにBDとDVDを両方セットで貸し出してくれる作品を選んだのですが、予想外だったのがDVDも相当きれいに映ること。
DVDもフルハイビジョンに変換して出力するという機能があるらしく、ぱっと見ただけではBDと変わらないといっていいくらいです。

これでDVDしか出ていないソフトを借りてきてもがっかりすることはなさそうです。


で、借りてきたのは『シャーロック・ホームズ』
別のDVDで予告編を見ていて、なんだかビクトリア時代のアクション映画になったのね、という印象しか持っていなかったんだけど、予想外に面白かった。

面白かったついでに特典映像の解説も見てしまったんだけど、実はアクティブなシャーロックホームズというのは原作に近いんだそうです。どうも小学生の頃に読んだ記憶から、書斎ワトソン君に指示するだけで難事件を解決する探偵という印象を持ってました。
ほかにも原作に絡んだ登場人物やネタが仕込まれています(僕は少ししか気づかなかったけど)。
シャーロックホームズマニアの人の感想も聞いてみたいものです。

監督はガイ・リッチー。もうかれこれ10年以上前のデビュー作(多分)『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』同様、伏線と謎解きをうまく絡めてテンポを出してます。

そういえばガイ・リッチーは『ロック・・・』のリメイクともいえる『スナッチ』を出して以降、あまり映画でのヒットはなかったようなので、久々のヒット作になったのかもしれません。


最後、続編につなげるられるようにしていたところが、ちょっとあざとかったかなとは思いますが。

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『グリーン・ゾーン』

2010-10-10 | キネマ
イラクのバグダッドで大量破壊兵器の捜索に携わっていた米軍兵士(マット・デイモン)がその裏に隠されていた真実に迫る・・・という話。

アメリカには悪い奴もいるけど、まだまだ正義も行なわれている、という風にまとまっていて、いろんな意味で気配りの行き届いた脚本です。
(イラク人にも配慮してるけど、そこはちょっと不足な感じ)

大量破壊兵器問題は、国が公式に認めるまではハリウッド映画にはしにくかったであろう反面、今となってはテーマとしてちょっと古さを感じます。
新事実発見のドキュメンタリーなら別だったんだろうけど。

そんなこんなで、無難に楽しめるちょっと社会派アクション映画という収まりになっています。

ところで現代の米軍が登場する映画に出てくるハイテク兵器とか諜報技術とかって、どこまでホントなんですかね。「そこまでできるならここで使えよ」というようなつっこみどころは随所にあるので。


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『バイオ・ハザードⅣ』

2010-10-03 | キネマ
『マトリックス』はすごい映画だったんだなぁ。


3D映画を見るならIMAX 3D デジタルがすごい、という話を聞いて、それならいろんなものが飛び出たりドンパチやりそうなのということで『バイオ・ハザードⅣ』を観にいきました。
ただ、IMAXシアターは首都圏では川崎(ラゾーナ川崎、ウチからはこっちの方が近い)と埼玉(菖蒲という東北自動車道の久喜ICのほう)しかないのが難点。

元になったゲームもやったことがなかったので、先週はⅠ~ⅢのDVDを観て一応の予備知識を仕入れてから行きました。(2200円もするので企画物とはいえ楽しまなきゃ損)


(以下ネタばれあり)



ストーリー自体は人間をゾンビにしてしまうウイルスを開発して地上を滅亡させた後地下にもぐった巨大企業にミラ・ジョヴォビッチ扮する主人公アリス(ウイルスを身体に取り込みながらも発症せず超人的能力を持つ)をもって立ち向かう、という話の4話目です。

そもそもこの巨大企業が地上の人類を滅亡させてもなぜ企業として存続しているのかというあたりからつっこみどころは満載なのですが、この映画を観るにはそれは無粋というもの(というのを前作DVD3枚で学習)。

アリスや生き残りの人間たちが閉ざされた状況でゾンビの大群と戦うという設定や、妙な武器を振り回すボスキャラ風の奴とかはゲームとのコラボなのでしょうがそのへんはゲームをやったことがないのでわからず残念。


で、肝心の3Dですが基本CGでしかも予算使いまくりだったであろう『アバター』よりも素直に良し悪しが見えました。


<クローズアップの接写との相性はいまいち?>
主人公が拳銃を持った両手を突き出して敵を探りながら歩くシーンのアップがあるのですが、3Dで拳銃が手前に見えるもののピントが顔の部分にしかあっていなくて、拳銃の部分がぼけてしまっています。
スチールカメラでいえば焦点距離の短いレンズで絞りを絞ればいいと思うのですが映画のカメラだと技術的に難しいのでしょうか。


