父が94歳になり、母が91歳になり、-ー11月の初め二人を連れて熱海に行った。
熱海の温泉に一泊した次の日、熱海港から初島に向かった。
初島を知ったのは多分あるテレビの旅番組だったか?
熱海から30分で行ける島だというので、高齢者でも船疲れしない距離かもしれないとテレビを見ながら思っていた。
熱海港からフェリーに乗り、遠ざかる熱海の街に見送られ、四方を見渡すと初島が迫っている。
前知識では
①同じ形の建物の、漁師さんたちがやっている食堂街がある事
ーあった!
②初島からは富士山が見える事
ーこの日は天気はいいのに富士山は見えない。
「どこにみえるんだか???」
③島の周囲は4kmで周遊道がある事
ー予約した民宿からすぐの所にあった「飲み物自動販売機センター」には2台の自販機があり、
イカのトイレが可愛かった。
静かな海沿いの道から標高50mの高台に向かうと、海の安全を守る小さな灯台があった。
④大きく分けて島の人たちが住む地域とリゾートホテルの区域がある事
ー島の人々の家は肩を寄せ合うように北側に建てられていて、優しい民宿の方の話によると、島のこの方向、この場所は津波や雨風の被害が少ないらしく、
初島を訪れた数日前の台風19号でも15号でも被害はなかったという話だった。
山国は山国で、島は島で、生きるための知恵というのはすごいなぁと思う事が多い。
リゾートホテルの庭では夜になるとイルミネーションがきれいだった。
島のどこからでも星もきれいだった!!!
朝になり、もう一度散歩に出かけた。
昨日賑やかだった食堂街もまだ寝ざめておらず、うっすらと東の空が明るくなって来て、
東の空から日が昇った。
朝が来るのが早いなぁ~と思ったのは、当然、海から昇る日の出と、3000mの南アルプスから昇る日の出の時間が違うからだけど、
山の谷間からはやっぱり空も狭く、日照時間は短いし、
里山の細い道など夕方4時にもなると真っ暗になり、
こんな日の出を見ると、海は広いなぁ~、空は広いなぁ~、海から太陽が昇るんだ!と当たり前の事にも感動したりする。
海が朝日に輝いた。
その中を、前日の夕方沖に向かったと同じような小さな舟が初島港へ向かって行くのを目で追うと、
熱海の街の上に真っ白な雪を被った大きな富士山が見えた。
「初島からの富士山はすごいなぁ」
富士山が見えたのに感動して民宿に戻り、父を朝の散歩に連れ出した。
先ほどの舟が捕って来た魚を上げている所だった。
捕れたてのこれらの魚が昼には食堂の料理になるー新鮮過ぎる。
「これは何て言う魚かな?」興味津々に父が聞く。
父と一緒に島をゆっくり一回りして、帰りの時間になった。
初めての場所での一時一時が大切な時間。
初島からの富士山も見納めで、ちょっと寂しい。
又いつか見れる日があるのだろうか?