2日目の夕暮れ、朱鷺の森公園の後、清水寺(せいすいじ)を訪ねてみる事にした。
佐渡に行く前、知人が「京都の清水寺を模して建造された古い寺で、能舞台があり、
石段から舞台までの木々が織り成す風景が四季を通していいらしい。」と教えてくれた。
ネットで調べてみると清水寺の由緒はー
第50代桓武天皇は、京都、清水寺の本尊千手観世音菩薩を深く信仰し、この遠い佐渡の地の人々が容易に京都を参拝できないことを嘆き、延暦24年(805)僧、賢応法師に佐渡に赴く勅を下す。
法師がこの地を訪れ川の流れに光るものを見つけ、その源流をさがし当山に至り、松の根に一夜を明かす。
すると翌朝法師が目を覚ますと不思議なことに、光明赫々たる童子が出現し法師に向かい「善き哉、善き哉、仏子末世衆生二世悉地を祈らんと頼む。
奇特なり、この地は大悲応現の地なり。願わくば一宇を建立し、聖容を安置し、敬礼供養せば諸願を成就せしめん。」と告げる。
法師はこの出来事を桓武天皇に伝えると、天皇は歓喜しその出来事が起こったこの地の東面の山腹を撃ち、当寺を創設する勅を法師に下し、大同3年(808)開基される。
(明治36年当山第17世円山在職時由緒書より抜粋)
ーという事だそうだ。
夕暮れという事もあってか、誰もいない清水寺の舞台の真正面に父は立ち、
「こんな立派な造りの寺がこんなにひっそりと建っていては・・もったいないみたいだなぁ・・・。」
と独り言のように囁きながら、舞台に上がって行った。
少し色付き始めたモミジが真っ赤になる頃はきっときれいなんだろうなぁと思う。
石段を下って仁王門から見上げると、杉の木に導かれた参道から舞台のある救世殿がまっすぐに見える。
静かな寺の秋の夕暮れはあっという間に闇に変わった。
3日目、小木港に行く前に「千石舟展示館」と宿根木を見学する。
かつて廻船業で栄えた北前船の復元船白山丸が展示されていて、その精密さにびっくり。
宿根木は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている何ともノスタルジックな一角。
台風の影響の雨が降り出し、しっとりと濡れた細い路地は趣を増していた。
大急ぎで宿根木を見る事ができて良かった。
もう一度佐渡に行く事ができないかもしれないから・・・。