<FXとの相性はいいが、演出に工夫がないと陳腐化も早い?>
CGを使ったFXはさすがに迫力があるのですが、弾丸が空気を切り裂いて飛んだりそれをかわしたりするところは身のこなしや敵役のキャラも含めて『マトリックス』そっくりで、迫力はあるんだけどちょっと苦笑。
ゾンビも「飛び出る」風に進化してるけど『寄生獣』のパクリっぽいし、3Dを意識しすぎて逆に陳腐になってしまった感じです。(『寄生獣』3Dでやったらかなり怖いと思う)
道具に振り回されるようだと3Dも長続きしないかもしれません。

逆に2Dであのレベルまで達していた『マトリックス』がいかに画期的な映画だったか、改めて感心しました。


3D以外でも、主人公が背中にかついだ日本刀を二本同時に抜くところとか『キル・ビル』じゃねーかとか(これはゲームの武器のアイテムでそういうのがあるのかな?)、冒頭のシーンで中島美嘉が出てくる(製作がソニー・ピクチャーズで、中島美嘉がソニー・ミュージックだから?)とかいろんなお遊びがあって、製作側も承知のうえでお手軽に作った映画なのかもしれません。
でも、もともとゲームを元にしているんだから、荒唐無稽で「ありえねー」を連発させるような映画にすればもっと面白かったのにと思います。


書き忘れましたが、IMAX 3Dはスクリーンが縦方向にも大きく、没入感があってよかったです。『アバター』もこれで観ればよかった。


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機内映画

2010-09-24 | キネマ
今回、時差ボケ対策のために、機中での寝起きをかなり気合を入れてコントロールしたので、映画はありがたかったです。


『特攻野郎Aチーム』(の新作)
これはホノルル-NY便のコンチネンタルで。
機体は767でシートはフルフラットに近くなる(これは成田-ハワイのJALウェイズの747よりいい)わりにビデオがオンデマンドでなくタイトルも表示されないというあたりはサービスのメリハリなんだろう。

わかりにくいメニュー画面をザッピングしながら、字幕がなくて眠くならなそうな奴を選択。
また話がそれますが、「Dr.House」もやっていたのでちょっと見たんだけど、さすがに全然わからなかった。医学用語がわからないのは当然なんだけど、診察のときの患者との症状の確認のやりとりもちんぷんかんぷん。
外国で重い病気や怪我をすると大変だと改めて思った次第。

さて、本題。
サービス精神旺盛な映画で、次回(TVだろうと映画だろうと)につづく、というまとめをしてます。
子供のころTVシリーズを日本で観ていたので、かなりの長寿に驚き。メンバーの設定がわかりやすくていいんでしょう。
あと、リーアム・ニーソンって作品を選ばないんだなぁ。


『Back Up Plan』
ジェニファー・ロペス主演の2010年公開の映画。日本は未公開?
理想の相手にめぐり合えない女性が人工授精を行なったとたんに「運命の人」にめぐり合って・・・というラブストーリー。
微妙な議論もありそうな設定なんだけど、前向きで明るいラブ・ストーリーに仕上げてます。
ジェニファー・ロペス自身も2年前に出産したあたりとからめての企画なのかしら。
でも双子を生んだ40歳であのスタイルは立派。


『エルム街の悪夢』(の新作)
僕は怖がりなのでホラー映画はあまり観ないため、元の作品も観ていないんだけど、機内映画の液晶スクリーン(ワシントン-成田の777だったので前席の背面にある12インチくらいのけっこう大きいやつではあったが)と騒音の中だとあまり怖くなかった。
ちょっとストーリーの展開を急ぎすぎている感あり。


『WALL・E』
荒廃した地球に1台だけ残されたごみ処理ロボットの話。
「友情」「努力」「勝利」がキーワードというところは、ディズニー映画と少年ジャンプの共通点かも。
最初からロボットを擬人化しすぎていることが僕はちょっと気になったけど、そもそもディズニ自体が話すネズミが犬をペットに連れているというMagical Fantagy Worldだしね。
終盤、ロボットの心・魂はどこにあるのか、と考えさせられるシーンが出てきます。
リブートしたり、基盤を入れ替えたときにロボットのアイデンティティってどうなるんだろう、という発想は、エジプトのミイラとかウィーンのカプツィーナ納骨堂の心臓壷(心臓だけ取り出して壷に入れておさめてある)など、人間自体についてもテーマだったのかも。


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『セックス・アンド・ザ・シティ2』

2010-09-14 | キネマ
今週は日本を留守にしてますので、ブログもしばらくお休みになるかもしれません。
一応PCはつながるようにしたのですが、Tweetの方が多くなるかと。

今日のネタは飛行機でみたSATC2

今回は女性版middle age crisisがテーマという感じで、まあそれもNYの女性のライフスタイルなのかもしれません。
唯一独身のサマンサがやり過ぎなくらいcaricaturizeされていてちょっと気の毒な感じでした。
結局「非日常」は独身女性が持ち込むしかないのだとしたら、脚本は二重の意味で行き詰まっているのかもしれません。


あと、機内で観ていて気になったのがアブダビ(今回のお出かけ先)からNYへのフライトが諸事情でエコノミーになるかもしれないというときの「エコノミーで13時間半も乗るのは耐えられない」という四人の台詞。

『レインマン』はダスティン・ホフマンが飛行機に乗るのをいやがって航空会社の過去の墜落事故を次から次へと列挙するシーンがあったので機内放映はカンタス航空(過去に墜落したことがなく"Qantas never falls"という台詞がある)意外はされなかったという話があったと思うのですが、これは問題なく通ったようです。

ということは、エコノミー席の窮屈さを航空会社自身認めているか、もっと積極的に、楽したければビジネスに乗れ、と暗に言っているのかもしれません。




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『インフォーマント』

2010-09-08 | キネマ
アメリカの大企業の幹部社員が会社の価格カルテルを内部告発したが・・・という映画。

冒頭に、この映画は実話に基づく、というテロップが流れますが、それがないと脚本として破綻しているのではないかと思うような不思議な話です。

内部告発物としては、タバコ会社を舞台にした『インサイダー』がありますが、それとは対極的な、でも実際はこんなものなのかもしれない、とも思わせるような映画になっています。


(以下ネタばれあり)



そもそも主人公が内部告発に至った経緯も、正義感であったり、処遇への不満であったりという明確なものではなく、その場その場の状況に対応するうちに成り行きで捜査に協力した感じです。

なにしろ主人公は年収35万ドルのうえに、業者からその数十倍のリベートを受け取っているわりに、捜査協力の前提として司法取引をするでもなく、また自分自身の生活への不安等の葛藤もなく、傍から見ると合理性に欠ける行動に見えます。
主人公は、自分は優秀な技術者であるので悪い目にあうはずがないという悪びれなさ至るところで発揮し、会社だけでなく司法当局も混乱に巻き込みながら事態は展開します。
そして最後に、主人公の「優秀さ」が証明されるというオチ(これが実話だからすごい。日本ではまずありえない)までついています。


企業が従業員を経済合理性やその他のインセンティブでコントロールしようとしても、この映画の主人公のように予想外の行動をする人間というのは必ずいるので、不祥事の隠蔽は難しい、という教訓にもなると思います。


PS
映画の中で、カルテルに関わった企業として味の素など日本企業も実名で出てきてしまうのですが、事実なので文句も言えないところがつらいところです。








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『マイレージ・マイライフ』

2010-08-29 | キネマ
企業のリストラ対象者に解雇通告をする仕事をしている主人公(ジョージ・クルーニー)は年間322日も出張し、ほとんどを機内とホテルで過ごす。目標はマイレージ1000万マイルを達成すること。
しかし会社は優秀な女性新入社員の提案により出張を廃止しようとし、主人公はそれを阻止すべく新入社員に現場の厳しさを知らしめるべく出張に連れ出す、という舞台設定。
そこに、主人公の妹の結婚、出張先でしか逢わない割り切った関係の女友達などがからんでいきます。

「普通」と違ったライフスタイルを送ろうとすると、説明、言い訳、理論武装が必要になるのはアメリカでも同じなようで(かえって「クラス」ごとにロールモデルがあるから厄介なのかも)、その理論武装が崩れたときに自我の危機に直面する主人公をジョージ・クルーニーが肩の力を抜いて好演しています。
それまで「人とのつながり」を「しがらみ」としてとらえ、またリストラ対象者にはそうやって身軽になることで前を向くように話し続けてきた主人公は「人とのつながり」を改めて考えるようになるのですが、完全に悔い改めたり逆に意固地になったりせずに、気の利いた落着点になっています。


余談ですが、今度長めの出張があるので荷造りのノウハウなど参考になるかと思ったのですが、あんまりなりませんでした(笑)
アメリカの空港のセキュリティチェックをすばやく済ますためのコツ(列の見極めも含めて)とかは面白かったけど。


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